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累計6億枚以上も食べられた!博多銘菓「めんべい」が20年間愛され続ける理由

  • 2021年7月13日
  • Walkerplus

博多の銘菓といえば数多くあるが、辛子明太子を使った菓子となるとほぼ一択。それが「めんべい」。福岡市南区に本社を構える山口油屋福太郎の大ヒット商品で、定番のプレーンは累計6億枚以上も食べられたというから驚きだ。2021年6月で生誕20周年を迎えた今、「めんべい」の誕生秘話、ヒットのきっかけ、これからの展望などを代表取締役社長の田中洋之氏に聞いてみた。

■地元客から少しずつ名前が広まり、全国区へ!
1975(昭和50)年に山陽新幹線が博多駅まで開通し、福岡みやげとして一躍人気になった辛子明太子。もともと1909(明治42)年に食用油を製造する会社として創業した山口油屋福太郎も、1972(昭和47)年から明太子の製造販売に着手。ほかのメーカーと同じように明太子の売り上げを順調に伸ばしていたが、持ち帰る際の保冷状態、日持ちしないといった問題点は常につきまとう。そこで、現・相談役の山口勝子氏がそれらの問題をクリアする名物を作れないか、と辛子明太子入りの菓子の開発に乗り出した。これが、めんべい誕生のきっかけだ。

前例がない辛子明太子を使った菓子だけに、社内でも懐疑的にスタートを切っためんべい販売。田中社長は「当初は卸先を探すのも一苦労。そんななか、百貨店の岩田屋様で明太子をお取り扱いいただいていたおかげで、スーパーマーケットのサニー様(当時は岩田屋グループ)でめんべいを販売いただいて。商品開発のきっかけは“辛子明太子を使った新しい博多みやげ”でしたが、いざスーパーで販売してみると、少しずつ売り上げが伸びてきた。それは、つまり地元の方々に日常的に購入いただいているということ。気に入っていただいた地元のお客様が、他県の方に贈り、めんべいの知名度が少しずつ高まっていったんです」と当時を振り返る。

とはいえ、爆発的に売り上げが伸びたわけではない。ただ知名度が高まれば、卸先も徐々に増えてくる。駅や空港の売店など、博多みやげとしての販売箇所が増え、次に注力したのが試食販売だ。もともと、辛子明太子は試食販売で売り上げを伸ばしていたこともあり、めんべいでも実践。

それが、めんべい大ヒットの予兆。少しずつ、博多みやげとしての地位を築くなかで、2011(平成23)年、TBSの情報番組「がっちりマンデー!!」で紹介されたのを機に、売り上げは急成長。その後、2012(平成24)年「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)といった人気テレビ番組で取り上げられたのもブレイクのきっかけの一つだ。

■変わらない味を追求し続けることがロングセラーの鉄則
誕生から十数年かけて名実ともに博多を代表する銘菓に成長しためんべい。ただ、製造を続けていく上ではさまざまな苦労があったそうだ。

田中社長は「めんべいには北海道産の馬鈴薯でんぷんを原料として使っているのですが、2010(平成22)年ごろ、その馬鈴薯でんぷんが品薄になったんです。全国放送のテレビ効果もあり、売り上げが急成長している時期だったので、原料の供給不足で作れないという事態は避けなければいけなかった。輸入ものの馬鈴薯でんぷんで代用するという選択が一番手っ取り早かったのですが、やはり北海道産のものじゃないと、めんべい本来のおいしさが表現できない。

そんなとき偶然、現・会長の山口毅が、北海道小清水町に馬鈴薯でんぷんを原料とした『でんぷんだんご』というソウルフードがあることをラジオで耳にしたんです。小清水町と取り引きできれば、原料が手に入る可能性があると考え、すぐに山口自ら北海道に飛び、交渉。原料確保の一手として小清水町の廃校になった小学校跡の購入を即決し、そこに新工場を開設することまで決めてきた。この行動力と決断力によって、変わらずめんべいを作り続けることができたんです。ちなみに現在、この工場は北海道みやげとして販売している、北海道の海の幸を練り込んだフリッターおせん『ほがじゃ』の製造工場になっています」と、教えてくれた。

■20周年の2021年は新商品、限定商品がめじろ押し!
20周年を迎えた2021年は、“ハタチだよ ありがとう”というキャッチコピーを掲げ、さまざまな企画を打ち出す記念イヤー。めんべいの7番目の定番の味として2021年7月1日に「香味えび」を一般発売したのをはじめ、2021年夏にはめんべいの味を再現した一口サイズのせんべい「博多のめ印」を発売予定。さらに2021年9月、2022年1月、3月に数量限定のシークレット商品3種を順次発売予定だ。“これまでにない味!?”と謳うユニークな商品となるそうなので、めんべいファンはぜひチェックしてほしい。

■福岡はもちろん九州愛にあふれたご当地めんべいも多数!
めんべいは2021年4月末時点で累計6億枚以上も食べられたプレーン、ねぎ、玉ねぎ、それに2021年7月登場の香味えびなど定番だけでも7種あるが、ご当地めんべいのバリエーションも多彩。糸島カキ、大牟田高菜、柳川うなぎなど福岡県内をはじめ、佐賀県、大分県、沖縄県など九州各県にオリジナルの味を展開している。

一つの商品を開発するだけでも相当な労力を要すると想像できるが、実際のところはどうだろう。田中社長は「開発を担当する社員たちには、本当に無理ばかりをいっています(笑)。ですが、めんべいは福岡はもちろん九州の皆様に愛していただいて今があります。最初にご当地めんべいとしてリリースしたのは久留米市の『くるめんべい』なのですが、これは久留米市の特産の一つでもある富有柿をピューレにして加えたもの。傷がついていたり、大きさが小さかったり商品として販売できない富有柿をなにか活用できないか、というご相談を受けて開発に着手し、商品化しました。すべてのご当地めんべいがそういったケースではないですが、福岡をはじめ九州各地の生産者さんなどが困っていて、私たちになにかできるのであれば、できる限りお手伝いをしたいという思いがあります」と熱を込める。

■SDGsの波は「めんべい」にも!
さらに、昨今注目を集めているSDGsの観点から新商品の香味えびは、箱をフィルムで包装しないシュリンクレス形状にしているほか、FSC認証紙や卵殻が配合されたトレイを採用。まさに、20周年を機に環境に優しい博多銘菓を目指すという意思表明だ。

最後に、「めんべい20周年を機に、『We are Mentertainment (メンターテインメント) Company』を新たなスローガンに掲げました。福太郎は明太子をはじめとした食を通じて、商品の価値だけではなく、体験したり感じたりすることを提供する「メンターテインメントカンパニー」として、世界に笑顔とおいしさを届け続ける企業を目指します」と田中社長は力強く話してくれた。

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