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かわいすぎる森の妖精から日本最大の陸生動物まで!北海道固有種の“エゾ”な動物たち

  • 2022年3月18日
  • Walkerplus

北海道には、本州では見られない固有の動物が多数生息する。そして、それらの固有種の名前には、北海道を意味する“エゾ”が使われていることが多い。今回は、日本最北端にある北海道の人気動物園「旭川市 旭山動物園」で展示されている“エゾ〇〇”をピックアップ!

ここで紹介している動物たちは、北海道の厳しい寒さでも冬眠せずに巣穴などでじっと過ごし、エネルギーを節約する“冬ごもり”を行う種が多い。「冬毛に衣替えして防寒したり、雪の上でも身軽に動ける体を持っていたりと、寒い地域で過ごすための体をしている動物です」と教えてくれたのは、園長の坂東さん。それぞれの種の特徴などを聞いた。

■エゾクロテン
冬毛は全身クリーム色、夏毛は顔と首辺りが黄褐色で、ほかの部分が焦げ茶色になるエゾクロテン。食肉目(ネコ目)イタチ科クロテン種の亜種で、クロテンとの違いは毛色と体格だ。クロテンはロシアや中国、ヨーロッパ東部などに広く分布する種で、体毛は灰色や黒色。エゾクロテンよりも体がひと回り大きいんだそう。また北海道以南には、ホンドテンという種が生息している。

エゾクロテンの頭から胴の長さは35~56センチほどで、尾長は11~19センチほど。体重は0.7~1.8キロ程度。寿命は飼育下だと約15年。かつて毛皮目的で乱獲された歴史があり、今は禁猟対象になっている。人間を非常に警戒するため、野生の個体はなかなか見ることができないそうだ。

「エゾクロテンは雑食性で、小型の哺乳類や鳥類、は虫類、両生類、昆虫のほか、木の実や果実も食べます」(坂東さん)。時には、ウサギなど自分よりも大きな動物を捕食することもあるそうで、愛らしい見た目に反して凶暴な一面も持つ。

「森林で生活するエゾクロテンは冬眠をせず、一年中、昼夜に関わらず活動します」と坂東さん。主に樹上で活動し、休む時は樹洞(じゅどう) などを利用するそうだ。そんなエゾクロテンが休息する様子も観察できるよう、同園では展示場に樹洞をイメージした木を設置し、来園者がのぞける小窓を付けている。

■エゾユキウサギ
その名の通り、雪のような白い毛並みがかわいらしいエゾユキウサギ。真っ白なのは冬毛の時だけで、夏は茶色の毛に生え変わり、まったく違う印象になる。ウサギ目ウサギ科、本州のノウサギとは別種で、ユーラシア北部に広く分布するユキウサギの亜種。北海道の森林に生息し、木の実や植物などを食べる。頭から胴の長さは約50~60センチ、体重は約2~4キロ。寿命は飼育下で約10年。

エゾユキウサギは、国内に分布する野ウサギのなかで最も体が大きい種なんだそう。「かんじきのように大きな後ろ足が特徴です。足の裏に密生した毛が滑り止めになり、柔らかい新雪の上でも埋もれずに駆け回ることができるんです」(坂東さん)。キタキツネなどの捕食者から逃げ切るため、脚力も強くて俊足。最高時速はなんと時速80キロほどだそうだ。

■エゾタヌキ
ネコ(食肉)目イヌ科の哺乳類。東アジアに分布するタヌキの亜種で、北海道の一部に生息する。頭から胴までの体長は50~60センチ、体重4~8キロ。寿命は約10年。本州や四国、九州に生息するホンドタヌキと外見上の違いはあまり多くないが、エゾタヌキのほうが寒い地域に生息するために冬毛が発達していてモフモフ度が高く、冬毛の色合いも淡い。

エゾタヌキは、森林や川、沼沢(しょうたく)などで生活し、基本的に一夫一妻。繁殖期は春から夏で、一度に3~8匹の子供を産み、繁殖期以外は複数で行動することもある。日中は木の根元のくぼみや岩の割れ目などを利用した巣穴で休息していることが多く、主に夜に行動する。

夏と冬で見た目が変わる種のエゾタヌキは、冬はふわふわの冬毛に生え変わる。「秋のうちにしっかりと食べて脂肪を蓄えて、まるまると太ります」(坂東さん)。その蓄えた皮下脂肪を少しずつ消費しながら巣穴の中で冬ごもりするエゾタヌキに対し、ホンドタヌキは冬ごもりをしないそうだ。

■エゾリス
げっ歯目(ネズミ目)リス科、キタリス種の亜種。頭から胴の長さは22~23センチ、体重300~470グラムほど。寿命は約2~3年だが、旭山動物園では16年の長寿記録もある。北海道の森林にのみ生息する種ではあるが、農家周辺や公園などにある雑木林でも見られるため、道民にはおなじみの固有種。冬になると耳の“房毛(ふさげ)”がピョンと伸びるほか、尻尾もふさふさになり、全体的にふっくらとした印象に変わる。

エゾリスは冬ごもりのため、巣の中や地面にエサを貯めておく“貯食行動”を行う。秋には、クルミやドングリ、松の実などを一生懸命運び、冬になると巣でじっとしていることが多いんだとか。

「旭山動物園では、木を上下左右、活発に動き回る姿が見られます。その動きはとてもすばしっこく、目で追いかけるのも大変なくらいです」(坂東さん)。同園では展示されている種のほかにも、園内を走り回ったり木の上でエサを食べたりする野生のエゾリスが時折見られるそうだ。

■エゾモモンガ
森の妖精とも呼ばれ、大きな瞳がチャームポイントのエゾモモンガは、げっ歯目(ネズミ目)リス科の哺乳類。タイリクモモンガの亜種で、生態や習性に相違はないが、毛色がタイリクモモンガは茶褐色なのに対し、エゾモモンガは灰褐色で、冬毛になるとさらに淡く白い灰色になる。頭から胴までの長さは15~16センチ、尾の長さは10~12センチ、体重は100~120グラムほど。寿命は飼育下で約4~5年だ。

北海道の平地から山地の森林などに生息し、キツツキの仲間が作った古巣や、木の空洞などを寝ぐらとして、子育てもそこで行う。夜行性で一日のほとんどを樹上で生活するほか、前足と後ろ足の間にある皮膜を広げてグライダーのように滑空することもある。

エゾモモンガは冬眠や貯食をしない代わりに、秋のうちにたくさん食べて脂肪を蓄え、「夏の時期よりも15~20%ほど体重を増やして冬ごもりします。活動を最小限に留めるなどして冬を乗り越えるんですよ」(坂東さん)。越冬中の時期だけ見られる、コロンとしたぽっちゃりな姿もまたかわいい。

■エゾシカ
偶蹄(ぐうてい)目(ウシ目)シカ科、全部で7種類あるニホンジカの亜種のうちの1亜種。頭から胴の長さ150~190センチ、体重80~130キロで、寿命は約15年。固有種の特徴としては、本州に生息するニホンシカよりもひと回り以上体が大きいことだ。冬毛は灰褐色だが、夏毛は茶褐色に白い斑点の鹿の子模様が浮かぶ。シカの仲間のなかでも特に美しい見た目を誇る。

「個体や年度により、形や大きさに違いがありますが、オスのエゾシカが持つ角は、毎年春になると自然に落ち、初夏にかけて伸び始め、秋には完成します」(坂東さん)。硬く立派な角を持つエゾシカが雪残る岩山にたたずむ姿は、凛々しくて一見の価値ありだ。

■エゾフクロウ
フクロウ目フクロウ科の鳥類。ユーラシア大陸北部など、北半球に広く分布するフクロウの亜種群の1亜種で、北海道と千島列島にのみ生息している。体長約50センチ、翼を広げた長さは約100センチあり、体重は600~800グラムほど。寿命は約20年。季節により長距離移動をする“渡り”の習性がない留鳥(りゅうちょう)で、寒さから身を守るために足の下部まで羽が生えている。

「エゾフクロウは左右で耳の位置が違うんです。右耳が下に付いていることで、獲物が出す音の方向や距離を感知しています」(坂東さん)。音に関する効果を狙った特徴はほかにもあり、羽毛によって作られているハート形の顔がそう。顔盤(がんばん)と呼ばれる形は、パラボラアンテナのように音を集める役割を担う。

■エゾヒグマ
食肉目(ネコ目)クマ科、ヒグマの亜種。頭から胴までの長さは200~280センチ、体重100~300キロ。寿命は約30~35年。日本最大の陸生動物で、がっしりとした四肢に長い爪、頑丈な顎と歯を持ち、人間のように踵を地面に付けて歩く。大きな体ながら木登りも得意で、「特に園で展示しているメスのとんこは、柵に登ったり、プールに入って窓の所に体当たりをしたりと活発です」と坂東さん。やんちゃな行動を披露して来園者を驚かすなど、人気を博している個体だ。

ちなみに同園では2022年の春、約9年ぶりとなる大型施設「えぞひぐま館」がオープンする。木が植えられた屋外と屋内の放飼場から成る展示場で、知床の大自然を知ることができるコーナーも設けられるなど、エゾヒグマと人間の共生を考える施設になるそうだ。

なお、旭山動物園には展示されていないものの、“エゾ〇〇”な動物には、イタチの仲間で冬は真っ白な冬毛が愛らしく超絶かわいいと言われている「エゾオコジョ」や、北海道の高地だけに生息するネズミのような見た目がかわいい「エゾナキウサギ」などの種も存在する。

北海道の冬は長く、例年6月上旬くらいまでは冬毛をまとって活動的に暮らしている彼ら。断熱や保温のために毛が長くなったエゾタヌキやエゾリス、雪に紛れられるよう真っ白な冬毛になったエゾユキウサギほか、冬季だけのフワモコでキュートな姿を見て、心和ませよう!


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