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【わぉ!な水辺観察】落ちアユ

  • 2019年11月26日
  • NACS-J
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▲落ちアユ(写真:若林 輝)

ちょうど今ごろ、川ではアユが産卵のために瀬に集まってくる季節です。アユの産卵場は水通しのよい砂利底です。

 夏にいた場所よりも下流に落ちてくることから「落ちアユ」と呼ばれています。体色が、さびた鉄のような黒ずんだ色に変ってくることから「さびアユ」とも言われます。

 アユは一年で一生を終える「年魚」ですから、産卵を終えたアユは、そのまま弱ってフラフラと川を流れ下っていきます。

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▲瀬に群れるアユ(写真:若林 輝)

ご存じのとおり、アユはとても美味しい魚です。野生の動物たちにとってもそれは同じ。

 川でコサギやダイサギ、アオサギなどのサギ類やカワウを見かけたら、よくよく観察してみてください。ボリュームのある落ちアユを美味しそうに呑みこんでいる様子を目にすることができることでしょう。

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▲アユを捕らえたダイサギと、うらやましそうに近づいてくるコサギ(写真:若林 輝)
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▲カワウもアユは大好物(写真:若林 輝)

アユを待ち望んでいるのは鳥だけではありません。水の中ではフィッシュイーター(魚食魚)であるスズキやナマズが瀬の下の深みや流心脇のたるみで待ち構えています。

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▲スズキも落ちアユが大好き(写真:若林 輝)

時間があれば朝や夕方、そんな川面をジッと観察してみてください。水面近くを流下する落ちアユを呑みこむ際に発せられる激しい捕食音を聞くことができるかもしれません。

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▲アユに似たルアー(疑似餌)で釣り上げられたナマズ(写真:若林 輝)

産卵は主に夜間に行われますが、産み落とされた卵は2週間ほどでふ化し、下流へと降下していきます。

 そして冬を海や河口域で過ごし、翌年の春、生まれた川に一斉に遡上してきます。それもまた、川に棲む鳥や魚食魚たちにとって、待ち望むご馳走となるのです。

 

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●若林 輝
渓流釣りと川歩きの本『RIVER-WALK』編集長。
釣りをはじめ、自然分野の編集・ライティングを行う。
釣りは川から海から池や沼まで何でも好き。日本自然保護協会会報『自然保護』特集担当でもある。

 

出典:わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト Facebookコラム
(2019年10月28日)
https://www.facebook.com/wow.wow.biodiversity.project/

※「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」は、公益財団法人日本自然保護協会とソニー株式会社が協働で実施しているプロジェクトです。
「わぉ!」という自然のおもしろさや不思議に触れたときの感動を多くの人に伝え、みんなで共有することで、自然を好きになってもらい、生物多様性の保全につなげていきます。

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