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桜や紅葉、青空で彩る美しい「切り絵」。ステンドグラスのような儚さにうっとり

  • 2021年3月2日
  • Walkerplus

白と黒のシルエットで繊細に表現される切り絵の世界。今、四季折々の鮮やかな情景を溶け込ませた斬新な切り絵に注目が集まっている。

オリジナリティあふれる切り絵をアップしているのがEricaさん。彼女のTwitterアカウントには、「鳥肌がたった!」「息をのむ美しさ!」など作品を称賛するコメントが多数寄せられている。今回はEricaさんに直撃し、作品にかける思いや制作秘話などについて取材した。

■自然と融合させて完成する斬新な切り絵
“いろんな色に染まる切り絵が好き”というツイートとともにアップされているのは、春夏秋冬の風景を背景にした切り絵たち。なかでもTwitterで反響が高かったのは、「セーラー服×薔薇」をテーマにした作品だ。

春は桜、夏は新緑、秋は真っ赤に染まった紅葉など、自然と融合させた切り絵はまるで1枚の写真のよう。「『セーラー服×薔薇』は、春夏秋冬を一緒に追いかけた一番のお気に入りの子です」と、Ericaさんもこの作品に特に思い入れがあるという。

「初めて横顔の女の子を作ったのですが、なびく髪の毛を切るのが大変で…。実は、当初は見よう見まねで作っていたので、切り絵用のナイフではなく普通のカッターナイフを使用していました。『セーラー服×薔薇』は外出時に一緒に連れて行くことが多いので、これからもたくさんの景色と合わせたいと思っています」

彼女が切り絵を始めたのは2年前。きっかけは、Twitterで偶然流れてきた切り絵と景色の写真に魅せられたことから。「私もこんなふうにイラストと風景を合わせられたら…」との思いから作品が誕生したという。

作品のアイデアを生み出すために重視していることを聞いてみたところ、「自然のなかで想像を巡らせること」と答えてくれた。「公園の花や空を見ながら『この景色にはこの子を、この空にはイルカが似合うからイルカとキスする女の子を描こう』と、自然と向き合いながら頭に浮かんできた絵をたくさん下描きします。ボツになったものも多いですが、いつも景色と溶け込める独自の切り絵を考えています。また和服とセーラー服が好きなので、それぞれの景色に合うように絵も工夫しています」

■和装美女×草花の雅な切り絵にファン多数!
儚い表情を浮かべる女の子を描いた作品のほか、袴を履いた「大和撫子」など愛らしいキャラクターも彼女の得意分野だ。

「『大和撫子』は、桜の季節に合わせたくて作ったキャラクター。袂(たもと)部分に和紙風の折り紙を貼ったところが気に入っています。実はこの子も初期の作品で、普通のカッターナイフで作りました」とEricaさん。カッターナイフだけで仕上げたとは思えない繊細さで、フォロワーからの人気も高い。

「春に作りましたが、いろんな景色と合わせたくなり春夏秋冬を追いかけました。今でもこのキャラクターが好きだと言って下さるフォロワーさんがいて、改めてこの子を作ってよかったなと思います」。幅広く愛されているキャラクターだからこそ、彼女自身も人一倍愛着があるようだ。

ほかにも「薔薇を口に当てている和服の女性」については、「髪飾りを立体にしたくて、100円ショップで売っていた裁縫用のお花をボンドで貼りました。今まで髪の毛は景色と合わせていましたが、この娘は唯一、髪の毛に折り紙を貼り、目の色と着物、薔薇のみ景色と重ねるように作りました。少し色っぽく、かつ女性らしさを意識して描いた1枚です」とこだわりを語ってくれた。

また、意外な場所でのコラボが話題となった作品「横顔の着物の女性」にも注目したい。「彼岸花と合わせたくて作りましたが、家族と水族館に出かけたときに『魚と合わせたらきれいなのでは…?』と思いつき、景色と合わせるために持ってきていた切り絵を水槽と重ねて撮ってみました。他のお客さんもいらっしゃったので短時間で2・3枚だけ撮影しましたが、このシリーズのなかで一番反響があった1枚になります」

大人気の「セーラー服×薔薇」については、別バージョンもあるという。「一番お気に入りの女の子と姉妹にしたくて作った作品です。髪の毛をハートにして姉妹でおそろいにしました。まだまだいろんな景色と重ねたい、お気に入りの子です」

ほかにも、十二単や浴衣姿の女の子など、数多くの作品を発信している。

■瞳にも景色を宿らせて細部まで美しく
どの作品も思わず見とれてしまう美しさ。一体どれだけの時間をかけて作品を完成させているのだろうか。

「まずは白の画用紙に下描きし、ペン入れをして、切り抜きます。それから筆ペンで修正し、さらに切り抜いて、また筆ペンで修正して…と、この作業を繰り返しています。一部に布地や和紙、折り紙を使ったり、描く場所によってはカラーマーカーや色鉛筆、万年筆用インクなどを使い分けています。仕事や家事育児の合間に作っているので、A4サイズの切り絵1枚には3〜5日、小さい切り絵は1~2日かかります。構図を考えるのに苦戦して、下描きに2日かかったこともありました」

制作するうえでこだわるのは、「自分が描いている絵をそのまま切り絵にするから、髪の毛の線や目などを不自然にならないように切り抜くこと」と、Ericaさん。

「最初は予定がなかったのですが『目の色も変わったらおもしろいのではないか?』と思い、切り抜いた作品もあります。正面を向く女の子を描くときは必ず目の色も変わるように切り抜いていますね」。瞳にも景色が写り込むことで、幻想的な雰囲気がさらに漂うようだ。

彼女にとってフォロワーからのコメントが一番の励みになっているそう。「趣味で始めた切り絵がここまで多くの方に見ていただけると思わなかったです。このご時世で私の切り絵と景色を見て、たくさんの方の癒やしになれたらうれしいですね。これからも楽しみながら制作していきたいと思います」

思わず見とれてしまうEricaさんの切り絵。背景となる季節が変わるだけで同じキャラクターでも違う表情に見え、いろんなストーリーを想像させてくれる。これからどんな美しい景色を見せてくれるのか、今後の作品にも期待したい!

取材・文=左近智子(glass)

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