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紅型の歴史や可能性を感じられる「モモト」の紅型入門

  • 2021年11月26日
  • 沖縄島ガール

沖縄を1テーマで表現するビジュアルマガジン「モモト」の2021年秋号が発売中。今回は、首里で育まれてきた「紅型(びんがた)」にスポットを当てた。

巻頭は、琉球王国時代から続く、紅型の三宗家をクローズアップ。

三宗家の一つ「城間家」は、「紅型のいのちをつなぐ」と題して、300年の歴史の中で受け継がれる思いに迫る。16代目の城間栄市氏から伝わるのは、先代たちへのリスペクトの精神。「昔の紅型が一番究極だと思います。(中略)100年、200年前の人々が凄まじい時代に生きながら、これほど優しい色使いができるのはすごい」と口にする。

また、栄市氏は先達や代々の作品へのリスペクトだけでなく、「ものづくりは実際にやらないと経験できない」と新しい挑戦にも前向き。「これからの紅型は、図案に限らずあくまでも古い型を踏襲した上で、どんどん新しいものに挑んでいく必要がある。そうしてこそ、紅型の伝統を守り続けられていく」と未来を見据えている。

そして、「知念家」は「紅型を未来につなぐ」というテーマで、知念家ならではの紅型の継承のスタイルを紹介。24歳で知念紅型研究所を継いだ知念冬馬氏は、それまでの赤字経営を立て直そうと、「職人らの勤務時間を1時間短縮」「一時金や社会保険の加入の徹底」など、いわゆる一般企業のような改革を進めて黒字に転換した。

その過程で冬馬氏が感じたのは「彼ら(職人)の想いや歴史をこれまで以上にリスペクトして、今に落とし込み、そこにまた新しい一滴、二滴を加えて次の世代に残していくことが大事」という思い。また、「県内でも『紅型』の字が読めない人がいる」と認知度低下に対処しようと、「インスタグラムなどSNSで紅型の写真や動画配信を始め、好反応を得ている」と、紅型に関する発信まで目を向けている。

三つ目は「澤岻(たくし)家の浦添型」を復元した「伊差川洋子染色工房」を取り上げる。明治期に廃業した紅型の「澤岻家」には、独自の「浦添(ウラシー)型」が伝わっていたという。染色家の伊差川洋子氏は、わずかな記録があるだけで、長い間、“幻”とされていた浦添型を復元させ、弟子であり、彼女の娘である仲本のな氏が受け継いでいる。

のな氏は洋子氏から当たり前に受け継いだ技法を今でも行っているが、工房見学に来た人たちに「まだこんなこと、いちいち手でやっているの?」と驚かれたことに逆に驚いたという。「それぐらい、日本でこれだけの染色をやっているところは他にないということ。どこの染めにも引けを取らない」と確信して思いを新たにした。

ほか、「紅型のいま」と題して、2020年に読谷村(よみたんそん)に誕生した「星のや沖縄」の客室を彩る「琉球紅型 守紅(もりびん)」の宮城守男氏の作品、紅型とアートを融合させた「宏次(ひろじ)染工房」の金城宏次氏、紅型をマンガやアニメと融合させた「染千花(そめせんか)」の知花幸修(ちばな・ゆきなが)氏、そして、紅型をビジネスや情報発信で下支えする「琉球びんがた普及伝承コンソーシアム」の活動などを写真とともに紹介する。

2022年5月には、“紅型の聖地”である首里に「首里染織館suikara(すいから)」もオープンするなど、新しい動きが続く琉球紅型の世界。「モモト」最新号で紅型の歴史を学び、今後の可能性を感じた上で、実際に紅型の世界に触れてみよう。

「モモト」(Vol.48)
発売中 1,100円(税込) 編集工房東洋企画

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