
元ゲーム会社所属デザイナーで、現在はストーリー漫画をメインに執筆している吉良いと(@kilightit)さん。個人で作品を公開・販売するほか、商業誌にも作品を掲載するなど、精力的に活動している漫画家だ。代表作「ようこそ亡霊葬儀屋さん」は、「このお話ほんとに好きです」「1度見たことあるはずなのに泣いてしまった」など、多くの読者に感動をもたらしている。
今回は、「幽霊が視(み)える葬儀屋さんと猫好きおじさん」をお届け。突然死してしまったおじさんの心残りは、大切な飼い猫・大福を一人ぼっちにしてしまったこと。「幸せにしたかった」と成仏できないおじさんに、烏丸 枢(からすま・くるる)は大福が新しい飼い主に引き取られたことを告げる。不慣れな環境で暮らす大福を心配するおじさんに、烏丸は大福に会いに行くことを提案する。
新しい飼い主は優しそうな女性だった。綺麗な家においしそうな餌と、そこにはおじさんが大福に与えたかったすべてがそろっていた。ソファでだらしなく眠る大福を見つけて、おじさんは少し複雑な感情に襲われる。挨拶もそこそこに、新しい飼い主は大福と出会ったときのことを話し始めた。
大福は保護されたとき、亡くなった飼い主から離れなかったという。毛並みも健康状態もよく、知らない人が家に押しかけてきてもその場を動かなかったことから、大福はたくさんの幸せを与えてくれた前の飼い主のことが大好きだったに違いない…。話を聞きながら、おじさんは大福と暮らしていた当時を思い出す。顔をあげると、まっすぐに自分を見つめる大福と目が合った。その瞬間、大福が今を幸せに過ごしていることを確信。おじさんは大福に感謝の気持ちを口にし、うれしそうに成仏するのだった。
作者に話を聞いてみた。
吉良いと「私自身猫を飼っているので、『もし自分が先に逝ってしまったら…』と考えさせられる漫画になりました。大福の太々しい顔は描いていてとても楽しかったです」
猫好きおじさんの愛情と、飼い猫との深い絆を感じられる本作。X(旧Twitter)では5.3万いいねが付き、読者からは「久しぶりに漫画でガチで泣けました」「幸せになってよかった」「私は自分の家の猫に幸せをあげられているのかなぁ…貰ってばかりかもしれない」などたくさんの感想が寄せられている。
画像提供:吉良いと(@kilightit)