
看護師でありシングルマザーであるまゆんさん(@mayun4311)。自閉症スペクトラムがあり特別支援級に在籍する小学6年生の息子・太郎くんとの暮らしを漫画にし、Instagramで配信。さまざまな出来事を、まゆんさんと太郎くんが一緒に乗り越えていく姿に共感の声が多く届いている。ウォーカープラスでは「自閉スペクトラム症の太郎とやさしい世界」と題し、連載をスタート。まゆんさん一家の何気ない日常を、描き下ろしの新作漫画と共に隔週でお届けする。
今回のテーマは「相手を思うこと」。まゆんさんに日々心掛けている事などを聞きつつ、ご紹介する。
■じいじの例えや気遣いに気付かされる
アスパラベーコン巻きを目の前に、フリーズする太郎くん。まゆんさんは、先日アスパラとベーコン炒めを食べた太郎くんを見て、今回は巻いてみたのだ。
するとそこに、「なんだ?うかない顔だな」とじいじがやってきた。「アスパラもベーコンも好きやろ?」と太郎くんに問いかけつつ、少し考えたじいじは「うんうんわかるぞ。きれいな女の人2人に同時に言い寄られたらどうしていいかじいじもわかんないもん♪」と言った。
「何を言っているのか…」という表情のまゆんさんとばあばだったが、太郎くんは次第に笑顔に。よくよく考えたまゆんさんは「じいじの例え、わかりやすい」と気付く。感覚過敏である太郎くんは、普段おにぎりは塩おにぎりで食べ、海苔を付けるとかたくなに口にしない事を思い出した。
太郎くんは、視覚からの情報でひとつのおにぎりではなく「米」+「海苔」と2つの物として捉えているのでは、という考えに至ったのだ。ひとつの物に対して、嗅覚・味覚・視覚・触覚がフル稼働している太郎くんの繊細さに関心するまゆんさん。
「食べ物以外でも、外出する際に『そこはどういうところ?』『何県?』などはよくある会話だと思うのですが、太郎はそれに加えて『そこはどういうにおい?』と嗅覚に関する事も聞いてきます。山に似た香りとか、海に近いから海のにおいだよ、などと答えるようにしています」
アスパラとベーコンを別々で太郎くんに出すと、今度はモグモグと食べ出した。愉快なイメージのじいじだが、今回は鋭い例えや「わかる、わかるよ」と理解しようとする気持ちや心遣いに、優しさがにじみ出ている。
取材・文=重藤歩美(ウォーカープラス編集部)