オリオンビールの大城敬一郎氏(写真右)とオキコ株式会社の仲田すま子氏(同左)
沖縄県のビールメーカー・オリオンビールは、7月27日、豊見城市(とみぐすくし)の本社に新設された「ORION TAP ROOM」にて、メディア懇親会を開催。オキコ株式会社と取り組んでいるパンの耳を使ったビールの開発状況などを発表した。
オリオンビールは、今年5月、浦添市から豊見城市の豊崎にある「豊崎ライフスタイルセンターTOMITON」2階に本社機能を移転。「オリオン美(ちゅ)らSUNオフィス」として、従業員のワークライフバランス、ダイバーシティの推進を目的に働きやすいオフィス環境を整備した。
その際、入り口エリアに「ORION TAP ROOM」を設置。“タップ”は蒸留所にあるビール等の“注ぎ口”を意味し、同社から“注ぎたて”の情報を共有し、社内外の人々との意見交換ができる場となっている。
7月27日、その「ORION TAP ROOM」で開催された第2回のメディア懇親会では、同社の社会貢献について、また、同社が現在オキコ株式会社と取り組んでいる、パンの耳を使用したビールの開発状況について発表された。
まずは、CSR室長の翁長有希氏が登壇。今年4月にCSR室が設置されたことを紹介し、「オリオンビールはこれまでもさまざまな分野で社会貢献をしてまいりましたが、このたび、社会貢献活動が明確に経営戦略の重要項目に設定されました。中でも、環境、教育、産業、そして、首里城復興の4つを大きなテーマとして社会貢献を進めていくとともに、SDGsの観点からそれを継続的なものにしていくことを目指しています」とコメントした。
続いて、R&D部ビール商品開発部課長補佐の大城敬一郎氏とオキコ株式会社パン営業部営業課係長の仲田すま子氏が、「食パンでつくるサステナブルビール開発について」をテーマに発表。
オキコは昨年、常温のサンドパン「ポケットランチ」を発売。好調に販売数は伸びたものの、製造工程で出てしまう大量の食パンの耳のフードロスが課題となっていた。
そこで、昨年11月に同じ沖縄県内の企業であるオリオンビールに相談を持ち掛け、海外や国内でもパンでビールを作っている事例があると分かり、このたびの商品開発に至った。
オリオンビールは、オキコから仕入れたパンの耳を粉砕し、仕込みの工程で粉砕したパンの耳を投入。その工程を説明した大城氏は、程よいパンの風味の残し方、その上でビールとして違和感のないスッキリ感、発酵温度の見極めなど、それぞれの工程での課題に言及した。
パンの耳を使ったビールの開発経過を語る大城氏
開発段階のパンの耳を使ったビール
今後、工場に500Lの醸造設備を導入、2021年の年明けには同社のECサイトにて小瓶1,000本程度の限定発売を予定しているという。
昨年は「75BEER」をリリース、今年に入って、「オリオン ザ・ドラフト」「オリオン サザンスター」「「WATTA<ワッタ>」のリニューアル、「謎のビール」の仕掛け、アイスメーカー・ブルーシールとのコラボ商品開発など、精力的かつスピーディーに活動を展開しているオリオンビール。今後の展開も楽しみだ。