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【漫画】「けっこんする?」「大人になったらね」幼い従妹から年の離れた従兄へ、向かう視線の結末は?ショート漫画「従妹カウントダウン」

  • 2023年1月27日
  • Walkerplus

鉄一( @mada_tetsukazu )さんの「従妹カウントダウン」はTwitterで6万件以上の「いいね」を集めた、いとこ同士の恋愛を描く連作ショートショートの1作目。この作品を考えたきっかけ、キャラクターに込めた思いなど、鉄一さんに本作品について話を聞いた。

■いとこ同士って結婚できるの?できるんです。でも、大人になってから。
従兄の永治くんと、従妹の詩乃ちゃんは叔父さんと姪っ子くらい年齢の離れたいとこ同士。「しーちゃんとけっこんする?」詩乃ちゃんのきらきらした大きな瞳が見つめるのは大好きな従兄の永治くん。幼い少女の無邪気な気まぐれとばかりに「しーちゃんが大人になったらね」と返す永治くんは、そのときまだ気づいていなかった。詩乃が自分に向ける矢印の大きさに。

幼い詩乃の恋の結末は、詩乃の父方の従弟であるカルロの物語へと引き継がれる。従姉に恋をしたカルロの想いは、さらに母の従弟に恋をした悠日子(ゆかこ)の物語へとつながっていく。1話を4ページにまとめたショート漫画5作分の恋物語は、まるで映画を1本見たかのような濃厚なドラマを読ませてくれる。幼い憧れが恋へと育ち、やがて愛へと熟成していく従兄と従妹と従弟と従姉の娘の物語。さらりと読んで、どっぷりつかってほしい。


■そういう女の子って怖かわいいかも、という思いつきから
叔父さんほど年が離れていても詩乃にとって永治は従兄。小さいころからずっと「おじさん」ではなく、「えいじくん」と呼んでいる。親戚の集まりの場で、かわいがってくれた従兄に恋をした幼い少女の、親愛とも恋心ともつかない視線はけれど、だんだんと無邪気なものではなくなっていく。「そういう女の子って怖かわいいかも」そんな思いつきから「従妹カウントダウン」は生まれたそう。さらに続くカルロや悠日子のストーリーは、従妹カウントダウンに対応する形で少しずつ考えていったと鉄一さん。イタリア人の父を持つ詩乃に父方の従兄弟がいるとしたら?、もし詩乃に娘がいたら母と好みは似るのかも?といった具合にいとこ同士の関係は徐々に広がっていった。

■キャラクターがどんな欲求を持っているのか、一目で伝わるように
鉄一さんの作品は登場するキャラクターたちの印象がとても強い。個性にあふれ、魅力的で目が離せなくなる。ショートショートという短い漫画の中で、どの人物もみな強烈に輝いている。その人物が何をしたいのか、どんな欲求を持っているのかを意識してキャラクターを考えていると鉄一さん。さらに、「そういう欲求」を持っていそうだなと一目で伝わるようなビジュアルを心がけているそうだ。

鉄一さんの漫画はとにかくキャラクターの印象が強い。だからといってキャラクター漫画というわけではない。むしろストーリーの力強さにぐぐっと惹きつけられる。ショートショートという性格上、短いページ数でキャラクターとストーリーを魅せる力というのは重要だ。加えて明確な起承転結、引き込まれる世界観、読者を裏切る展開、そして何よりも「おもしろい」かどうか。鉄一さんのショート作品にはそれらのすべてが詰まっている。まさに職人技。

Twitterにアップした鉄一さんのショート漫画21話をみっちり詰めた、「TTSM(鉄一の ツイッター ショート マンガ集)」はKindleインディーズマンガで無料で読むことができる。収録作品のほとんどが4ページで完結するまさにショートショート。カルロと悠日子の物語の結末も、描き下ろしとして第21話に収録されている。ジャンルもキャラクターも舞台も異なる21の物語、心に刺さる1作に必ず出合えるはず。


■ショート漫画だけでなく、長編ストーリーも
ショートショートの名手かと思えば鉄一さんは現在、長編ストーリーを連載中だ。こちらの物語もまた、設定からキャラクターから展開から、すべてが予測不能であっという間に飲み込まれてしまう。兄の元カノ、アキラに一目惚れしてしまった主人公の優人は、何とかしてヨリを戻したいアキラからある取り引きを持ちかけられる。兄の情報と引き換えに「なんでもしてあげる」というアキラの誘惑に負け、大好きな兄を裏切りながらも優人はアキラに協力することに。2人のブラックな関係がスリリングなだけでなく、何かを隠している(ように見える)弟思いのやさしい兄や、陽キャな兄の新しい彼女を巻き込んで、物語は勢いよくどんどん転がっていく。

隔週の更新が待ちきれない「このゴミをなんとよぶ」は鉄一さんのTwitterやpixivで読むことができる。


鉄一さんに今後の創作について、展望を聞いた。「同時にいくつも作品を手がけるより、まずはきちんと今の連載を完結させたいと思っています。ただ、連載で繰り返し描いているキャラクターとはまた違った、ショート4ページならではの新鮮さも大好きなので、現在連載している長編の合間や、完結後にショート漫画もまたちょこちょこと描いていきたいです」

さらに、鉄一さんのファンに向けてメッセージももらった。「鉄一の漫画をいつも読んでいただきありがとうございます!現在連載中の『このゴミをなんとよぶ』、この後もゴミたちがどうにかなったり、なんともならなかったりしていくさまを、どうか見届けていただければ幸いです」とのこと。

ショート漫画集「TTSM」からでも、長編漫画「このゴミをなんとよぶ」からでも、ぜひ鉄一さんの作品世界を体験して、その魅力にハマってほしい。

取材協力:鉄一(@mada_tetsukazu)

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