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桜田通「心だけでもパンイチで生きるべき」と20代を振り返る<後編>

  • 2021年7月10日
  • Walkerplus

大ヒット作「全裸監督」のシーズン2で、乳首が性感帯のアイドル・“ケンちゃん”を演じた桜田通。30代目前の今、20代を振り返ってもらった。自身や芸能界に対して感じる率直な思いとは?

■自分の体ひとつで戦う村西とおるがうらやましい
――桜田さんは今年20代最後の年ですが、20代を振り返ってみて自身に対して思うことはありますか?

【桜田通】もっと頑張ってほしかったって思うところもあれば、もっと自分に素直になってほしかったなって思うところもあります。なんだかんだいろいろなことを我慢してきていると思うんですよね。

それこそ「全裸監督」の話に戻っちゃいますけど、いろいろな権力にも屈せず、本当に自分の体ひとつで戦う村西さんのように生きれたらなって、うらやましく思うんです。変な例えかもしれないけど、パンイチで撮影している村西さんのように、心だけでもパンイチで生きるべきだと僕は思うんです。

でも、この仕事は守るものが自分だけじゃなくて、すごく言葉を選んでしゃべらなきゃいけない瞬間っていうのが多い。それがあって今日一日の幸せがあると言ったらそこまでですけど、勇気を出して発言して自由気ままに生きていたら、もしかしたらもっと幸せになっていたんじゃないかなって、たまによぎっちゃうんですよね。

別に嘘をついてるわけじゃないんですけど、やっぱり表立った場所ですべてをオープンにするのは難しい。それで、29歳になる少し前にファンクラブを作ったんですが、そこでは結構自分の気持ちをそのまま伝えられています。

29歳になったからこそ素直に言えることかもしれないのですが、ファンの方は非常に大切な存在。これが文字として記事になってみんなに読まれるのが恥ずかしいなって思うくらい、率直な気持ちです。今まで自分の心の中で表現しきれなかったり、伝えられなかったことを、文章やライブ配信で人を介さずに伝えられる場があることがすごくいいなと思っていて、もっと早く始めていても良かったんじゃないか、って昔の自分に言いたいですね(笑)。

でも、始めるタイミングがそこだったっていうのが、人生のおもしろいところだと思うんです。今なら、25歳くらいで始めていたらって思うけど、その頃の僕には、やらなかった理由がきっとあったので。全部、後の祭りですけどね(笑)。

■「嘘をついた方が楽だし、売れるのも早いと思います(笑)」
――言葉を選ぶことはあっても、嘘はつきたくないタイプという印象があります。

【桜田通】この仕事って嘘をつく仕事だっていう人もいるけど、僕はそうは思わないんですよね。素直に生きるってことは、それをいいと言ってくれる人もいれば、よく思わない人もいるし、関わる人が多ければ多いほど、よく思わない人の声が大きくなると思うんです。でも、それは仕方がないことだと思っています。そういう場で迷惑をかけちゃいけないし、関わってくれている人すべてに対して裏切りたくないという思いも強いので、品行方正を保たなきゃいけない瞬間はあって。そういう部分で大変な仕事だなって、最近は思いますね。

――変な話ですが、嘘で武装したほうが楽なのかも、と思います。それでも、その道を選ばないのは、村西さんに通じるところがありますよね。

【桜田通】嘘をついた方が楽だし、売れるのも早いと思います(笑)。そういう人を否定するわけじゃないけど、売れてからそれで苦労している人も見てきたし、僕には無理だなって思ってます。村西さんに似ているのが、いいことなのかはわからないけど(笑)、でも、村西さんに対して「この人、なんかかっこいいな」と感じる部分は、僕も大切にしたいなと思いますね。

■「かっこいい」と言われることに抵抗がなくなった
――「全裸監督」を中心にお話を伺ってきましたが、今作で桜田さんを知った人に向けて、まず見てほしい1作を教えてください。

【桜田通】「今際の国のアリス」も観てほしいけど、「コーヒー&バニラ」にします。僕、顔を出す仕事をしていることがいまだに不思議なくらい、すごく自分に自信がなくて。でも、「コーヒー&バニラ」は監督やヘアメイクさん、共演者の皆さんの力や、脚本とか原作、深見宏斗という役の魅力のおかげで、かっこいい深見さんを演じることができたと思うんです。だから、「コーヒー&バニラ」を見た人は僕をかっこいい人だと勘違いしてくれるかなって(笑)。

20代の最初の頃は「かっこいい」と言われても、「そんなことないでしょ」とか「絶対嘘だよな」と思っていたんです。でも、29歳になった今、かっこいいって言われることが普通にうれしいと思えるようになりました。

だから、「コーヒー&バニラ」の深見さんを見て、「全裸監督」のケンちゃんとは違う紳士な役もやれるんだって思ってもらえたらうれしいです。その次に、「今際の国のアリス」のニラギを見てもらえたら、「今度はこんなに人を撃ってる!」って、また違った姿を楽しんでもらえると思います。全部Netflixで配信しているので、ぜひ観ていただきたいです。

■目標を達成することは「早ければいいとも思っていない」
――いろいろな変化があった20代ということですが、30代に向けてこうなりたいとか、今の自分に足りないと感じるものはありますか?

【桜田通】もっと芝居も歌もうまくなりたいし、ファッションや、気持ちを言葉にして伝えるための知識も欲しいし、英語や中国語だってしゃべれるようになりたいんですけど、でもそういうものってつまりは勉強ですよね。努力をしてこなかったとは思わないけど、もっと努力できるんじゃないかなと思います。

――30代の自分がステップアップしていくために。

【桜田通】少しずつハードルを越えてきましたが、すぐ次のハードルが出てきちゃうので、20歳になった瞬間に思っていた目標にはまだ全然届いていないんですよね。でも、自分が描いているところに最終的にいけたらよくて、早ければいいとも思っていないので変に焦ってはいないです。

具体的にこうなりたいっていうのは、どんどん変わっていって、1年前に言っていたことと変わってると思うし、1年後には違うことを言っているかもしれない。でも、その都度、最善策を考えて、成功するということが好きです。だから、コロナ禍でも「今だからこそ楽しまなきゃいけないな」と、配信ライブをしたり、オンラインでファンの方と交流したり、逆境を味方につけることを考えて実現しました。

30代になったら新しい悩みも生まれてくると思いますけど、その度に成長できると思うので壁はどんどんほしいです。挑戦したうえでの失敗はたくさんあっても、壁から逃げたことはない。だから、30代でラクしたいってことはなくて、30代の方がもっとキツくていいよって思いますね。

――では最後に、新型コロナの流行が落ち着いたら行きたい場所を教えてください。

【桜田通】富士山に登ったことがないので、1回登っておきたいなと思ってます。本当か噓かわからないですけど、富士山が噴火するってずっと言われてるから、その前に登らなきゃって。頂上は雲の上ですごく空に近いっていうし、そういう場所でエネルギーを吸収したいですね。

もともとインドアだから外出自粛がそんなに不自由だと思っていなかったんですけど、実際はコロナ禍で窮屈さを感じていたのかも…。今、自然を求めてますね。沖縄と北海道は物心がついてからは仕事でしか行ったことがないので、沖縄のきれいな海でずっと浮いてたいなとか、北海道でおいしいものを食べたいなとか。早くそういうことができる世の中になるといいなと思います。



スタイリスト=柴田圭 (ZEN Creative)
ヘアメイク=横山雷志郎
撮影=大塚秀美
取材・文=大谷和美

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