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【漫画】「すごくニッチなPR」、瓦にまつわるプロモーション漫画がTwitterで意外な反響。その狙いを訊いた

  • 2022年1月21日
  • Walkerplus

「瓦の屋根が欲しいわ」「渋いな!!」。さまざまなジャンルや題材の漫画が話題を呼ぶSNS上では、漫画を用いた宣伝も珍しいものではなくなった。だがその中でも異色すぎる「瓦」をテーマにしたプロモーション漫画がTwitterで注目を集めている。

■ガイドラインまで熟知、瓦に詳しすぎるPR漫画が異例の好評
反響を呼んだのは、『100%除霊する男』などで知られる漫画家のおのでらさんが手がけたプロモーション漫画。新築の購入を決めた一家が、それぞれ新しい家に対する希望を挙げていく場面を描いている。

「お母さんはキッチンが広い家がいいな」「ぼく庭!遊べるくらい広いやつ!」とそれぞれほしい要素を述べる中、長女は「瓦の屋根が欲しいわ!」と断言。デザインの美しさや耐久性、防音性、耐火性、耐水性など瓦屋根のメリットを力説し、「災害とかの影響を受けそうじゃない?」という疑問にも「もしかして瓦に関するガイドライン工法をご存知でない!?」と専門的な知識まで飛び出る博識ぶりを披露するというギャグ漫画となっている。

同作品にはPR漫画でありながら9400件以上のいいねが寄せられ、ユーザーからは「すごくニッチなPRですがとても面白く興味が湧きました」「PRでミュートしなかった漫画は初めてかも」と好評。コメント欄で瓦に関する話題が盛り上がる様子も見られた。

このプロモーションは愛知県陶器瓦工業組合によるもの。実は愛知県、年間粘土瓦出荷量の約70%を占める日本一の瓦の産地。愛知産の瓦は「三州瓦」と呼ばれ、形や色など種類が豊富にあり、和風建築から洋風の住宅までさまざまな建物に活用されているという。

2021年11月末にTwitterで公開された同作のほかにも、ツボウチさん(@pullalongduck)や常喜寝太郎さん(@netarouTsuneki)さんによる瓦にまつわるPR漫画も公開するなど、ニッチすぎるプロモーションをあえて実施した狙いはどこにあるのか。愛知県陶器瓦工業組合の担当者に話を聞いた。

■「地域+商品名」がイメージできるように。下降が続く瓦業界の生存戦略
――Twitter上で三州瓦のプロモーション漫画が話題になっています。どんな経緯でこの企画がはじまったのですか。

「『三州瓦』のブランディング戦略について、1年前から広告代理店と何度も協議を重ねた結果、WEBブランドサイトの制作とサイトに誘導するための広告展開をSNSに絞り、その一つとしてTwitter漫画を選択しました。瓦は一般の方々にとってはとっつきにくい商材ですので、コミュニケーションの入り口としてTwitter漫画を通して瓦を身近に感じていただけることを期待しております」

――建材はBtoB、事業者向けというイメージが強いのですが、一般の方に向けたブランディングに力を入れたのは何故でしょうか。

「背景として瓦市場は、東日本大震災以降、新築住宅着工戸数の変動に関係なく下降が続いております。競合屋根材の多様化など、住宅屋根への瓦の採用比率が低下し、また最近では燃料価格や原材料価格の高騰、新型コロナウイルスの影響による先行き不透明など、瓦業界を取り巻く環境は非常に厳しくなっております。

そこで設計事務所や工務店等の建築関係者だけでなく、施主となるエンドユーザーに直接訴えていくことも必要ではないかと感じ、これまで以上にBtoCを意識した「戦略」としてブランディングを行っていくこととしました。

例えば、『八丁味噌』『今治タオル』等々のように「地域+商品名」がすぐに頭の中でイメージできるように『三州瓦』も愛知県の瓦として広くエンドユーザーに周知し、住宅の屋根に瓦を選んでいただけるようなPR展開を考えております」

――漫画の内容は各作家の個性が出ていると思います。内容についてはどのように決められたのでしょうか。

「私どもから、訴求ポイントとして『2022年1月から瓦の取り付け方法が強化されるため、台風や地震等の自然災害にも強くなること』、『瓦は耐久性があり、メンテナンスもほとんど不要でランニングコストがかからないこと』などを作品の中で表現して欲しいと要望しました。マンガ作家さんの作品を拝見して、とても楽しく面白く私どもの訴求ポイントもわかりやすく表現されており、全ての作品で、読んだ方が笑顔になれるような内容になっていると思いました」

――作品には多くのいいねとともに、コメント欄で瓦に関する話題が広がるなど反響を呼んでいます。取り組みを通しての手ごたえや、三州瓦に興味を持った方に向けてのメッセージなどいただければ幸いです。

「震災時に瓦が落ちた際、報道では屋根材全てが瓦として扱われ、スレート材や金属屋根等々も総じて屋根瓦として扱われてしまう傾向があります。特に粘土瓦は耐久性が60年以上もある為、大昔の『土で瓦を固定する』という、古い時代に施工されたものが、未だに多く残っており、それが崩れた状況が放映され、誤解を招いています。

現在では、全ての瓦は1枚ごとに釘やビスで固定されています。また、施工する際、全ての瓦が組み合わさって浮き上がりを防ぐ『防災瓦』になっており、メンテナンスしながら長期使用していくサスティナビリティ性、自然素材、屋根の構造体である野地板との間に空気層の出来る二重構造の施工から結露を防ぎ建物を長持ちさせるなど、現代社会の課題解決につながる屋根材へと進化しています。

テレビだけでなく、TwitterやYouTube等、色々な媒体から情報を取得できる今、マンガや動画等で、わかりやすく瓦に興味を持ってもらい、現代の進化した瓦にスポットを当てていただきたいと願っております。先人達が生み出した、日本古来からの素晴らしい瓦という屋根材を、そして現代に合わせ変化させた瓦に是非、興味を持っていただきたいと考えています」

愛知県陶器瓦工業組合では、三州瓦の歴史や特徴、のQ&Aなどをまとめたブランドサイトも公開中。漫画を入り口に、意外と知らない瓦について知識を深めてみてはいかがだろうか。






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