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「企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」 詳細解説

読み:
きぎょうとせいぶつたようせいいにしあてぃぶ
英名:
Japan Business Initiative for Conservation and Sustainable Use of Biodiversity

地球には、海や川、陸地、森林、大気など、それぞれの環境に適応した多様な生物種が存在し、食物連鎖などや共生などのかかわりをもちながら生態系を形づくっている。これらの生物は、同じ種同士で、または個体間で姿形が違い、遺伝的にも異なる。こうした生物の多様さをまとめて生物多様性と呼ぶ。生物多様性を保全し、生物資源の持続可能な利用を図る国際的な枠組みとして生物多様性条約がある。一方で、近年、企業による生物多様性の保全への取り組みが本格化している。生物多様性の保全に取り組む日本企業の集まりとして2008年4月に発足したのが、企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)だ。

JBIBには、2009年1月現在で21社が参加している。生物多様性の保全に関する共同研究を国際的な視点から実施し、その成果をもとに、他の企業や利害関係者(ステークホルダー)との対話を図ることで、生物多様性の保全に役立つ活動を行っている。主な活動内容は次のとおり。1) 生物多様性の保全と持続可能な利用に関する学習、2) ステークホルダーとの対話、3) グッドプラクティス(優れた事例)に関する情報発信、4) 成果の「見える化」などに関する研究開発、5) 生物多様性に関する政策提言。

生物多様性の保全における企業による取り組みの重要性は、これまでも国内外で指摘されてきた。それが国の方針として明確化されたのが、2007年11月に閣議決定された第三次生物多様性国家戦略だ。同戦略では、企業が生物多様性の保全と持続可能な利用をめざす活動を自主的に行う際の指針となる「生物多様性企業活動ガイドライン」を策定するとしている。この方針を受けて環境省は専門家による検討会を立ち上げ、ガイドラインづくりを進めている。また、2008年6月には、わが国初の生物多様性の保全を目的とする基本法である生物多様性基本法が施行された。

国際的には、生物多様性条約締約国会議(COP)で企業による取り組みがテーマとされ、2008年4月にドイツ・ボンで開かれたCOP9において、同条約の目的達成に民間企業の関与を高めるための「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」が、開催国であるドイツの主導で始まった。同イニシアティブには、経営目標に生物多様性への配慮を組み込むことや、企業活動に生物多様性を反映させるプロセスを社内で確立することなどが盛り込まれている。これを受けて締約国各国では、生物多様性の保全にさまざまな主体が参画できるような事業を進めている。わが国では、2009年度の環境省予算に生物多様性国際対話推進費として4000万円が計上された。2010年に愛知県名古屋市で開催されるCOP10に向けて、国際的な対話会合を開催する。また、それに先立って国内対話の場を設ける計画だ。

こうした国内外の動きを背景にできたJBIB。生物多様性の保全に取り組む日本企業による新たな流れとして、今後の活動が注目される。

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