「うざいっブス!!」ヘッドフォンから大音量!!サラリーマンに怒鳴られた若者を心配したら…罵声を浴びせられた!?【作者に聞いた】

ヘッドフォンの音量が大きい！と若者の襟首を掴んで怒号を浴びせたサラリーマン。若者を突き飛ばして、店を去る。飲食店で揉め事に遭遇した女性は「そこまでしなくても…」と言う思いが募り、突き飛ばされた若者に「大丈夫ですか？」と、優しく声をかけた。すると、若者から悪意しかない言葉を浴びせられた――福々ちえ(@fukufuku_comic)さんの『モヤモヤ社畜OLと、勇気のマサラカリー』に多くのいいねが届く。勇気を出した声かけやその後の展開に「いい話」「勇気を出すって素晴らしい」などのコメントが集まっている。福々さんは、漫画家&イラストレーターとして活動中。現在は、『4年付き合っても、結婚してくれない彼と別れました』をX(旧：Twitter)で毎日投稿している。また、「お金がないと幸せになれない」と思っていた女性が、稼いでも稼いでも孤独や不安感が消えないコミックエッセイ『稼いだら幸せになれると思ってた』などの著書がある。

■スパイスカレー店で起きた修羅場から生まれた心あたたまる物語

本作は、上司の小言に心をすり減らすOLがスパイスカレーを食べて元気を取り戻そうとする話。しかし、店内でサラリーマン同士の揉め事を目撃し、さらに声をかけた若者からは罵声を浴びせられ、もやもやは募るばかりだった。そんなとき、店内にいたお客さんや店員さんの温かい声がけに心が救われる。その出来事をきっかけに、上司に怒鳴られていた後輩に対して何もできなかった自分に勇気を出してみようと決意する。

この漫画は、福々さんが実際に体験した一場面をもとに描かれている。駅でサラリーマン同士が激しく揉めている光景を見て、「これを見なかったことにしていいのか」と自問自答したという。そんな自分の中の正しさが揺さぶられる感覚をテーマにしたのが、本作「もやもや社畜OLが、スパイスカレー食べて元気になる話」だ。

また福々さんは、同じカレー屋にいた別の女性視点の物語「仕事のできる女と、怒りのバターチキン」も描いている。主人公は「嫌な女」と呼ばれる存在だが、実は周囲に気を遣いすぎて自分を追い込む姿を描いた。偶然同じ場所に居合わせただけの人にもそれぞれの葛藤やドラマがある、そんな思いを漫画に込めたのだそう。

福々さんの作品には一貫して「人間讃歌」というテーマがある。悪者は登場せず、いるのは悲しい人や弱い人だけ。自身も親への恨みを抱え続けていたが、「親にも事情があった」と思えた瞬間、怒りが溶けていったという。そんな感覚を漫画を通して読者に疑似体験してもらいたいと福々さんは語ってくれた。カレーでつながるリレー方式のエッセイ漫画に興味が湧いた人はぜひ読んでみて欲しい。


■取材協力：福々ちえ(@fukufuku_comic)