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SNSの総フォロワーは30万人超、35周年のシルバニアファミリーが愛され続けるワケ

  • 2021年8月13日
  • Walkerplus

手のひらサイズの愛らしい人形や、ハイクオリティなハウスと家具を展開する玩具シリーズ、シルバニアファミリーが今、再注目されている。昨年、35周年を迎えたシルバニアファミリーの現在のTwitterフォロワーは11.3万人超(8月12日現在)。2021年1月8日〜5月31日には、京王プラザホテルにてスイーツブッフェ「ストロベリーコレクション with シルバニアファミリー」が開催され、会期中は予約困難な状態が続いた。今や子供のための玩具ではなく、癒やしを求める大人たちからも愛される一大コンテンツとなったのだ。

今回は、長期間にわたり幅広い層を夢中にさせる秘密を、エポック社シルバニア本部・米田早織さんにインタビュー。人気の理由や、シルバニアファミリーが大切にしている精神について教えてもらった。

■電子ゲーム系の玩具が流行する中で、子供たちにあたたかい玩具を届けたかった

――まずはシルバニアファミリーが生まれた当時のことを教えてください。

【米田さん】エポック社初の本格的な女の子向け玩具として1985年にお家と11種類の家具、9種類のファミリーというラインナップで販売を開始しました。当時、当社は電子系のゲームなどを売っていたのですが、そんな風潮に少し疑問を持ち、「おもちゃの作り手」として原点回帰した開発メンバーが、「未来の子供たちに夢のあるあたたかいものを届けたい」との思いで開発に至ったと聞いています。

――発売当時の反響はいかがでしたか?

【米田さん】想定外のヒットを記録しました。当時、日本ではドールハウス遊びへのなじみが薄かったこともあり、社内では「本当に売れるだろうか」という不安の声があったようなのですが、発売してみると売り切れるほど、うれしい誤算だったそうです。

――なぜヒットしたのでしょうか?

【米田さん】「自然・家族・愛」という普遍的に大切なことをテーマにしたユートピア的な世界観、ヨーロッパ風のおしゃれで、どこか懐かしさのある牧歌的なイメージが当時の日本の皆さんに魅力的に映ったのでしょう。子供たちが漠然と思う「こんな大きなお家に住みたい」「家族でこんな暮らしをしてみたい」といった夢を叶えてあげることのできる玩具だったんですね。

また、一般的なドールハウスと差別化するために動物の人形を採用したのも大きかったですね。当時、ドールハウスが盛んに発売されていた海外においても、動物の人形というのは珍しかったため、ヨーロッパを中心に海外でも人気が出ました。

■ターゲットはあくまでも子供たちのまま

――たしかにシルバニアファミリーといえば、牧歌的なイメージがあります。一方で、2017年から発売されているタウンシリーズは、少し大人な印象です。これは時代と共にターゲットが変わって生まれたものなのでしょうか?

【米田さん】いえ、私たちにとって主役はいつまでも変わらず子供たちです。もちろん、大人の目で見ても美しく、かわいいデザインでなければならないと思って作っていますけどね。タウンシリーズに関しては自然の中での素朴な生活に憧れる子もいれば、ドレスを着た華やかな生活に憧れる子もいるよね、とブランドが大きくなる中でリサーチしながら新たに生まれた“憧れ”の生活を表現したものです。

ツリーハウスやログハウス、キャンピングカーを展開しているファミリートリップシリーズもそうですね。子供たちに「どんな夢を見せてあげよう」と考えた結果、シルバニア村の子供たちが、大自然の中で元気に駆け回るシチュエーションというのが生まれました。

――一方で、SNS上でシルバニアアカウントを作る大人のファンがいたり、ユーモアあるシーンを独自に再現して投稿する方がいたり、と大人からも支持をされている印象です。なぜだと思いますか?

【米田さん】コロナ禍において家で過ごす時間が増えたこと、SNSを頻繁に見るようになったことは大きいと思います。昨年ゆうえんちシリーズを発売した際に「赤ちゃん人形」を手に取ってくださった方が多く、そこからシルバニアファミリーは大人の“癒やしの存在”として受け入れていただいているようです。

大人ユーザーやシルバニア女子の皆さんの声は私たちにも届いており、SNSやコラボレーションで大人に向けた発信もしていますね。

あとは、昔シルバニアで遊んでいた皆さんが親になり、自分の子供と遊ぶことで2世代、3世代とつながりながら、大人になった今も愛してくださるようになったからというのもあります。シルバニアファミリーで遊んで楽しかった思い出、しあわせな記憶が心の中に残っていて、大人になって思い出して、大切なお子さまに遊ばせてあげたいと感じてくださるなんて本当に光栄です。

――35周年をきっかけにさまざまな企業とのコラボも目立ちました。

【米田さん】そうですね。さまざまなブランドや施設とのコラボレーションが実現しました。コラボ先さんに、シルバニアファミリーのファンの方がいてくれて声をかけてくださることもありました。その結果、同じようにシルバニアファミリーを愛してくださっている、多くの方の心を掴んだのかなと思っています。

――大人に向けたコラボもありなんですね。

【米田さん】昔はとくに、自分たちが作っているものは子供に向けているものだという認識がベースに強くありましたし、シルバニアファミリーの各キャラクターがそこまで大きな力を持っているとは思わなかったんです。

でも、約10年前にアニメをはじめたのがきっかけで、キャラクターたちに名前や性格、誕生日をつけるようになったことで、シルバニアファミリーのキャラクターとしての魅力が生まれ、認知度が上がっていったんです。その結果、単なる動物のキャラクターではなく、シルバニアファミリーのキャラクターとして受け入れていただけるようになったので、コラボの機会が増えたのかなとは思います。

――コラボといえば、マクドナルドのハッピーセットのおもちゃとしても登場しましたね。

【米田さん】はい。SNSでも大きな話題になりました。コラボ先の企業さんが持っている信念だったり、子供たちに対する姿勢、モノ作りに対する熱意、そういったものに共鳴させていただき、コラボレーションが成立しています。

シルバニアファミリーの世界観やブランドイメージを大切にしつつ、コラボを通じて、さらにいろんな方に愛される存在になれたらうれしいです。

――SNSでは日常生活の中にシルバニアを溶け込ませた1枚や、ドールハウスや小物を活用して"ぬい撮り"するアカウントも出てきていますが、これらについてはどう考えていますか?

【米田さん】本来子供のものだと思われがちな玩具であるシルバニアファミリーを大切な家族の一員のように愛してくださるのは本当にうれしいです。こちらも、皆さんの発信をいつも楽しく拝見しています。

■「没入感を大切に」時代と共に変わる

――35年間という長い歴史の中で、シルバニアファミリーの商品や遊び方で「変わったこと」「変わらないこと」を教えてください。

【米田さん】基本的には、動物の家族がいて、村の仲間たちと、やさしくて、おだやかで、自然豊かな生活をしているシルバニア村の暮らし、子供たちの憧れる暮らしを再現してもらう遊び方という意味では変わっていません。35年前の商品と今の商品が一緒に遊べるおもちゃってなかなか無いと思います。

しかし、時代は大きく変わりました。今の子供たちと昔の子供たちでは、生活のスタイルもかなり違います。子供向けの玩具として、どの時代の子供たちにも自然に受け入れてもらえる「没入感」は大事にしたいと思っているので、必要に応じて、時代に合わせる形で人形や小物は形を変えています。

――どのように変えているのですか?

【米田さん】例えば、35年の歴史の中で最も大きく進化を遂げているのは、家具・家電です。例えば、1987年当初の洗濯機は、たらいと洗濯板でしたが、1989年には一層式のローラーで脱水するタイプの洗濯機に、1997年には二層式の洗濯機、2011年にはドラム式の洗濯機へと変化を遂げています。現在は掃除機もコードレスになっていますし、テレビもブラウン管のものからやや薄型のものに変化しています。

現実の世界では常に進化し続けている家電が発売当初の形のままだったら、子供たちは「なにこれ?」「洗濯機ってこんな形じゃないよ」と違和感を持ってしまう。そうなったら、一気に熱中できなくなってしまいますよね。「没入感」をもてるよう、シルバニアファミリーが持つ、牧歌的な暮らしの印象とのバランスを見ながら、このように少しずつですが進化させています。

――最後に、今後シルバニアファミリーはどのように展開していく予定か教えてください。

【米田さん】基本的には今まで作り上げてきた世界観や、商品への信念が変わることはありません。ただ大人のユーザーさんがかなり増えたので、幅広い年齢層、国籍、性別の方からより一層愛されるブランドになれるよう、商品づくりにおいても、SNSやイベント等を通じたユーザーさんとの関わりにおいても、さらに深めていきたいと感じています。

時代的な背景もありますが、ダイバーシティやジェンダーの観点でのブランドづくりにも積極的に取り組んでいます。シルバニアファミリーのアニメやお話の設定では夫婦一緒に家事や子育てをしていたり、男性女性のジェンダーバイアスに捉われない職業に就いていたり、といったシーンを描くようにしています。

未来を生きる子供たちが触れ合う玩具ですので、周辺の世界観や物語の設定含め、余計なバイアスをかけないよう気を使っています。むしろ励まし、勇気づけられる存在でいたいですね。シルバニアファミリーの世界は、さまざまな動物たちが支え合って暮らす夢のような場所です。今後も子供たちの「憧れの世界」を描き続けていきたいですし、子供たちやファンの皆さんの幸せな記憶に残る存在として、10年後も20年後も愛され続けるブランドでいたいです。

取材・文/於ありさ

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