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ホームセンター大手・カインズが掲げる「くみまち構想」。「まちのハブになる」「地域の人たちと共創する」その中身とは!?

  • 2022年8月24日
  • Walkerplus

ショッピングセンターのベイシア、作業服専門チェーンのワークマン、家電量販店のベイシア電気、東急ハンズなど29社が属するベイシアグループ。グループの中核的企業であり、ホームセンター業界ではトップの売上高を誇る企業、カインズ。

ベイシアグループ共通の理念「For the Customers」が基本的な指針である一方、さらにカインズとしては「世界を、日常から変える。」をビジョンに掲げ、これまで環境・社会に貢献する実にさまざまな取り組みを行ってきた。さらに昨年秋には、こういったビジョンをより具現化するべく「くみまち構想」を策定。SDGsとも重なる部分が多くある有意義なものだが、カインズは、SDGsのターゲット2030年よりもさらに先を見据えた構想であるという。今回はその中身について、カインズ担当者に話を聞きながら探っていく。

■カインズが「未来のまちのくらし」に貢献できることは大きく分けて4つある

冒頭で触れた通り、日本のホームセンター、流通業界におけるカインズおよびベイシアグループの地域への経済的貢献度は実に大きい。しかし、カインズでは、たとえば自社の利益を「自治体に寄付します」というようなことだけでは社会貢献になるとは考えておらず、企業・自治体など、社会に関わる各団体がまずそれぞれ自立し、それぞれの強みを活かして協力し合うことで、「未来のまちのくらし」を構築することができるのではないかと考えているという。その上で、カインズが考える「カインズの強み」「カインズらしさ」「カインズができること」は大きく分けて以下の4つになる。

【店舗】
郊外を中心とした全国約230の大型店舗を展開していることから、各地域のハブになることができる。

【メンバー】
カインズの2万人を超えるメンバー(従業員)は皆それぞれの地域に暮らす人々。また、カインズの社名の由来であるカインドネス(親切心)を持ち、ないものは作ってしまおうというホームセンターならではのDIY精神に長けたメンバーが多く、特性を活かした活動を行うことができる。

【商品】
ユーザーの声を生かした商品開発力は定評がある。このことで多くの人々の暮らしに寄り添うことができる。

【デジタル】
「IT小売業」化に向けて自前のデジタル部隊を強化していきている。少なくとも郊外/地方においては、DX(デジタル変革)のリーダーという位置づけにはなってきている。

これら4つのカインズの強みをもとに、カインズそのものが各地域の「まちのハブになり」、地域の課題解決や価値向上を、行うのが「くみまち構想」ということだ。これは、カインズだけが行うカインズの取り組みではなく、地域の様々なステークホルダーと「共創」して行う地域みんなの取組としてカインズが提唱するものだであるとカインズ担当者は補足する。

【カインズ・担当者】「私たちが『こんな強みを持っています』と言っても自治体や住民の方々が『そんなの別に要らないよ』って言われたら終わりですよね。そこはやはり地域の企業、NPO、学校、自治体、商店街、地域住民やコミュニティ、くみまち共感企業の方々と共創することで初めて成り立つものだと思っています。

私たちの『くみまち構想』における目指すところは、『どこまでいってもカインズ』ということではありません。あくまでも『地域の人々とその暮らしのため』です。そのために私たちが、もともと持っている4つの強みを活かしながら『まちのハブ』になり、共創しあいながら、『未来のまちのくらし』を創っていきたい……それが『くみまち構想』です」

■「くみまち15の共創価値領域」と「ステークホルダーと共に創る『3つの共創価値』」とは

壮大な構想のように感じ、なかなか全体像をイメージするのが難しくも思えるが、カインズでは、日本の地域や暮らしが抱えるさまざまな課題を「くみまち15の共創価値領域」として分類し、それらを地域の「ステークホルダーと共に創る共創価値」として以下のように整理している。


【ステークホルダーと共に創る共創価値】
レベル1. 環境や防災・災害対応などまちのライフラインとして「安心な」生活の土台を築く領域

レベル2. 地域産業の振興や教育・子育てなど地域需要を創造し、暮らしの課題を解決することで日常を「楽しく」する領域

レベル3. 地域に暮らす一人ひとりの方が「自分のやりたいことを見つけ、できる」ようになり、自分らしい暮らしを実現できるようになる領域

「くみまち15の共創価値領域」それぞれに対応する取り組みを、各ステークホルダーと共創しながら実施していくという。ただし、その成果を実感できるのは、少し先にあるだろうともカインズ担当者は語る。

【カインズ・担当者】「これら『くみまち15の共創価値領域』に取り組んでいったとしても、たとえば『環境や地域に優しい新しい施設を作りました!』みたいな、直接的な達成感を得られることは少ないかもしれません。『これは地域の人たちの役に立っていることである』という実感を得たり、理解を得られるまでは、かなり時間がかかるものだと思っています。この点、ステークホルダーの方々と共創を行う上で、理解を得ておかなければいけない課題であると思っています。一方で私たちカインズでは、これを続ければ必ず『未来のまち』に貢献できるはずだと思って取り組みを始めたところです」

■SDGsにはあえて重ねなかった「くみまち構想」。その理由は「目標をDIYする」


「くみまち15の共創価値領域」の各領域に伴う具体的な目標には、「カーボンゼロ」「資源循環」「環境保全」といったSDGsにも重なるものも多い。しかし、カインズが掲げた「くみまち構想」はSDGsになぞったものではなく、あくまでも独自の考え方による目標だという。SDGsに合わせなかった理由についても聞いてみた。

【カインズ・担当者】「確かに『くみまち構想』とSDGsは重なる部分もありますし、SDGsの17のターゲットとの対照表を作ることはできなくもないです。しかし、何故SDGsとは違う、カインズ独自の目標を策定したかというと、大きく以下の2つの理由があります。

まず、SDGsは2030年目標です。『くみまち構想』は今から8年後の2030年で終わるものではなく、さらに先の未来を見据えての取り組みです。この点はSDGsと違うところです。
さらに、カインズはDIYを得意とするホームセンターですので、『目標をDIYする』といった思いから、世界共通の課題として広く掲げられているSDGsに合わせるのではなく、まずはカインズの店舗がある地域において『自分たちで何ができるか』』『自分たちなら、どんなことをやりたいか』を優先させたところもあります。

特に『カーボンゼロ』に関しては、『2050年目標』を掲げていますが、これはカインズ内向きの目標ではありません。『まちごとカーボンゼロ』というコピーのとおり、地域全体のカーボンゼロにも目を向け、地域の様々なステークホルダーと共創してみんなでゼロを達成しましょうという地域への提言でもあります。こうした目標はカインズならではの具体的な目標だと思っています」

■始まったばかりの「くみまち構想」だが、共創に賛同の声が各方面から届いている


前出の話の通り、成果がすぐに見えにくい面もあると思える「くみまち構想」だが、2021年秋に策定されて以来、自治体とパートナーシップ協定を行うなど、注目度は高いという。

【カインズ・担当者】「京都のカインズ亀岡店が亀岡市と、まちの環境保全に関する『かめおか未来づくり環境パートナーシップ協定』を結んだり、カインズ全体では千葉県との『災害時の物資供給等に関する協定』を締結など、『防災・災害対応』については今年の3月時点で215の自治体と連携の締結を行っています。

また一部店舗では各地域の商店の方々に参加していただいた販売会を実施し、『教育・子育て』では『くみまち学校』をスタートさせました。さらに『多様な生き方・暮らし方』としてペットの里親譲渡会を実施しています。

これ以外でも準備していることはまだまだ数多くありますが、こういった取り組みはカインズが考えたものもある一方、自治体や地域の方から『こういったこと、一緒にやりませんか』と言っていただく機会も増え、できるところから取り組んでいっています。どうしてもリソース面での限界はありますが、今後も『くみまち構想』を多くのステークホルダーと一緒に実践し、取り組んでいきたいと思っています」

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