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オンライン化が生んだ“新しい就活様式”とは?コロナ禍の中を生きる大学生のリアルを調査

  • 2020年8月10日
  • Walkerplus

新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、世界中に及んでいる。当然日本の大学生も例外ではなく、彼らは学校生活や就職活動などでイレギュラーな対応を余儀なくされているという。今回は、そんなコロナ禍の中を生きる大学生にグループインタビューを行い、彼らのリアルを調査した。

今回のグループインタビューでは、就職活動を終えた4年生の栗本さんと木野さん、ワーキングホリデーに行く予定がコロナで中止になってしまった3年生・植木さん、栄養学を専攻するも実習が延期になってしまった3年生・中園さん、テニスサークルに所属している3年生・井口さんの5人に集まってもらった。授業や就活をテーマに話してもらうと、学生目線での“要るもの”と“要らないもの”が見えてきた。

■一長一短なオンライン授業。教える側の対応に課題も
―― 早速ですが、学校のことについて聞かせてください。新型コロナウイルスの影響で、通常の対面授業からオンライン授業へ移行したそうですが、それについてはどう感じていますか?

【栗本】4年生ということで残りの授業数が少ないので、友達と会うために揃えて授業を取ったんです。でも結局オンラインになってしまったので、会えなくなって寂しいですね。就活も終わったので、残り少ない学校生活を楽しみたかったんですが…。
【中園】私の授業は、もともと午前に座学、午後は実習という予定だったんですが、前期の実習がすべて後期に移り、今は全コマがオンラインでの座学になりました。前期はテストだらけ、後期はレポートだらけなので、正直辛いです(苦笑)。オンラインだと身支度や通学の時間が減って助かるので、座学はオンライン、実習は対面がありがたいですね。
【木野】オンラインは一方的に話を聞く形で、学生同士の意見交換ができなくなったのが残念です。でもメリットも感じていて、それは就活に取り組みやすくなった点ですね。面接の予定があると学校を休まなきゃいけなかったんですが、両方とも参加できるようになったのはよかったです。
【植木】学科の教授がTwitterでつぶいていたんですけど、授業後の質問がすごく多くなったそうです。対面だと聞きづらかったことも、チャットで気軽に質問できるようになったのはいいなと思います。

―― オンライン授業にはメリット、デメリットがありますね。皆さんは若いのですぐ対応できそうですが、先生はオンラインでのやりとりに苦労する人もいそうですね…。

【井口】先生によって授業形式はバラバラなんですけど、正直オンラインに慣れていない先生もいます(笑)。資料が届いてなかったり、レポートの提出先が間違っていたり…。
【栗本】説明がなくて、課題だけ出せば単位がもらえる授業がありました。授業毎にレポートを出さなきゃいけないので大変で…(笑)。先生がどれだけデジタル慣れしているかによって、授業の質も変わってしまう気がします。
【中園】先生が画面上で資料を共有してくれるんですが、資料は先に進まないのに話だけ進んでいってしまうことがあって(笑)。チャットで「資料が進んでいないです」と伝えても、先生が反応してくれなくて困ったこともありましたね。

―― オンラインに乗り遅れている先生もいるんですね。中園さんの学校は一部で対面授業が始まったそうですが、学校はどのような感染対策を採っていますか?

【中園】対面授業のときは、部屋に入る前に全員手指を消毒をして、席も離され、フェイスシールドを付けます。一般的な対策だと思うんですが、それを徹底していると思います。

―― さすがデジタルネイティブ世代だけあって、学生のオンラインへの対応はスムーズにできているみたいですね。ただ学校側は、オンラインでも対面でも対応に追われている、ということでしょうか。


■オンライン面接への新たな注意点も!変化する就活事情

―― 3月・4月は就職活動の真っ最中だったかと思います。新型コロナウイルスの影響で変わったことはありましたか?

【栗本】企業によっても違うとは思うんですが、私が参加した面接は全部オンラインになりましたね。最初から最後までオンラインだったので、企業の方には直接会うことができませんでした…。どういう雰囲気なのかもわからないので、企業選びも面接もやりづらかったです。
【木野】3月に予定されていた大規模な合同説明会が中止になったことで、影響を受けていると感じましたね。就活が始まって本当にすぐでした。個人的には面接がオンラインになったことで、リラックスした気持ちで挑めました!移動時間がなくなって、説明会で1日に見れる企業数が増えたり、途中で辞めることもできたりして楽になりました(笑)。

―― 就活においてもやはりオンラインのメリット、デメリットがあるんですね。日程が延期したというより、オンラインに切り替えることで予定通り行うというパターンが多かったですか?

【栗本】私が受けていたところは、予定通りの日程でした。でも友達からは「書類選考だけで止まってしまって、だいぶ経ってから連絡が来た」という話も聞きました。
【木野】私は全体的に遅れていると感じました。去年の就活だった先輩はゴールデンウィーク前後には内定をもらっている人も多かったんですが、今年は遅くなっているかなと。

―― 企業によって、オンラインでの選考への対応速度が違うようですね。オンラインでの選考に変わったことで、新たにとった対策はありますか?

【木野】面接のときは自分の部屋でなく、日光が入ってWi-Fi環境がいい場所で受けていました。電気の光より、日光の方が印象がよくなるかなと思って。時間も午前中にするようにしていました。
【植木】YouTuberが使うような、自撮り棒にライトがついた「リングライト」が売れてるって聞いたことがあります!肌を綺麗にして、かわいく見せてくれるらしいですよ。
【木野】リングライトほどではないんですけど、私も卓上ライトは買いました(笑)。
【栗本】私は言葉での受け答えを大事にしました。直接話しているときは、相槌や笑い方で雰囲気を明るくして印象をよくできると思うんですけど、オンラインだと伝わりにくいので。聞かれたことにすぐに答えられるように考えを整理しておきましたし、企業についてより入念に調べましたね。

―― オンラインだと家のどこで面接を受けるなど、考えるべきことが増えているってことですね。今後さらに“新たな就活様式”ができるかもしれないですね。




■難航するサークル活動。工夫を凝らした新たな取り組みも

―― 栗本さん、木野さん、植木さんはフリーペーパー制作サークル、井口さんはテニスサークル、中園さんは学校行事を運営するサークルに所属しているとのことですが、学校に通えない状況のなかで、部活やサークルの新入生勧誘は行えましたか?

【井口】InstagramとTwitterで行ったんですが、15人ぐらい入ってくれました。でも、やっぱり例年よりは少ないですね。
【木野】ZOOMを使ったオンライン説明会を実施して、LINEアカウントを作って質問を受け付けていました。新入生の子たちの不安をなるべく消せるようにと思って。
【中園】私のところはオンラインだけだったんですが、最近少しだけ動き出しました。(ソーシャルディスタンスを意識して)大きい教室に少人数を集めて、説明会を行っています。

―― やはりSNS中心の活動のようですね。新型コロナの影響でできなくなった活動もあるのでは?

【植木】毎年春に新勧雑誌を作って配るんですが、そこに企業の広告を入れて協賛金をいただいていました。それが部費になるんですけど、今年は配れなかったので…部費がピンチです。
【栗本】学校から活動禁止と言われているので、なにもできなくて…。その代わり、過去号をデジタル化してWebサイトで配信するなど、なんとかできることを見つけて活動しています。

―― この状況のなかでもできる活動をしているんですね!

【井口】僕はテニスの試合の運営を行っているんですが、3月から9月までの開催する予定だった試合はすべて中止にしました。今後は状況を見ながら、コートを多く取る、テニス以外の交流を禁止するといった3密対策をとって開催したいと思っています。ただ、参加する大学ごとに規制が違うので、対応に悩んでいます。
【中園】私は、新入生歓迎会や文化祭を運営するサークルに所属しているんですが、なにもできていなくて…。学校側の判断によるので、代わりにできることがなにもないというのが現状です。

―― サークルの活動内容によって、取り組みたくてもできない状況ですか…。また学校のルールが違うため、活動ができるできないの差も出てきている、ってことですね。


■留学予定が白紙に…今後の予定は?
―― 植木さんは3月からワーキングホリデーに行く予定だったそうですが、中止になったのはいつですか?

【植木】学校を休学してオーストラリアに行く予定だったんですけど、出発する前日の15時に入国禁止が発令されました。5日前ぐらいに隔離ルールができたので「今行くべきじゃない」と思い、飛行機は変更していたんですが…やっぱり驚きましたね。

―― 現在の状況と今後の予定はどのように考えてますか?

【植木】休学については、今も続けています。復学してもオンラインですし、就活や卒論のことを考えると4月から復学する方がいいと思っていて。来年は就活生なので、2月・3月には日本にいたいと考えています。もし、その期間までにワーキングホリデーに行けるチャンスがあるなら行くつもりです。

―― 留学においては待つしかないという状況なんですね…。


■コロナ禍の中で見えてきた“要るもの”“要らないもの”

――「説明会はオンラインのほうがいい!」といった意見のように、新型コロナの影響で“要らないもの”が可視化されている気がしました。学生視点で、ほかにそのように感じたものはありますか?

【木野】説明会と1次面接はオンラインで、その後に対面で面接するという仕組みはいいなと感じました。人数が絞られると質問できる機会も増えますし、より深く知ることができるので。
【井口】「直接学校に行く必要ってあるのかな?」と思いました。もちろん友達に会えるのもメリットですし、対面だからこそ学べることもあるとは思います。でも、意外とオンライン授業でカバーできていて…。移動時間をほかのことに使えるし、楽だなと感じました。

―― 新型コロナウイルスの影響が、いい方向へ転換するきっかけにもなっているみたいですね。

【栗本】「すごくいいな!」と思うような仕組みのオンライン説明会があったんです!企業名は伏せられていて、キャッチコピーに惹かれたところのリンクから入るみたいな仕組み。大企業の先入観とかを取り払い、「面白そうだと感じたから説明を見る」みたいな。オンラインだからこそできる企画で、すごくいいなと思いました。
【木野】今までは難しかった、“就活と学業の両立”がしやすくなると思います。就活で企業に出向く必要がないので、学校の授業にも参加しやすくなりました。地方の学生にとっては交通費なども含めてかなり負担が軽くなると思うので、一部“就活のオンライン化”は続く気がします。
【植木】最近久しぶりに大好きな1人カラオケに行ったんですけど、受付がタッチパネル式になっていてうれしかったです。「あ、1人です…」って言う気まずさがなくなったので、今後は全部タッチパネルでいいと思いました(笑)。あと、自粛期間中に趣味とかを発信する人が増えましたよね!もともと歌が好きだった子がYouTubeにアップしたり…やってみたかったけど時間がなくてできなかったことが、できるようになったのかなと思いました。

新型コロナウイルスの影響で、今まで“当たり前”だった日常がそうではないものへと一変し、大学生もさまざまな対応を強いられた。彼女たちはデジタルネイティブ世代ということもあり、オンライン化への対応は比較的スムーズだった印象。しかし、希薄になってしまった人との繋がりや趣味などの楽しみ方はまだまだ試行錯誤の段階のようだ。また、彼女たちは“本当に必要なこと”と“省略しても構わないこと”がわかり始めている。ある意味、“伝統と革新”。そう言い換えることができるかもしれない。ここから先は、そのバランスをうまく保つことがひとつの課題になりそうだ。そして、新型コロナウイルスは日常のさまざまなことを変化させ続けており、今後は、今までとは違う形の生活が”当り前”になっていくと思われる。その新しい世界では、”大人たち”が対応できるかも問われていくことになりそうだ。

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