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【漫画】内申点目当てのボランティアって“偽善”?WEB漫画『偽善者物語』、初の連載で見えたもの

  • 2022年3月29日
  • Walkerplus

内申点目当てで参加を決めたボランティア。自分のためにはじめたボランティアにいつしか充実感を覚えるものの、そんな態度を友人からは陰で「偽善」と言われ――。

コンサルティングファームの株式会社クニエが主催するWEB漫画賞「クニエ漫画グランプリ2021」でクニエ特別賞を受賞した漫画『偽善者物語』は、「貢献」をテーマに、高校生たちの小さな貢献や心情の変化を描いた作品だ。

■内申点目当てのボランティアは「偽善」?女子高生の小さな貢献描く
なにごとも「なんとかなるっしょ!」と明るく流す高校2年生の「中園いちか」。模試の結果が返ってきた日の放課後、高校3年生の三条先輩から炊き出しボランティアに協力してほしいと呼び止められるところから物語ははじまる。

「ガラじゃないので」と、友人たちとともにスルーするいちかだったが、「内申点にもいいですよ?」の一言に惹かれ、一人ボランティアへの参加を決める。

炊き出しのために早起きし、自慢のネイルは切られ、炊きたてのご飯でおにぎりを握ったため手も傷めと、さんざんな状況に「はやくおわんないかな…」とぼやくいちか。だが、おにぎりを受け取った人から「朝早くからありがとねぇ」とねぎらわれ、誘った三条から感謝されたことで、「こんなのキャラじゃないかもだけど」と思いながらも、次のボランティアも手伝うことを決意する。

だが、いちかが内申点目当てでボランティアに参加したと知った友人たちは、そんな彼女の行動を「偽善じゃない?」と漏らすのだった――。

クニエ漫画グランプリ2021では「貢献」「熱意」「誠意」「志」「共感」「仲間」の6つの中からテーマを選び応募、各テーマの中から一次審査を突破した6人が、全6話の作品を制作。グランプリ特設サイト上で毎月連載し審査を行い、連載中は原稿料も支給というユニークな方式が採られた漫画賞だ。

ウォーカープラスでは今回、6作品の中からクニエ特別賞に選ばれた『偽善者物語』の作者・にいろはるをみ(@niiro_haruomi)さんにインタビューを実施。作品制作の裏側や連載中のエピソードなどを聞いた。

■締め切り1週間前に大改稿、初の連載で気付いたもの
――このたびはクニエ特別賞受賞おめでとうございます。あらためてお気持ちを聞かせてください。

「ありがとうございます。せっかく連載のチャンスをいただけたので、何かしら結果を残したいと思って半年頑張ってきましたが、その努力が報われたような気がして、とても嬉しかったです」

――クニエ漫画グランプリに応募したきっかけを教えてください。

「連載経験がなかったので、自分に連載という負荷がかかった時にどうなるか試したかった、というのがきっかけです。スケジュール面でも、漫画の構成面でも大変勉強になりました。また、グランプリへのノミネート段階で原稿料がいただけると言うのも他の連載形式の漫画賞と大きく違うところなので、とても魅力的でした」

――高校生らしさを感じる群像や、明るさやシリアスのバランス感が面白かったです。特にこだわったポイントはありますか?

「第4話に三条先輩といちかが自分の気持ちを共有しあうシーンがあるのですが、どうしても絵的に地味なシーンになってしまうので、いろんな種類の笑顔を描けるよう表情には気を配りました。あとはテーマがテーマなので、説教臭くならないようにセリフはかなり考えました」

――「貢献」というテーマや、「偽善」の描き方も強く印象に残りました。本作の軸になっている部分は以前から考えていたところだったのでしょうか?

「実は5話以降の内容を、第5話の締め切り1週間前に大きく変更しました。第4話まで作画していく中で、いちかを非難してしまった友人の話をもう少ししっかり描かないと、悪者としてきり離してしまうようで、もったいないなと思ったからです。立派じゃない小さな貢献を描きたいというのが『貢献』というテーマを選んだ理由だったので、いろんな種類の“貢献したい”気持ちを描きたいなという思いが湧き、軸は変わっていませんが、描き方を変えた部分はあります。『ああ、連載するとこういう気持ちの変化があるのか!』と思いました(笑)」

■「ストーリー」の組み方から「キャラクター」の見せ方へのシフト
――本賞では編集担当者がつき連載が行われたそうですね。その中での変化や、印象に残ったことは?

「“どうやってストーリーを組み立てるか”より、“どうやってキャラクターに興味をもってもらうか”に、考え方が変わった気がしました。最初の打ち合わせの時に、編集担当の樹崎先生が『面白い漫画は読者が自然とその漫画のキャラクターのことをずっと考えちゃう』、というようなことをおっしゃっていて、面白いストーリーを作らなきゃと思っていた自分には目から鱗でした」

――また、毎話ごとに編集者のたらればさん(@tarareba722)と株式会社シャープ公式Twitterアカウント(@SHARP_JP)担当者からの寸評がつくシステムはいかがでしたか。

「大変ありがたかったです!普段は描いていてもなかなか反応をもらえる機会がなかったので、こんなにもびっしり講評をいただき非常に参考になりました。佐渡島庸平さん(※株式会社コルク 代表取締役社長)や仲暁子さん(※ウォンテッドリー株式会社 代表取締役)など、審査員の方々はたくさんの漫画をお読みになっているので、『この方たちを唸らせることができるのか!?』というのは少しプレッシャーでもありました(笑)」

――最後に、今後の創作活動についての思いや目標を教えてください。

「今回『偽善者』というものをテーマにしたように、人を羨んだり、妬んだりして悩むキャラクターが大好きなので、長編連載を目標に、キャラクターが悩む様を面白く描ける漫画家になりたいです。あとはどんな漫画賞に応募しても大賞やグランプリまで届いたことがないので、次は大賞がほしい!」

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