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【パンダWalker】もうすぐひとり立ち!アドベンチャーワールド「楓浜」のおいたちプレイバック!

  • 2022年3月29日
  • Walkerplus

2022年の幕開けは上野動物園の双子パンダでヒートアップしたが、SNSでは、7頭の大家族がのびのび暮らす和歌山のアドベンチャーワールドもすごい!という声があがっていた。なかでも2020年11月22日に生まれたジャイアントパンダの赤ちゃん「楓浜(ふうひん)」は誰もが夢中になるパンダ界のアイドルだ。これまでは、お母さんパンダの「良浜(らうひん)」と一緒に過ごしてきたが、2022年4月上旬頃にはひとり立ちが予定されている。今回は、アドベンチャーワールドの広報・長谷川舞さんに「楓浜」の成長ぶりや、飼育員さんの一日などを教えてもらいながら「楓浜」のおいたちを眺めてみよう!

■2020年11月22日にパンダの赤ちゃん誕生!
父「永明(えいめい)」と母「良浜(らうひん)」の間に、2年ぶりとなるジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生したのは、2020年11月22日11:50。「いい夫婦の日」に出産した「良浜」は、今回で7度目の出産となった。体重は157g、全長20.5㎝。
アドベンチャーワールドでは、これまでに16頭のジャイアントパンダの繁殖に成功しているが、「永明」はなんと、飼育下で自然繁殖に成功した最高齢(当時28歳)のオスという自分の世界記録をさらに更新。「良浜」は、すでに中国に返還されたパンダを含めると10頭の母になり、ますますベテランママとしての存在感を放つことに。

しかし、2020年の「楓浜」の出産は、アドベンチャーワールドではこれまでにない緊張がはしっていたのだそう。

「コロナ禍で、毎回きていただいている中国研究員の方が出産に間に合わず、日本人スタッフだけで行うことになったんです。感染対策として、少人数でチームを組み、態勢を整えました」と長谷川さん。

「これまで、中国研究員さんのそばで動きや赤ちゃんのケアなどは見てきたものの、生まれたばかりのジャイアントパンダの赤ちゃんをさわったことがなく、徹底的に準備を重ねて出産に挑みました」と言い、ミーティング、シミュレーション、過去の映像や資料を見直して出来る限りの対策を練っての出産となった。

「でも、『楓浜』が健康で元気に生まれてきてくれて本当に良かったです」と振り返った。
生まれた直後は、スタッフが「良浜」の乳首まで赤ちゃんを誘導していたが、生後2週間を過ぎると良浜が自分で赤ちゃんを誘導し、母乳をしっかり飲ませることができるようになったそうだ。「保育器の中で寝返りが打てるようになり、生後3週間近くなると、体も白黒くっきり。自力でふんばり、体が起こせるようにもなりました」と続けた。

■性別が分かり、名前の募集を開始!
生後1か月の12月22日には性別が「メス」と判明し、2020年12月24日から2021年2月23日に名前を募集!まだ名前のないパンダの赤ちゃんは、お母さんの母乳ですくすくと育っていった。

■保育器を卒業!目も開き始めた!
自力で体温調整ができるようになったので、生後47日目には保育器を卒業したパンダの赤ちゃん。両目が開いて、うすぼんやりと目が見えるように。

「ただ、完全に見えるようになるのは一般的に生後3か月頃。アドベンチャーワールドの平均開眼時期は、生後40~50日です」。

生後55日になると全長54㎝、体重は2335gで生まれたときより2.5倍以上の大成長!

腕の力がついてきたので、後ろ足を引きずるようにしてぐんぐん前進!

スタッフが構えるカメラを見つめるようになり、「ワン」と鳴いたり、ずんずんと迫るそぶりも見せるようになった。健康チェックもしっかり行われ、体重は約4000gに!

生後3か月を過ぎた93日齢には上あごの左右に一本ずつ乳歯が、続いて犬歯も順番に生え始めた。

■祝!生後100日!「ひな祭り」には、初めてのおもちゃも!
その後、すくすくと成長し、3月2日に無事生後100日を迎えたパンダの赤ちゃん。体重は5500gになり、活発に動くようになった。

「3月3日のひな祭りには、はじめての遊具のプレゼントをしたんです。これは飼育スタッフの手作り。竹と紀州の木材をロープでつないだものです」。目も少しずつ見えるようになってきたので、何にでも興味津々だ。

■ジャイアントパンダの親子、お披露目スタート!
3月10日(108日齢)ごろ、まだおぼつかない足取りで歩き始めたパンダの赤ちゃんは、いよいよ3月12日に、お母さんの「良浜」と一緒にお披露目が開始された。観覧できるのは「パンダの親子観覧整理券(無料)」を持っている人限定。1グループ20人が屋内運動場でくつろぐ親子を眺めるというもの。その時間は約4分と短いが、皆は大興奮。しかしパンダの赤ちゃんにはまだ名前がついていなかった。

■名前は「楓浜」に決定!
そんなパンダの赤ちゃんにも、2021年3月18日いよいよ名前が付けられた。その名は「楓浜(ふうひん)」。

名前選びは、2020年12月24日から2021年の2月23日の間に募集が始まっていたのだが、11万通を超える応募の中から「パンダの赤ちゃん命名委員会」により、まずは「光浜(こうひん)」、「咲浜(しょうひん)」「楓浜(ふうひん)」の3つにしぼられた。そして、さらに一般公募を行い、応募総数11万3314通の中でも1338人が推した「楓浜」が選出されたのだ。秋に色づき、美しく変化する楓のように成長してほしい、という願いが込められている。

名前が決まった4日後、生後4か月を迎えた「楓浜」に、名前入りのおもちゃが贈られた。「これは、ひな祭りで『楓浜』に渡されたおもちゃに、スタッフ自ら名前を焼きつけたお手製です」。体重は6860g、好奇心いっぱいの楓浜は、おもちゃに抱きつき転がったり噛みついたりと思うがまま。

時には、母乳を飲みたい「楓浜」と、体をなめて赤ちゃんのケアをしたい「良浜」のせめぎあいもあり、ほほえましい日々が展開されていく。
お披露目会場の屋内運動場では、「楓浜」のお気に入りスポットが決まった様子で、すみっこに立っては周りを眺めている。

運動場内を走り回って、パワーも全開!

時にはお掃除中の飼育スタッフに突撃することもある。

■ところで、飼育スタッフの1日はどんなスケジュール?
活発に動き出した「楓浜」だが、それをサポートする飼育スタッフの一日はいったいどんなもの?長谷川さんに聞いてみると…

★朝★
「『楓浜』が起きたら、最初に体重を量ります。運動場に竹の準備をして、開園時間になる前に『良浜』と『楓浜』を一緒に運動場に移動させたら、『楓浜』には、お母さんの母乳をたっぷり飲んでもらいます。その後、『良浜』は竹を食べ、『楓浜』は遊具で遊んだりお母さんとじゃれあったりして過ごします」

★昼★
「運動場の竹が昼になると少なくなるので、2頭をバックヤードに移動させて、運動場の清掃と、新鮮な竹の補充を行います。この時、授乳後の『楓浜』の体重を量り、どれだけ増えたかをチェックして、母乳の量を記録します。2頭は午後も自由に過ごしますが、公開終了の15:00ごろまで昼寝をしていることも多いですね」

★公開終了後★
「夜は、『楓浜』をバックヤードの運動場へ移動させます。そちらでも、遊具で遊んだり、眠ったりして過ごしていますね。夜間の授乳は、飼育スタッフが人工乳を与えています」

24時間体制の飼育だが、楓浜の成長は飼育スタッフの愛情があってこそ。細かい体調の変化も見逃さないプロの目が、パンダ家族を支えている。

■木登りの練習をするために、新しい遊具をもらった
ジャイアントパンダの赤ちゃんは生後5か月頃になると、自分の力で木に登りはじめる時期なので、またまた新しい遊具が完成。紀州木材の柱を並べたこの遊具は「楓浜」の木登りの練習を手助けするものだ。
このころには、どんどん体も大きくなり、体重は8220gにまで成長。体重を量る時は、落ち着いていられるように、ニンジンをくわえて集中!まだ食べることはできないけれど、くわえた姿はかわいすぎる!

「楓浜」は、屋内だけでなく、日光浴を兼ねて、芝生の緑がまぶしい屋外運動場へも出ていく。遊具には滑り台があり、楽しそうに挑戦!

■親子そろって初めての屋内運動場デビュー!
2021年4月22日には、親子そろって初めて屋内運動場でくつろいだ。お母さんの「良浜」はゆっくりと竹に近づいて美味しそうにほおばり、「楓浜」はその姿をマネするかのように一緒に竹をかじってみる。

このころの体重は8680g、全長80㎝。生まれたときは157gしかなかった「楓浜」はどんどん成長を重ねている。
乳歯も生えそろったので、あれこれかじってみたいお年頃なのだ。

■お母さんといる時間に、社会性を勉強!
「ジャイアントパンダは、群れで生活せず、単独で暮らす動物なので、他のパンダと一緒に暮らすのは、お母さんが世話をする赤ちゃん時代だけなのです。だからこそ『楓浜』も、今大事なことを勉強中。遊びやじゃれあうことを通して、他のパンダとの接し方を身に付け、体力をつけて、ひとり立ちに向けて教育を受けていくんです」
まだニンジンは食べられないが、リンゴを初めて食べたのは約半年後(170日齢)。しっかりかみしめて、ごくりと飲み込んだ。これまで母乳だけで育ってきたので、他の食材は噛んだりなめたりするだけだったが、歯を使いしっかり食べることが出来るようになってきた。

■2021年5月22日、「楓浜」のハーフバースデイをお祝い!
生まれてからちょうど半年後の2021年5月22日(181日齢)。ハーフバースデイを記念して飼育スタッフからプレゼントが贈られた。ハーフサイズの若竹のほか、「楓(かえで)」の葉の形にくり抜いたニンジンをちりばめてカラフルにお祝い。

「体重は10kg、歯も乳歯から永久歯へと生え変わり始めているので、これからニンジンや竹もたくさん食べられますように!との願いを込めたプレゼントです」

生後200日頃には、新しい遊具がやってきてご満悦の「楓浜」。今度は、細めの紀州木材を使った高さのあるアスレチック風の遊び場が完成だ。細い丸太に加え、太い丸太も配置し、はしごまでついて、登る所がいっぱい!
さらに数日後、タイヤも加わって遊び道具が大充実。「楓浜」の探求心は尽きない。

■七夕にはニンジンやリンゴの食べられる天の川が登場
七夕の日には「楓浜」にもプレゼントが贈られた。リンゴで作った織姫と彦星のほか、リンゴやニンジンを使った食べられる天の川だ。大好物のリンゴに夢中になる「楓浜」。
リンゴも大好きだが、やっぱりまだまだ母乳が主食だ。「ジャイアントパンダは1歳頃までほぼ母乳だけで成長しますので、母乳は大事な栄養です」と長谷川さんは教えてくれた。

■生後300日を過ぎると足取りも力強く、運動能力もアップ!
誕生してから約10か月。300日齢を迎えた「楓浜」は、体重も20kgを超え、力強さが増してきた。お母さんの「良浜」も遊具で一緒に遊びながら親子の時間を過ごしていく。「このころには『楓浜』のボディアタックも激しさをましていき、お母さんも全力で遊びにこたえる姿が見られるようになった」そうだ。

すっかりパンダ座り(後足を前に投げ出して、腰の辺りを地面につけて座るスタイル)も上手になって、パンダらしさが増してきた。

「ジャイアントパンダは木登りが上手いので、特に幼い頃は、高い安全な場所で休む習性があるんです。だから飼育スタッフは、成長に合わせて遊具の高さをかえている」のだそう。「楓浜」は、常に一番高い場所へ竹を運んで、昼寝をするのが大好きなのだとか。

■1歳の誕生日を前に、お母さんと一緒に屋外運動場へ登場!
これまで室内運動場だけでお披露目されていた親子パンダだが、2021年10月21日に屋外運動場にもデビューを果たした。これまでのような抽選観覧を終了し、自由に観覧できるようになったのもこのころだ。

■楓浜、1歳おめでとう!
2021年11月22日、「楓浜」は無事1歳を迎え、開園前にお誕生日会を開催。飼育スタッフからは、特製の積み木と「楓」の葉っぱをかたどった氷をもらって楽しそう。体重は28.94kg、全長は約105cmとなり、無事にここまで大きくなった。

穏やかな気候の和歌山とはいえ、冬の寒さは底冷えが激しい。しかし、野生のジャイアントパンダは雪の降る標高の高い山で暮らしているので寒さにはとても強いらしい。寒い冬でも「楓浜」が元気いっぱいなのは、本来持っているジャイアントパンダの特性といえる。
2021年12月27日に生後400日を迎えた「楓浜」は、同じ日に2022の数字をかたどった大きな氷のプレゼントをもらった。パンダが食べ残した竹で作った門松も一緒に飾られて「楓浜」は興味津々!元気いっぱい楽しく遊んで2021年を締めくくった。

無事に2022年を迎えた「楓浜」は、今年の4月上旬頃にひとり立ちをする予定となっている。現在は、親子での観覧を減らし、単独展示を増やしながら、ひとりで暮らす訓練を続行中だ。親子一緒の姿を観ることができるのもあと少し。これまでの歩みを眺めながら、「楓浜」の成長をみんなで応援しよう!
アドベンチャーワールドでは、現在7頭のパンダを観ることができる。一番ちびっこの「楓浜」のほか、お母さんの「良浜」、お父さんの「永明」、双子の「桜浜(おうひん)」「桃浜(とうひん)」、とんがり頭が特徴の「結浜(ゆいひん)」、アドベンチャーワールドで誕生したジャイアントパンダの中でも一番小さかった(75g!)「彩浜(さいひん)」の大家族。この家系図はお父さんの「永明」から始まり今も次世代へと引き継がれている。日本はもとより、世界中のパンダファンから注目を集める人気ファミリーを、この先もチェックしていきたい!

「楓浜」の様子はアドベンチャーワールドの公式YouTubeで毎日配信中。他のパンダの様子も登場するのでお楽しみに。

取材・文=田村のりこ

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