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【わぉ!な水辺観察】春の川でノビル摘み

  • 2020年4月28日
  • NACS-J
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▲川辺に生えていたノビル。これぐらい太いと丸っこい鱗茎が楽しみ。葉をつまんで嗅ぐとネギの香りがする(写真:若林 輝)

春の「水辺」そして「食」……と言えば、好きな人はピンときますよね。そう、食べられる野草の季節です。春の七草に始まり、関東地方では3月の中盤にもなるとセリやノビル、カラシナにヤブカンゾウなど、水辺を歩いていると、田んぼの畔や川原に生える野草を摘んでいる人に出会います。時にはタンポポを根ごと収穫している人も……。

 私はと言えば、毎日のように川辺を歩いてはいるのですが、さほど野草には詳しくもなく、またどちらかというと料理も不得手な性質なので、あれもこれもと食べることはありません。ただ、ノビルだけは幼い頃から父に収穫に連れられたり、美味そうにビールのつまみにしていたのを見ていましたので、毎春、太いのが生えていると気になって数本抜いては味噌につけて食べています。

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▲意外と深くまで根が張っている。完全に掘り起こしてしまってもよいが、ある程度掘ったら数本まとめて握り、少しずつ少しずつ引き抜くと、鱗茎の下に伸びている根がプツプツッと少しずつ切れて、ズボッと抜ける。これが快感!(写真:若林 輝)

ノビルは漢字で書くと野蒜。「蒜」とはニンニクのことで、分類学上ではノビルもニンニクもともにヒガンバナ科のネギ属に含まれる種であり仲間です。葉にはニラやワケギのような香りがあり、丸くなった部分(鱗茎)はエシャレットのような辛みが特徴です。

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▲抜けたー!太いのも細いのも美味しく食べられる。煮れば葉もニラのように食べられる(写真:若林 輝)

根の周りをシャベルなどである程度掘ってからゆっくり引き抜くと、プツプツッと細い根が切れてスポッと鱗茎から抜くことができます。無理に急いで抜くと切れてしまいますので、できるだけゆっくりゆっくり引き抜き抜くのがコツ。ここがノビル採りの醍醐味です。

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▲水洗いするだけで食材に。(写真:若林 輝)
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▲生の辛みはビールのおつまみに最高だが、食べ過ぎるとお腹を壊すので注意(写真:若林 輝)

水洗いして味噌をつければ、エシャレットのようなおつまみになりますが、エシャレットよりも野性味が強いのか、たくさん食べるとお腹を壊してしまうことも……(ニンニクも同じですよね)。お腹が心配ならば少し煮てみるのも手。煮れば葉も美味しく食べられますし、鱗茎は辛みも取れます。もちろん天ぷらも美味です!

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▲少し茹でると辛みが取れて、食べやすくなる。ラーメンの具材にしても美味しい(写真:若林 輝)

収穫が楽しく美味しいノビルですが、時折、間違えて葉の似たスイセンやタマスダレを食べてしまい食中毒を起こしてしまう事故があります。ノビルは葉からニラやネギのような匂いがしますので、それを手掛かりにすれば間違えることはほぼないかと思いますが、はじめは周りで採っている慣れた人に教えてもらうと安心です。

 また、田んぼの畔など農地は避け、農家の人の作業のじゃまにもならないよう注意しましょう。採りすぎず、野の幸を少しいただくぐらいの気持ちで楽しんでくださいね!

 

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●若林 輝
渓流釣りと川歩きの本『RIVER-WALK』編集長。
釣りをはじめ、自然分野の編集・ライティングを行う。
釣りは川から海から池や沼まで何でも好き。日本自然保護協会会報『自然保護』特集担当でもある。

 

出典:わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト Facebookコラム
(2020年4月3日)
https://www.facebook.com/wow.wow.biodiversity.project/

※「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」は、公益財団法人日本自然保護協会とソニー株式会社が協働で実施しているプロジェクトです。
「わぉ!」という自然のおもしろさや不思議に触れたときの感動を多くの人に伝え、みんなで共有することで、自然を好きになってもらい、生物多様性の保全につなげていきます。

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