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「共依存恋愛」を描く漫画に、共感の声。離れたくても離れられない関係から抜け出すヒントになれば

  • 2021年12月2日
  • Walkerplus

恋人と連絡が取れない時間が不安で何も手につかない…。ひどいことをされても、自分が悪いからだと受け入れてしまう。離れたくても、離れられない。恋人がいないと、生きている意味がない…。そうして気づけば身も心もボロボロになってしまっていた、依存関係を漫画で描いた「レンアイ共依存」がSNSを中心に話題を集めている。

作者は、漫画「母とうつと私。」など実体験をもとにした、リアルな描写が大きな反響を呼んでいる漫画家の笹川めめみさん。本作も共依存関係の恋愛から抜け出した実体験をもとに描かれており、読者から「私も今、同じ状況だ」「共依存しているのかも」と共感の声が多数寄せられているという。そもそも“共依存恋愛”とはどういうものなのか、なぜ漫画に描くことにしたのか話を聞いた。

■「恋人と一緒にいないと不安で、自分の存在価値すら見出せなくなった」
――どういった経緯で、連載を始めたのですか?

「私自身の実体験をもとにした創作漫画なんですけど、恋愛における共依存問題に焦点をあてた漫画って意外と少ない気がしたので、漫画にしたら面白いかなと思い描きはじめました。私自身は共依存関係から抜け出せたからこそ、どういう問題か分からない人や今まさに悩んでいる人たちのヒントになったらいいなという思いもありました。実際に、『漫画を読んで、共依存関係にあるかもしれないと気づくことができました』といった声もいただけて、役立てたんだとうれしくなりました」

――冒頭で苦しみながらも、抜け出した人の話であるとすでに語られていますよね。

「ただ暗い漫画は描きたくなかったので、読んでくれた人たちに気づきがあったり、前向きになってもらえるきっかけになるような漫画にしたかったので希望に向かっていく話であることを最初に伝えています。描くからには、自分の経験やそれをもとに描いた漫画が、おもしろい上に何か少しでもプラスになっていたらという思いで活動しているので」

――具体的に、恋愛における共依存関係というのはどういうものなのでしょうか?

「“共依存恋愛”といって、パートナー同士が依存し合っている関係のことをいうそうです。さまざまなケースがありますが、私の場合は恋人同士が好きだから付き合っているというよりも、依存関係の場合は『あなたの存在なしでは、私という存在意義がない』という気持ちから一緒にいたところがあります」

――対等な恋愛関係というよりも、相手がいないと自分自身すら保てないのですね。

「そうなんです。これは自分に自信がなかったりコンプレックスがあると落ち入りやすいそうです。一人では不安になりやすいから、パートナーの存在がいることで安心したり落ち着ける。なので、毎日会わないと気が済まなくなったりします。今思えば、普通は毎日会うなんてめんどくさいし大変だし、一人の時間とか友達と遊ぶ時間がほしくないのかって思うんですけど、恋は盲目という言葉通りそんなことなくなっちゃうんですよね。一緒にいることでしか、自分の存在価値を確かめられなくなるんです」

――それは、自分だけでなく相手も同じように思う?

「はい、相手も会えないとつらくなる。例えば、私が友達と遊ぶから会えないと伝えると、『俺よりも友達を優先するんだ』って言われたり、『俺を一番に優先してよ』と言われたりする。それって健全な状態じゃないし、恋愛ってそういうのじゃなくね?と思いますよね。でも当時は、おかしいなと思えず言いなりのような関係でした。これは、結婚している人でもそういう関係の人たちもいるので、パートナーの存在が側にいないととにかく不安だという人は、気をつけた方がいいかもしれません。因みに、恋愛に限らず、モラハラやDVも同じ関係性にあたるそうです」

――というと?

「支配する側と、される側の構図としては、共依存恋愛とモラハラなどは同じくくりになるそうです。例えば、家庭内でひどいことをされていても、側にいないといけないという義務に思えたり、好きだからという理由で言うことを聞いてしまったりする。自分が悪いと思うようにもなるのですが、それは自信の無さからくることが多いようです。私もブスとかデブとか言われたけど、自分が不細工だから言われるんだとか、太ってるから痩せなきゃとか、反抗するどころか受け入れて、さらに自信をなくして、そんな自分と一緒にいてくれる相手に依存して、ひとりでは不安になって…と負のスパイラルに入るんです」

――好きだから我慢している、と錯覚してしまうのですね。好きとかではない、もっと根深いところに依存の原因がある。

「そうなんですよね。好きと錯覚するから、依存していることに気付きにくいんです。私も抜け出してしばらくしてから気づけたぐらいで、当時もあるきっかけがなければ『このままではダメだな』とすらなかなか思えなかったと思います。どっぷり依存している時はもう、会ってない時は不安で何も手につかないし、趣味も好きなことも全部興味がなくなって、彼氏が趣味みたいになってましたから。あと、家庭環境も影響することがあるみたいです。私も母がうつだったり、経済状況もよくなかったですし、当時の彼もよくない家庭環境だったので」

――頼れる人がいないから、その人に依存してしまうのですかね。

「家に居場所がなかったり、友達に頼れないから恋人に居場所を求めてしまう。それ自体は悪いことではないんですけどね。共依存恋愛も、二人が幸せで、いい関係なのであれば悪いことではないと思っています。ただ、私が経験したように、このままでいいのかとモヤモヤ考えたり悩みながら恋愛していて、気づけば離れられない…という依存関係ならよくないんじゃないかと思います」

――漫画を描く上で、気をつけられている点は?

「作者の私が女性だから、主人公がアイコという女性で彼氏がレンタローという男性の物語を描いていますが、共依存恋愛に男とか女は関係ないと思っています。『これだから男はダメなんだ』といったことを描きたくはなくって、支配する・される関係が成り立てば、男女逆の構図もありうるし、同性のカップルでもありうる。人である限り、ありうる依存関係であることを、誤解なく伝えられるように気をつけています」

――連載中の物語は転換期を迎えたところかと思いますが、今後の展望はございますか?

「今作のように、楽しく読んでいただきながら気づきが得られるような作品を描き続けたいなと思います。母のうつをすでに漫画にして完結しましたが、私自身がうつになった話や発達障害をもっている話だったり。あとは釣りや海外旅行など趣味の話も描いてみたいなと思っています。密かな野望としては…、私の描いた漫画がドラマや映画など映像化される日を夢見ています。それぐらい反響のある話を打ち出せたらいいなと思っています。夢は、でっかく!」

取材・文=大西健斗

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