
子供のころから文字や絵で補足しながら会話を楽しみ、やがて伝えたいことを頭の中で反芻するうちにそれを漫画として描くようになったという、キタハタエミ(@emi_kitahata)さん。Instagramやpixiv、Kindleインディーズ漫画などにて、エッセイ漫画などを公開している。今回は、夫の見た幽霊シリーズから『不透明な事故物件』をお届けするとともに、キタハタさんにこの作品に対する思いを聞いた。
キタハタエミさんが旦那さんと一緒に物件を見に行ったときのこと。土足で入ったと思わしき足跡が気になりつつも、その部屋に概ね好印象を抱いていたキタハタエミさん。特にリビングの横の部屋がいいと言うと、旦那さんは…。
「その部屋、おじいさんいるけどいい?」。とは言いつつも、そこへ引っ越すことに反対する様子のない旦那さんにその理由を尋ねると、そのおじいさんは光に照らされるとキラキラと光るような透明な姿だったため、もうすぐいなくなるような感じがしたとのこと。そんな話をしながら家に帰る途中、2人はコンビニに寄ることに。
コンビニに入った旦那さんは、部屋で見たあの透明なおじいさんが外を歩いているのを目撃してしまう。そして、これが決定打というわけではないが、結局キタハタエミさんたちは内見した“おじいさんがいる部屋”に引っ越すことはなかった。
数カ月後、その部屋が“告知事項あり”の分譲物件として売りに出されているのを見つけたキタハタエミさん。内見に行った物件が、実は事故物件だったことをあとになって知るのだった。
旦那さんが“幽霊が見える”から事前に回避ができたものの、そうでなければ知らないまま契約していたかも…。告知義務のルールがあるとはいえ、“もしも…”を考えるとゾッとしてしまうエピソードだ。
■私たちが告知義務の原因になっていたのかもしれないですね
――裏エピソードがあれば教えてください
キタハタエミ「今回の漫画をSNSにアップした時に『キタハタさんの内見後に誰かが住んで事故物件になった可能性はないですか?』とコメントをくださった方がいて、『そっちのパターンだともっと怖いな…』とハッとしました。なぜ私たちのマンションに足跡と血痕が着いて来たんだろう、何かの目印なのかな…と思っていたので。内見した部屋にそのまま引っ越していたら、私たちが告知義務の原因になっていたのかもしれないですね。実話なので、特に大きいオチとかネタバラシ的なものがなくて申し訳ないなーと思いながら描いていたのですが、いろんな方から感想を頂くことで、多角的に思考が広がっておもしろいなと思いました」
画像提供:キタハタエミ(@emi_kitahata)