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コミュニティボードで地元愛溢れるメッセージを発信!出雲大社のおひざ元で地域と住民、観光客の“縁”を結ぶ

  • 2022年6月13日
  • Walkerplus

スターバックスの店内で、さまざまなメッセージがイラストとともに描かれた黒板を見かけたことはあるだろうか?これは「コミュニティボード」と呼ばれ、パートナー(従業員)が思いを込めて描いた手作りのメッセージボードだ。お店がある地域を元気にする手伝いをしたいという思いや活動を、来店客や地域の方々に伝えるツールとして活用されている。

このコミュニティボードを通して、地元の魅力を発信し続けている店舗の1つがここ。縁結びの神と名高い出雲大社の参道入口、勢溜の大鳥居の前にある「スターバックス コーヒー 出雲大社店」だ。

■「地元をもっと知ってもらいたい」という願いを込めて
日本の各地域の象徴となる場所に建築デザインされ、地域の文化を発信する店舗“リージョナル ランドマーク ストア”として2014年に誕生した出雲大社店のコンセプトは「和と洋の縁結び」。和風の造りに出雲大社よりインスピレーションを得たデザインが施され、2階席からは勢溜の大鳥居が見える。参拝後などに、多くの観光客が休憩しようと訪れる。そんな観光地で地元のためにできることをとパートナーたちが考えたのが、コミュニティボードで地元の魅力を発信することだ。

「地元の方には『地元をもっと好きになる』、観光客の方には『出雲のことをもっと知ってもらう』。その2つの思いが縁を結ぶようなメッセージになるようにといつも考えています」と語るのは、今年4月までストアマネジャー(店長)を務めた、現「ゆめタウン出雲店」ストアマネジャーの春満奈美さん。

そんな気持ちに至ったのは、春さんが沖縄出身であることも関係しているようだ。「生まれ育った自分には当たり前すぎて、沖縄の自然や文化などのよさには離れてから気付きました。だからきっと、出雲に暮らす方たちにも当時の私のような人がいるかもしれません。出雲は、暮らしを楽しまれている方が多い魅力的な地域。コミュニティボードが地元を愛せるきっかけになればいいなと思っています」

今年4月に掲示したのが、全国的に見ても神楽が盛んな島根県の中で、特に出雲地域に伝わる「出雲神楽」。ボードには奏楽に合わせて刀や扇、幣(ぬさ)を手にして舞う姿が描かれた。

紹介のきっかけは、出雲神楽を代々受け継ぐパートナーがいたこと。「町内各所でとても盛んに舞いが披露されていて、出雲大社から笛の音が聴こえてくることもありました。しかしコロナ禍で活動がなかなかできないことを知り、少しでも役に立てばという気持ちで文献などをお借りして、勉強しました」と春さん。

昨夏はコミュニティボードを使って遊び心のある試みも行った。県内4店舗のボードの写真を撮って並べると“縁”という文字ができあがるというものだ。4店舗の大枠を決めたうえで、デザインは各店自由。「出来上がったら想像以上によいものになっていて感動しました」とは、パートナーの中心になってボードを描く堀西美也子さん。

「遠くに出かけられないコロナ禍だからこそ、島根県を巡ってもらうきっかけに」との思いを込め、出雲大社の八雲、玉造の勾玉、松江城、コーヒーの木や豆…。島根県とコーヒーの文化が融合したボードが完成した。「他店で撮影したボードの画像を見せてくださるお客さまがいらしたり、パートナーたちも他店を行き来したりして、つながりが深まって私たち自身も楽しかったです」と語る。

こうしたボードを目当てにお店に訪れるお客も少なくなく、写真をファイリングしている人、毎年正月の“謹賀新年”のボードの写真をスケジュール帳の表紙にしてくれる人までいるという。

■コミュニティボードを通じて“知る”から“つながる”へ
コミュニティボードでは地域の魅力だけでなく、社会に向けたメッセージも発信している。その1つが、昨年に掲示した「NO FILTER」―― スターバックスが掲げるインクルージョン&ダイバーシティのメッセージだ。先入観や思い込み、偏見といったフィルターを持たず、すべての人を温かく迎え入れ、認め合い、1人1人が自分らしくいられることへの思いを込めている。「人種、職業、性別、障害の有無にかかわらず、誰もが自分の居場所を感じられる社会をつくっていきたいという思いを込めました」と春さんは言う。それには地元の特別支援学校とのかかわりも影響しているようだ。

現在、出雲大社店では島根県立出雲養護学校の卒業生がパートナーとして働いている(障害のあるパートナーは「チャレンジパートナーサポートプログラム」を活用して個々の能力に寄り添った環境で業務に取り組む)。学生のころから接客業に就くのが夢だったという渡部葵依さんは、出雲大社店での職業体験を経て3年前に採用された。「コーヒーを通じてお客さまやパートナーとお話しするのが楽しくて、やりがいを感じています。今日のおすすめの豆はパプアニューギニア産。明るくていい香りがしますよ」と笑顔を見せる。

コロナ禍で職業体験が実施できない間も、コーヒーセミナーを開くなど出雲養護学校との交流は続いた。教員との話のなかで「養護学校の卒業生が接客業で自分らしく働くことが難しい」ことを知った出雲大社店が、渡部さんのケースが1つのロールモデルとなるよう、カリキュラムや成長をまとめて学校と共有したことも。こうしたつながりが新たな“縁”を結び、今春からゆめタウン出雲店でも卒業生である景山紫音さんが働いている。

出雲養護学校教員の山根育子さんは、「職業体験の後、『渡部さんは接客業がしたいという意思を持っています』という春店長の言葉を聞いて、本人の可能性をつぶしてはいけないとハッとしたことを覚えています。引っ込み思案だった彼女に真摯に向き合ってくださった」と振り返り、現在の渡部さんが楽しそうに働く姿に成長を感じている。だからこそ「NO FILTER」のボードを見たときは感慨深かったという。

「苦手なところがあっても、ありのままの自分なんですよね。得意なことを見つけてもらえて、仕事で発揮できるのはありがたいことです。ボードで『どんな方でも強みを発揮しながら働ける』という発信があり、それは私たちも願っていることなのでとてもうれしかったです」

“知らない”ことが、さまざまな壁を作る。だからこそ春さんは「違いを“受け入れる”よりも、“知る”ということがベース。そこから、将来的には“違いは当たり前”がベースになる社会になったらいいな」と願っているそう。そんな思いが、「NO FILTER」のボードには込められている。

「ボードをきっかけに、私たちが知っていること、体験したことをお伝えできるのがうれしい」と取り組みを続ける出雲大社店。「知る」をきっかけに、思いや輪が広がっていろいろな“縁”を結ぶようにと、コミュニティボードに今日も思いを込める。


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