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「1匹でも多くの猫たちに幸せな人生を」。7匹の保護猫と共に、静岡へ移住するワケとは?

  • 2020年10月10日
  • Walkerplus

東京の自宅で7匹の保護猫と暮らしながら、静岡にある奥さんの実家に出入りする野良猫たちの保護に奮闘しているMr.けんちゃま(@mr.kenchama)さん。「1匹でも多くの猫たちに、幸せな人生を送ってほしい」との思いから、Instagramを活用しての里親探しや情報発信を続けている。今回、猫たちのために静岡への移住を決意したというMr.けんちゃまさんに、7匹を引き取った経緯や、野良猫たちとの交流を始めたきっかけについてインタビューした。
――まずは、7匹の保護猫たちについて、引き取ることになった経緯を教えてください。

「黒猫のマロを除き、6匹が静岡の出身です。妻の実家周辺で生まれた、子猫の里親探しをせっせとやっていましたが、引く手あまたのときもあれば、譲渡先がまったく見つからないこともあります。里親さんが見つけられずに、残ってしまった子が我が家に来ています」

――キジトラ柄のレオくん(7歳・♂)、黒猫のマロくん(推定13歳・♂)、モノトーン模様のミルクくん(3歳・♂)、毛色がグレーのごまちゃん(3歳・♀)、同じくキジトラ柄のモカくん(2歳・♂)、茶トラ柄の兄弟猫・くるみくんとナッツくん(いずれも1歳・♂)の順番でお迎えしたそうですね。それぞれとの出合いは?

「レオは生後3カ月の頃、2013年10月にお迎えしました。静岡にある妻の実家付近でカラスに追われている子猫がいると聞き、そのときに助けたのがこの子です。次がマロ。自宅マンションのエレベーターを降りた先で、ウロウロしているところを見つけました。飼い主を探したものの、誰も名乗りでない。このままでは保健所送りになってしまうと思い、飼うことにしました。三番目がミルクで、母猫に育児放棄され、さまよっていたところを保護しました。四番目が、兄弟と一緒に義実家隣りの廃倉庫を根城にしていた、ごま。体が少し大きくなってしまっていて、捕まえるのが大変でした。うちでは唯一の女の子です。次がモカ。ごまを保護した近くのガレージで生まれ、母猫が留守にしているときを狙って保護しました。そして、最後がくるみ&ナッツの兄弟で、うちに来たのは2019年10月頃です。妻の実家近くの家で、多頭飼育崩壊が起こっているという話を聞きました。年配の方が十数匹の猫を飼育していたのですが、説得の末、猫たちをすべて引き受けることに。幸い、ほとんどの子に新しい家が見つかったのですが、どうしても里親が決まらなかったナッツと、目の悪いくるみを飼うことに決めました」


――7匹に囲まれて、にぎやかな日々を送っているかと思います。猫たちとの暮らしの中で、幸せを感じるのはどんなときですか?

「自宅で仕事をしていると、キーボードの音に誘われて猫たちが甘えにきます。面白いことに、誰かが甘えていると他の子はちゃんと自分の順番を待っているのです。入れ代わり立ち代わり甘えられて、仕事を中断しなくてはならないときも。でも、こんなひとときに幸せを感じますね。また、人間には分からないですが、猫たちの間でルールが存在していて、それを守りながら、私たちと会話をしようとしている。7匹がそれぞれのことを認め合っていると実感できて面白いです」

――その一方で、苦労やハプニングも多いそうですね。

「ミルク、モカ、くるみとナッツは人間のトイレが大好きなんです。ある日、トイレから音が聞こえて見に行ってみると、ウォシュレットのスイッチの上でミルクが固まってました。スイッチを押してしまったようで、ミルクは水が噴き出る様子をじっと眺め、くるみとナッツはビショビショになりながら、ミルク同様に固まってました(笑)。3匹の困り顔と固まった姿が、今でも忘れられません。こういったハプニングも多いですが、同時に幸せを感じる瞬間でもあります」

――忘れられない猫たちとの思い出や印象的なエピソードはありますか?

「約半年前、モカに『猫喘息』のような症状が表れ、肺に炎症が起こりました。病院から帰ると、モカのところへほかの子たちが集まってきて、舐めたり、頬ずりしたりしたのです。心配そうな表情を浮かべて、『大丈夫か』と声をかけているように見えました。ワクチン注射や定期健診で病院へ行って帰ってきたときとは、みんなの反応が違う。猫たちも状況が違うと分かっていて、誰かが病気になると、一丸となって心配して見守る。こんなことがあるんだと驚きました。いつもは好き勝手に過ごしていますが、7匹の間にある“強い絆”のようなものを感じましたね」

――東京での暮らしとは別に、静岡にある奥さまの実家に出入りする野良猫たちのお世話もしていらっしゃいます。交流を始めた経緯を教えてください。

「2013年1月頃、当時飼っていた猫のバニラが亡くなったその日に、義理の母から『実家の倉庫から子猫の鳴き声がする』と電話がありました。バニラが他界した日にそんな知らせがあったので、『その子猫が生まれ変わりなのか、猫たちを助けてというバニラからのメッセージなのか』と考えてしまい、『静岡に行かなきゃ』と思ったのです。このとき初めて、静岡の野良猫たちと触れ合いました。子猫たちは保護し、すぐに里親が見つかりましたが、以来、義実家周辺に住む野良猫たちのことが気になってしまい、目が離せなくなったのです。静岡へ行く頻度が徐々に増えて、今に至ります」

――保護猫を引き取ったり、野良猫と交流し、保護したりと、猫たちのためにさまざまなアクションを起こされています。何かきっかけはあったのでしょうか?

「昔、自宅近くの電柱の裏に隠れて、いつも私の帰りを待っていた野良猫がいました。『サバ』と名付け、『そろそろあいつを飼おう』と思っていた矢先、姿を現さなくなりました。『もう一日早く家猫にしていれば』と後悔を募らせていた中、サバがいなくなってから約半年後に、電柱に里親募集の張り紙が貼られていたのです。これは運命と思い、すぐに引き取って、初めて猫を飼い始めました。野良猫は、人間が少しでも早く、できることをすれば、今よりもっと幸せな人生、もとい“猫生”を送れる。後悔があるからこそ、『少しでも猫たちの役に立ちたい、見守ってあげたい』と思うようになりました」

――そのために注力しているのが、SNSだそうですね。どのような思いを込めて、SNSで情報発信をしているのでしょうか?

「これまで、30匹以上の猫たちを里親に渡してきました。その度に、猫の素性について尋ねられます。どんなところで生まれ育った子か、細かく説明しますが、言葉だけではうまく伝わらない。そこで、猫たちの姿や出合った経緯を知ってもらうためのツールとして、Instagramを始めました。猫を飼うことは、楽しいことばかりではなく、悲しいことも辛いことも悔しいこともたくさんあります。それは自分の中に閉まっておいて、猫の素顔に近づき、会話をしたつもりになった独り言のような内容を投稿しています。『いつか猫と話したい』という願いを胸に、今の自分にできる最大限の行動をすれば、少しでも多くの猫たちを幸せにできるのではないか。そんな思いで、アナログ人間の私はInstagramを続けています」

――東京と静岡の2拠点生活を続けていましたが、ついに静岡への移住を決意されたとか。

「静岡では、野良から家猫になり、家と外を自由に出入りしているコグレ、いっか、さびの3匹のほか、約15匹の野良猫たちと交流があります。東京にいるときは静岡の子たちが気になり、静岡に行ったときは東京の子たちが気になる。まるでハツカネズミのように東西を行き来しているわけです(笑)。そんな中で、普段静岡の猫たちの世話をしてくれている義理の母の身に、『何かあったらどうしよう』という不安を抱えてしました。解決方法は一つ。私たち夫婦が静岡に住めば、『すべての猫たちの面倒をみれる』と考え、猫のために移住を決意しました」

――猫たちにとって最適な環境を作るため、いろいろと苦労されているそうですね。

「7匹の猫たちと、野良猫たちとの生活空間を分けなくてはいけないのが大変ですね。地元の工務店の方々は、『猫の動線を考えて出入口を設定したい』『餌場に屋根を付けたい』『猫のためにできる限り静かな工事を』と、猫のことばかり注文を付ける私を不思議そうに見ています(笑)。移住することで、1匹でも多くの野良猫たちと信頼関係を築き、里親を探し、新しい生活をさせてあげたいと思っています」

“1匹でも多くの猫たちが、少しでも幸せになれるように”。ただその思いだけが、Mr.けんちゃまさんを突き動かしている。7匹の猫たちとのにぎやかな暮らし、そして、さまざまなバッググラウンドを持つ野良猫たちとの交友録を、Instagramを通してのぞいてみよう。

取材協力:Mr.けんちゃま(@mr.kenchama)

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