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2017年度は、日本自然保護協会へ寄付させていただきます。
日本自然保護協会(NACS-J)の活動や自然環境保護に関する情報をお届けします。

沖縄のジュゴンZAN ~ドキュメンタリーフィルムが完成~

  • 2017年12月20日
  • NACS-J

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 今ではジュゴンは絶滅危惧種となり、人とのつながりが失われつつあります。豊かな海を守り、ジュゴンを守るため、生息地である辺野古・大浦湾を舞台にしたドキュメンタリーフィルム『ZAN』が完成しました。

 人魚伝説の元になったとも言われるジュゴン。生息地の沖縄では「ZAN(ザン)」と呼ばれ、海と人とをつなぐ不思議な力を持つ生きものとして語り継がれてきました。
 例えば、こんな物語・・・

 石垣島に言い伝えられているものがあるんですけど、
 昔、野原村(のばるむら)っていう村があって、
 そこの若者たちがある日海に出て、
 いつものように魚を網で捕っていた時に、
 人魚が引っ掛かって。
 それが今、ジュゴンって言われているんですけど。
 その人魚が悲しそうに泣きながら、
 「網から出してほしい」ってお願いをしたらしくて、
 それがあまりにもかわいそうだったので、
 海に返してあげたら、その人魚が感謝を込めて、
 「これから津波が来るから、すぐ山の方に逃げてください」
 っていう話をして。
 実際に明和の大津波っていう津波があったんですけど
 その村の人たちはみんな助かった、っていう話……

(フィルム『ZAN』より一部抜粋)


美しい海の自然と人々の思いを伝える

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 「海の自然保護は、陸に比べて遅れている」。近年、日本自然保護協会は、このことを強く感じていました。海は、森や里山よりも、私たちの暮らしから少し遠いように思います。スーパーに行けば魚が売られていますが、そこに並ぶのは食用の魚種だけ。ほかにも多くの生きものがいる海中の姿はなかなか実感できません。研究者や地元で活動する人も陸より少なく感じます。
 沖縄県名護市の辺野古・大浦湾には、米軍基地移設に伴う海の埋め立て問題があります。この問題でも、海の中で起きる深刻な状況を、上手に伝えられないもどかしさがありました。そんなとき、広告制作会社イメージミル代表のリック・グレハンさんからフィルム制作の提案をいただきました。ぜひ海の中の様子を伝えてほしいとお願いし、制作が始まりました。制作期間は2年以上。イメージミルの専門性を活かし、会社を挙げたボランティア(プロボノ)として取り組んでくださいました。日本自然保護協会だけでは実現できなかったことが詰まった作品です。ぜひたくさんの方にご覧いただき、海の保護を一緒に考えたいと思います。

『ZAN ~ジュゴンが姿を見せるとき~』がクアラルンプール国際環境映画祭審査員特別賞受賞!

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 2017年10月、第10回を迎えるクアラルンプール国際環境映画祭で『ZAN』が審査員特別賞を受賞しました。さらにベストフィーチャーフィルム賞の最終ノミネート作品にも選ばれています。受賞にあたって『ZAN』が最も評価された点は、非常に重要な問題を分かりやすく、また映像技術を駆使し表現したという点でした。

 クアラルンプールで開かれた授賞式には、リック監督と木佐美有プロデューサーが参加しました。リック監督に現地の様子を伺うと、「マレーシア近海にもジュゴンが生息しているのでジュゴンについて聞くと、マレーシアでもジュゴンと人間との関わりは深く、人間に災いなどを警告しにきてくれる動物などとして大切な動物として敬われてきたと言っていました。こうした話は沖縄で私が聞いたジュゴンについての話と類似点が多く、非常に印象的でした。今回、素晴らしい映画祭で審査員特別賞をいただき、大変光栄に思っています」とのことでした。

 また、木佐美プロデューサーは、「映画祭では学生の作品を含む環境問題を扱う素晴らしいドキュメンタリー映画がたくさん上映されていました。マレーシアでは、「日本は環境保全の分野でも指導的な立場にいる国」と考えている人が多かったので、『ZAN』を観た人たちは、日本でジュゴンが危機に追いやられている現実に非常に驚いていました。また、マレーシアでもジュゴンの保護活動が積極的に行なわれているという話を聞きました。日本でも保護活動をさらに積極的に行うことが重要だと感じました」と話します。

 今後も日本だけでなくさまざまな国の方に『ZAN』を見ていただき、辺野古の問題を広げることで、ジュゴンの保護そして辺野古の海の保全につなげていきたいと思います。

(※その後、ドキュメンタリーフィルム『ZAN』は、ハワイ国際映画祭のオフィシャルセレクション作品にも選出され、現地映画祭でも上映されました。)

※『ZAN ジュゴンが姿を見せるとき』特別解説ページは以下ページよりご覧ください。
http://www.nacsj.or.jp/2017/09/5632/


●志村智子

(公財)日本自然保護協会
自然保護部
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※掲載している写真やデータは、会報『自然保護』掲載時(2017年)のものに加筆修正を加えています。
 出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.559(2017年9・10月号)より

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