青山学院大学に在学する現役女子大生で、演技やバラエティなどマルチに活躍している中川紅葉さんによるエッセイ連載「ココロすっぴん」。かなりの読書家で、大学生・タレント・インフルエンサーなどのさまざまな顔を持つ彼女が日々感じたことを、忖度なく書き綴ります。
■#9「私の日常の一曲」
人生にどれくらい音楽が必要ですか?その日の気分にもよるけれど、私は基本的に移動中は必ず音楽を聴いています。AirPodsの充電が無いことに気がついたときのショック、ものすごいんだから。
電車やロケバスから見える景色に合わせたり、お仕事に行く前だったらこれから自分が求められるキャラクター(役とかね)みたいなものに合わせて音楽を変えたり。ふと、こんなことをしてる人はあんまりいないんじゃないか、と思いました。珍しい仕事、というのもあるけれど。
私にとって音楽は、その日の性格まで変えてくれる大事な要素なのです。
■音楽が持つ回想の力は、日記や動画より強い!
季節の風や香りが記憶を思い出させるみたいに、音楽が懐かしい気持ちにさせてくれることも多い気がします。
[Alexandros]の「Girl A」を聴くと、初めて買ってもらった電子ドラムを叩きたくて早く家に帰っていた中学の頃を思い出すし、乃木坂46の「帰り道は遠回りしたくなる」を聴くと、受験生の頃に英単語帳を開きながらバスに揺られていた冬に戻ったような気がします。あ、私の母校、携帯使うの禁止だったので、まさか登下校中に聴いていたなんてことはないですからね(焦)。
先日、マカロニえんぴつの「ブルーベリー・ナイツ」をカラオケで歌っている友達を見ながら、大学1年生の青春だった夏を思い返したし、My Hair is Badの「白春夢」を聴くと、コロナで外に出られなかった時期に引き戻されるような気にさえなる。
誰が近くにいたか。何を言われて嬉しかったか。そのときのモチベーションが何だったか。日記より、動画より、音楽が持つ回想の力が強いように思います。全然思い出したくもない記憶だって、えげつない速度でリマインドしてきて曲変えるときあるもんなぁ(笑)。
■「楽しかったって思い出せたらいいね」という母の言葉
リリースの時期と「私の当時の主題歌」に時差があるものもあって。誰かにオススメされたり、当時たまたま見つけたりした曲で、それが「そのときの1番」になっていたこと自体が思い出だったりするのだなと思うのです。
すごくポジティブな気持ちで毎日過ごしてるはずなのに、失恋ソングばかり聴きまくっている時期もあり。普通そんなことないよなぁ、日常と違う気持ちになりたいのかなぁ、と我ながらこの現象の意味が分からずにいます。
一度ハマると永遠に同じ曲ばかり聴く癖もあるんですよね。1日約20回聴いたとして、1ヶ月で600回。普通に怖い数字。それだけ同じ曲を聴き続ければ、そりゃあ当時のことすぐ思い出すでしょうね、とも思います。
私の出演するABEMA「花束とオオカミちゃんには騙されない」の主題歌、Vaundyの「そんなbitterな話」が最近発表されました。それを見た母親に、「将来この曲を聴いてすごく懐かしい気持ちになるだろうし、楽しかったって思い出せればいいね」と言われました。母よ、いいことを言うではないか。
このエッセイを書きながら聴いている曲を、未来の私は「どんな記憶」として思い出すのか。楽しみです。
■【ヒトコト】
絶対まだ世の中に見つかってないし私しか知らないでしょ、な音楽やバンドを見つけるのがとても好きです。見つけたときの達成感と、別に誰に自慢するわけでもないのに優越感に浸れるあの感じが好きなのです。
この間、いつも通りそんな曲を見つけて、ひとりニヤニヤ聴いていたところ、その曲がTVから流れてきたんです。しかもCMで使われてて。私が知らなかっただけで、どうやらめちゃくちゃ有名な曲らしく絶望。しかもなんかTikTokで流行ってる?みたいな。時代遅れ感に更に絶望。
皆さんそんなこと、ありません?