宇部出身イラストレーター「アユネル」 地元の書店で初の原画展

  • 2025年5月15日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 イラストレーター「アユネル」さんの初の原画展が5月11日、カフェスペースを併設する書店「工夫舎」(宇部市寿町2)で始まった。(山口宇部経済新聞)

 「途中過程」の原画

 宇部出身のアユネルさんは2014(平成26)年頃からインターネット上で作品を公開し、ギャラリーなどでの展示を経て、宇部を拠点にイラストレーターとして独立。2022年頃からは地元のライブハウスでライブペイントを行うなど活動の幅を広げ、フライヤーやCDジャケット、Tシャツなどのデザインを手がける。今年3月には、「永山本家酒造場」(宇部市車地)の「貴」蔵開き限定酒のラベルデザインも担当するなど、多岐にわたって活躍している。

 表現方法として、一般的なスケッチブックではなくメモ帳を愛用するというアユネルさん。0.05ミリの極細ペンで描いた繊細な原画をパソコンに取り込み、Photoshop(フォトショップ)で着色するという独特の手法を用いている。アンニュイな表情の少女、タコの足、煙、そして空想上のキャラクター「不思議ないきものたち」といったモチーフを好んで描く。

 今回の初の原画展について、アユネルさんは「自身の作品は彩度が高めなので、お店の温かい色合いに合うように、かつ絵の細やかなタッチも直接感じてもらえたらと思い、初めて原画のみでの展示を決めた」と話す。

 5月31日までの会期中、会場では描き下ろしの新作を含む原画7点が展示販売されるほか、ポストカードやステッカー、昨年12月に刊行された自身初の作品集「nook」(A5判、140ページ、オールカラー、3,800円)なども販売される。

 さらに、デジタルで仕上げる前の貴重な「途中過程」の日常的な原画を、同店のカフェスペース「喫茶室」の一部で展示する。「散歩が好きで、歩いている時に描きたいものがふとひらめくことが多い。自身の好きな世界観をそのまま表現しているので、明確なテーマというものはなく、見てくれる方の視点に委ね、想像力を掻き立てられるような『余白』を残しているつもり」と自身の作品について語る。

 工夫舎の店主・根来正樹さんは、アユネルさんの作品について「おどろおどろしい雰囲気の中に、ふと愛らしさが見つかり、どこか優しい印象を受ける。原画には、デジタル作品では伝わりにくい細部へのこだわりや、作家の生々しいエネルギーが宿っている。小さな気づきや自分らしさの起点を感じてもらえたら」と期待を込める。

 アユネルさんは、「いつもはデジタルで作品を見てもらう機会が多いが、原画では油性マジックやアクリル絵の具なども使用しており、その質感を生で感じてもらえたらうれしい。今年は、初めてとなる県外での展示も予定している。これからも自分の好きなものを描き続けながら、新しい人々との出会いも大切にしていきたい」と笑顔を見せる。

 開催時間は12時~19時。火曜定休。アユネルさんの在廊日は、本人のインスタグラムで告知する。

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