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おもしろアリ雑学

  • 2018年8月16日
  • NACS-J

 日本自然保護協会では、この夏、子どもでも参加できる自然環境調査「自然しらべ2018 身近なアリしらべ」を実施しています。昨今のヒアリ騒動で注目されるようになったアリ。実は、日本のアリがどこにどれぐらいいるかはあまりわかっていません。ぜひこの夏は、お子さんの自由研究がてら「自然しらべ2018 身近なアリしらべ!」にご参加ください。

参加の仕方は→ https://www.nacsj.or.jp/shirabe/2018/06/11192/

 さて、今回は、身近に観察できる日本のアリの驚くべき生態をお届けします。

お侍が奴隷狩り!?

320 アリ2_写真1_サムライアリ
▲大アゴがサーベルのように鋭くとがっているサムライアリの働きアリ。
 サムライアリは、奴隷狩りをするアリです。クロヤマアリなどの巣にサーベル状に鋭いアゴを持った働きアリが大群押し寄せて侵入し、幼虫やサナギをさらって自分の巣に持ち帰ります。それを育てて一人前になったところで働かせ、餌を集めさせたり女王や幼虫などの世話をさせるのです。これは「奴隷制」と呼ばれる社会寄生の一種で、サムライアリの働きアリたちは「奴隷」を狩る以外の仕事はしないようです。海外では「海賊アリ」と呼ばれています。サムライアリの巣にいる約8割のアリが奴隷アリだったという研究もあります。

ほとんど働かない働きアリがいる!?

 「働きアリ」の中には全体の2割ほど「ほとんど働かないアリ」がいることが知られています。ですが、これは怠け者というわけではなく、巣に危機が訪れた時のために温存されている「予備軍」という説が有力です。普段は不要な存在かもしれませんが、10年に一度の危機があるとして、その危機を乗り越えるための備えが、巣全体からみたら必要なことなのでしょう。

320 アリ2_写真2_ハラクシケアリ

 写真のハラクシケアリの巣内の働きアリは、ある瞬間には仕事をしている個体は3割程度で、残りの7割は何もしていない。さらに全体数のうち2割のアリは日常的にほとんど働かない。しかし、巣が危機的な状態に陥り、仕事が大量に生じると、たぶん働き出す。

酸素消費量は人の約4.3倍!

 今から85年も前に日本でアリの酸素消費量を調べた研究者がいました。それによるとクロヤマアリの働きアリの酸素消費量は体重1gにつき15.17㎣/分でした。クロヤマアリの体重を4㎎、人間の体重を60㎏として単純計算すると、910.2ml/分となります。体重60㎏のヒトのおおよその酸素消費量は210ml/分です。よってヒトとクロヤマアリが同じ体重だったら、クロヤマアリはヒトの約4.3倍の割合で酸素を取り込んで生活していることになります。

10万匹で1円玉と同じ重さ!?

320 アリ3_写真3_ムネアカオオアリ
▲羽が抜け落ちたばかりのムネアカオオアリの女王。
 日本で最も体重の軽いアリはヤマトムカシアリで、働きアリの体重はわずか0.01mgです。10万匹で集まってやっと1円玉の重さになります。一方、日本で一番大きなムネアカオオアリの女王の体重は約180mg。クロオオアリの女王で約150mgという数値が得られています。

アリの種類ナンバーワンは沖縄県

 アリの種数が最も多い県は沖縄県。日本国内にいる298種のうち、実に150種が沖縄県に生息しています。2位は鹿児島県(本土から約110種、大隅諸島・トカラ列島・奄美群島を含めると約145種)と、南方ほどアリの種数や密度は高くなる傾向が見られます。ところが3位は中部地方の岐阜県(118種)です。その理由のひとつに、標高3000mを超す高い山々を有していることが挙げられます。高地性のアリも多いことが、全体としての種数を伸ばしているのです。また、立地的に南方系の種と北方系の種の両方が見られることも、より多くの種が生息する理由のひとつでしょう。
 一方、種数・密度ともに最も少ないのは北海道。特に亜寒帯になると、急にその数が減ってしまうことが分かっています。


出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.564(2018年7・8月号)

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