フォロワーから寄せられた体験談を漫画にしている「きなこす(Instagramアカウント@kinakonoumami)」さん。結婚、離婚、子育てなどをテーマにした作品のなかには、思わず背筋がゾッとしてしまう程の怖い話も。彼女が取り上げるエピソードは、誰の身にも起こりうる可能性があり、読んでいて他人事とは思えない内容だと反響が集まっている。今回はきなこすさんにインタビューし、制作に込められた思いなどを聞いてみた。
■もし我が子だったら…と思わせられるリアル談が怖い！
まずは、子供や子育てに関連した内容の「フォロワーさんの怖い話」シリーズ。海水浴でのトラブルの話「楽しいはずの海水浴」や、教師からのわいせつ行為被害の話「担任からの強制わいせつ」など、「もしも自分の子供の身に起こったら…」と不安に思うような話ばかりだ。なかでも注目したいのは、新天地で心細く感じている母親がとある親子教室に勧誘された話「怪しい親子教室」。親子教室だと思いネットで検索してみると、ある事実が分かったというエピソードだ。
投稿を読んだフォロワーからは「子連れで歩いていたら同じように声をかけられた経験がある」というコメントが多数寄せられたという。「実は、私も同じように声をかけられた経験があったんです。あの時、付いて行かなくて良かったと心底思いました」ときなこすさん。
このシリーズを描くうえで彼女は、体験談だけでは終わらせず、予防策や防犯対策を捕捉して掲載することを大切にしている。不審者に追いかけられた話「散歩中の不審者」をアップした際には「防犯ブザーを持ち歩こう」と防止策を掲載。フォロワーからは、「防犯ブザーを持ち歩こうと思います！この話をアップしてくれてありがとうございます」と感謝の思いも届いたそう。
「このシリーズは、ほかの方が同じような被害に遭わずにすみますように…と思いながらエピソードを選んでいます。自らの体験をご応募してくださったフォロワーさんも、きっと同じ気持ちだったと思います」と、語ってくれた。どの作品も子供や母親が危険にさらされることのないようにという彼女の思いが込められている。
■幼稚園トラブルを乗り越えた話「自閉症の息子」に涙！
そのほかにも、子育てに関する作品「フォロワーさんのスカッとした話」シリーズも人気が高い。最も反響が大きかったのが「自閉症の息子」だ。息子を幼稚園へ入れようと決めてから、最初の幼稚園ではトラウマになるような出来事があったフォロワーさん。別の幼稚園へ入ることになり入園式へ参加した時、園長先生の言葉に救われたというこの話は、きなこすさんも思い入れが強い作品の1つだという。
「このお話を教えていただいた時は思わず涙しました。当時のお母さんのお気持ちを想像するだけで胸が苦しくなりましたが、素晴らしい園長先生と出会い、現在は息子さんもお母さんも幸せそうで『本当に良かった！！』の一言に尽きます」ときなこすさん。
寄せられた体験談のなかから、彼女が漫画化するのは“誰の身の回りでも起こりそうな出来事”。「子供が被害者になってしまう可能性が日常に潜んでいるということも含め、注意喚起を促せる内容になれば」と、きなこすさん。“こんなことが実際に起こっています”と注意を促してくれている彼女の漫画は、子育てに奮闘するママ＆パパたちにぜひとも読んでもらいたい。
取材・文＝左近智子(glass)
