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ビーチコーミングを楽しもう!(前編)

  • 2019年8月30日
  • NACS-J

この夏、皆さんは海に遊びに行きましたか?
海水浴シーズンは終わりましたが、これからの季節、楽しいのが貝殻拾い=ビーチコーミングです。日本には9000種もの貝がいると言われています。
ビーチコーミングで何種類の貝を見つけられるかチャレンジしてみてください。

日本に貝の仲間は9000種

 軟体動物門の中で、貝がらを持つものを貝類と呼びますが、貝がらを持たないウミウシ・ナメクジ・イカ・タコも軟体動物で貝の仲間です。軟体動物は深海から陸上までさまざまな環境に適応し、全世界に約10万種が生息するとされ、種の多様性の高い生物群のひとつです。日本は南北に長く、多様な環境があり、陸産を含め約9000種も生息しています。

 さて、貝がらを持つ貝(以下、貝類)が今回の主役です。貝がらは軟体を支え保護する役割をしており、非常に多様な形態を持っています。その色彩・造形美は、古くから多くの人を惹きつけてきました。人が貝類に興味を持つのは、海岸に打ち上げられた貝がらを拾い上げ、その美しさに感動するのがきっかけになることが多く、私もそうでした。

 海岸に漂着した貝類を「打ち上げ貝」、それを採集することを「打ち上げ採集」(ビーチコーミング)と呼びます。打ち上げ採集は、最も初歩的な貝類採集ですが、水深10mくらいまでに生息するその地域の貝類相を把握する簡単で効率的な方法です。


どこで貝を探そう?

 打ち上げ貝の多い海岸と少ない海岸があります。貝がらが落ちていないから、その海域には貝類が少ないということではなく、地形や波浪といった海岸の物理的条件に大きく左右されています。

 大きな貝がらだけが打ち上がる海岸もあれば、小さな貝がたくさん打ち上がる海岸もあります。石川県増穂浦、和歌山県オゴクダの浜、福岡県津屋崎などは、よく知られた打ち上げ貝の名所です。

 打ち上げ貝は、砂浜のほか、岩礁・岩礫海岸の入り江でも多く拾えることがあります。満潮時の波打ち際や、干潮時の浜の斜面の下部には貝がらがたまっている場所があったり、海岸の端や河口近くには、貝がらが多く打ち上がる傾向があります。台風などで海が荒れた後は、多くの貝が打ち上がります。


良好な環境の海で見つかる貝

 良好な自然環境の場所、汚染の少ない海域で見られる貝類として、キサゴ類・サクラガイ類・ハマグリ類があります。これらの貝類は、埋め立て・汚染などによって生息地や個体数が少なくなっており、海の「環境指標種」として位置付けられます。

 内湾干潟・外洋砂浜・その中間的な環境、砂泥や粗い砂の底質など、さまざまな環境に適応した種が生息分布しています。これらの貝類はいずれも、1980年代までは各地の海岸にたくさん生息していた普通種でしたが、現在は絶滅危惧種になりつつあります。

 皆さんの暮らしている地域でも探してみて、海の健康診断をしてみましょう。

山下博由(貝類多様性研究所)


出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.528(2012年7・8月号)

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