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「“妻は妄想”という妄想」にとらわれる男。読者も翻弄する“現実と虚構”のストーリーに「鳥肌立った」

  • 2022年12月19日
  • Walkerplus

今年もウォーカープラスでは、SNSで反響を集めた漫画や作品を数多く紹介してきた。2022年も残すところあと少し、今年特に反響を集めた作品で本年を振り返りたい。今回紹介するのは、「妻が妄想上の存在」という妄想にとらわれてしまった男とその妻を描いた漫画「サイケデリック」だ。

■最高の妻は「頭の中の存在」?妄想が揺るがす現実に引き込まれる
漫画家のウエマツ七司(@uemt_74)さんが以前制作し、今年「実在と非実在の間で揺れる男女の話」と題してWEB上に発表したところ、pixivコミック月例賞(2022年1月投稿分)で優秀賞を受賞した本作。

半年前に結婚し、「料理はうまいし膝枕で耳かきだってしてくれる」と、かいがいしい妻と暮らす男。だが、男はそんな妻を自分の頭の中だけの幻覚だと確信していた。

そんな幻覚の妻のことを職場の同僚に話しながら、実在と非実在の区別の曖昧さに苦悩する男。だが、男の職場には、弁当を届ける妻の姿があった。男の上司は当たり前に妻と話し、夫が口にする名前の同僚が職場にはいないとも告げる。そう、男の思い込みの実際は真逆。「妄想の妻」は実在し、「実在の同僚」こそが妄想上の存在だったのだ。

「胡蝶の夢」という言葉もあるように、現実と夢の境は、考え始めると飲み込まれそうになるほど曖昧になるもの。誰が「実在」し、誰が「非実在」なのか。作中の人物のみならず、巧みな演出と構成で読者をも翻弄し、予測不能の展開が繰り広げられるストーリーに引き込まれてしまう作品だ。

■苦難続いた2022年、「反響に支えられました」と振り返り
ウエマツ七司さんは、『神様、僕は気づいてしまった』(小学館 原作:岩城裕明)の作画や、「ゲッサン」(小学館)誌上で精力的に読み切り作品を発表するなどプロとして活動を続けている。

当初は同人誌に載せる作品として描いたという「サイケデリック」。pixivやTwitter上にて発表した際、ユーザーから「惹き込まれた」「鳥肌立った」「凄いの一言」と多くのコメントが集まり、ウエマツさん自身も月例賞の受賞とともに「一つ扉が開いた感覚があります」と、反響へ驚きと感謝をみせる。

そんなウエマツさんに2022年の漫画制作について振り返ってもらったところ、「今年の前半は商業の方でネームがボツ続きでして」と意外な答えが返ってきた。

「ボツが続いたその期間は、『サイケデリック』の反響に支えられました。そして、2022年後半はたくさん読切を描かせていただき光栄でした。また、今まで描いたことのないファンタジー作品を描けたことが大きな気づきになったと思います」

その言葉通り、成人向けコンテンツが違法になった世界で、成人向け漫画を描き続ける女性漫画家と彼女を狙う殺し屋の邂逅を描いた『R18KILLER』など、二代目魔王となった小さな子供に振り回される『二代目魔王がクソガキすぎる』など、商業誌の読み切り作品にも反響が集まった。

最後に、来年の抱負についてうかがった。

「2023年は読切だけでなく、連載を目指して頑張っていきたいです。また、出来れば漫画だけでなくいろんなことに挑戦してみたいです。漫画を担当した『神様、僕は気づいてしまった』もまだまだ発売中ですので、是非ともよろしくお願いいたします」

取材協力:ウエマツ七司(@uemt_74)

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