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「グリーンIT」 詳細解説

読み:
ぐりーんあいてぃ
英名:
Green IT

情報技術(IT)が普及したIT社会の本格的な到来により、私たちが扱う情報量は飛躍的に増加し、2025年には2006年の約200倍に達すると見込まれている。これに伴い、IT関連の機器やシステムを動かすための電力需要も増え、日本におけるIT機器の消費電力量は2006年と比べ2025年に5倍、2050年には12倍に達すると推計されている。一方、多くのIT関連企業にとってデータセンターをはじめとするIT機器による消費電力の増加は深刻な問題だ。たとえば、IBMが保有する世界最大規模のデータセンターの広さは、東京ドーム55個分に相当する72万平方メートルにもなる。

IT機器の消費電力を減らしたり、駆動する時に発生する熱量を抑えたりして、省エネとともに二酸化炭素(CO2)の排出削減を図る取り組みがグリーンITだ。グリーンITには大きく分けて、1) データセンターの省エネや省エネ型機器の開発などITを使用する場面でのグリーン化、2) 制御・管理のIT化による生産や流通、業務の効率化などITの活用によるグリーン化、3) IT機器の3Rや半導体製品の鉛フリー化などLCAの観点から見たグリーン化―などの形態がある。グリーンITの推進により、国内では電力換算で2025年に4200億kWhの省エネ効果があると期待されている。

グリーンITの実例を見ると、ITの活用による生産プロセスの管理や物流・配送管理システム、音楽配信・ソフト配信などの生産、流通・輸送分野での効率化が図られている。また、電子商取引やテレワーク・テレビ会議、省エネ家電の利用といった業務・家庭部門での利用による省エネ効率改善や、人とモノの移動の減少による環境負荷の低減などの効果があることもわかりつつある。企業の取り組みとしては、前出のIBMがデータセンターの総消費電力を40%削減することを目指して、年間10億ドルを投じるプロジェクトを展開。富士通やNECは、ITにより機器の使用に伴う電力消費を抑えるサービスを提供している。

IT業界では、国際的なコンソーシアムなどによる連携が活発化している。2006年にはデータセンターの省電力化のために電力効率の評価手法や技術ロードマップの策定などを行う「グリーングリッド」が設立され、現在世界約200社が参加している。また、サーバーやパソコンなどの機器に関する省エネとCO2削減を促進する非営利組織の「クライメート・セイバーズ コンピューティング・イニシアティブ」が、米大手検索サイトのグーグルとインテルなどにより2007年から始まった。

日本では、経済産業省が「グリーンITイニシアティブ」を2007年12月に打ち出し、翌年2月には産学官の連携による「グリーンIT推進協議会」が設立された。今後、政府が主導する「グリーンITプロジェクト」や、国際的なコンソーシアムとの連携などによってグリーンITを推進する。なお、同省は省エネ法施行令の改正により、ルーティング機器(ルーター)などをトップランナー基準の対象に追加する予定だ。

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