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「環境会計」 詳細解説

読み:
かんきょうかいけい
英名:
Environmental Accounting

企業が環境活動を推進するには、環境負荷を削減するための最新設備を導入することのほか、ISO14001などの環境マネジメントシステム(EMS)を導入すること、あるいは環境技術を開発するための投資を行うことなどさまざまな手法があるが、どれもコストがかかる。その一方で、環境対策に力を入れることで、省エネルギーが推進されて電気代が削減されることや、環境配慮型商品の販売増加、企業のブランド価値向上などの効果も考えられる。

このように、環境対策や環境保全を進めるためにどれだけコストをかけたか、その結果、どんな効果が得られたかなどを、定量的に評価することで、自社の環境保全への取り組みを、より効率的で、効果の高いものにするための経営管理上の分析ツールが環境会計である。

環境会計の機能は、内部機能と外部機能に分けられる。内部機能は、企業等の環境情報システムの一環として、環境保全コストの管理や環境保全対策のコスト対効果の分析を可能にし、適切な経営判断を通じて効率的で効果的な環境保全への取り組みを促す機能である。たとえば、林業関係の企業の環境会計では、持続可能な森林育成のための社有林管理にかかる費用や、海外での森林再生活動にかかる費用などの諸経費、さらにはボランティア活動による自然林復元活動にかかる費用などを「コスト」に算出。一方、社有林による二酸化炭素(CO2)吸収効果、廃木材リサイクル量、ボランティアによる森林復元面積などを「効果」としてカウントしている。このように「コスト」と「効果」を算出し経営に生かしていく経営管理ツールとしての役割が期待される。

外部機能とは、環境保全への取り組みを定量的に測定した結果を公表することにより、消費者や取引先、投資家、地域住民、行政など外部の利害関係者の意思決定に影響を与える機能である。たとえば、環境会計情報を環境保全への取り組み姿勢や具体的な対応などと併せて公表することは、環境保全への取り組みを利害関係者に伝えるために有効であり、公表によって外部の利害関係者に対して説明責任を果たすことにもなる。

環境会計を導入することによって、企業は環境保全のためにどのように投資を行うことが最も効率的か、あるいは、製品原価に環境コストをいくら上乗せするのが適正なのかなど、企業経営の戦略的なツールとすることができる。

また、企業の環境活動の進展とともに、1990年代後半から環境会計を試算、導入する企業が増えてきた。しかし、どういった項目を環境保全の「効果」と見なすかなどについてはばらつきが大きく、企業間の比較が困難であることなどから、共通の指標の必要性が論議された。環境省では環境会計に関する共通の枠組みを構築することを目的として2000 年5月に「環境会計ガイドライン」を公表、その後、2002 年、2005年には改訂を行っている。

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