博多座(福岡市博多区下川端町)エントランスに現在、5月公演「屋根の上のヴァイオリン弾き」の絵看板が掲出されている。(博多経済新聞)
5月8日行われた絵看板の完成披露除幕式の様子
5月9日から上演中のミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の公演ポスターを、手描きの絵看板として制作し展示する同企画。同劇場が建つ中洲エリアには、昨年閉館した映画館「中洲大洋」をはじめ、かつては多くの映画館が立ち並び映画看板が多くあったことから、今回ミュージカル公演に合わせ、中洲のエンターテインメント文化の歴史を伝えようと、同劇場初の試みとして実施に至った。
絵看板の制作を手がけたのは、福岡市早良区に在住の看板絵師・中村高徳さん。中村さんは、17歳の時に福岡市内で映画看板を請け負っていた高木画房の故・高木寿夫さんに弟子入りし、28歳で独立。これまでに福岡市内の映画館の絵看板を手がけ、現在までに1000点以上の作品を制作してきた。中村さんが手がける絵看板が飾られるのは27年ぶりだという。今回の絵看板の大きさは縦2.1メートル×横2.7メートルで、制作には約1カ月を要した。
5月8日、舞台初日を前に同絵看板の完成披露除幕式が行われ、中村さんをはじめ同作品に出演する市村正親さん、鳳蘭さん、博多座の大坪潔晴社長が登壇。ドラムロールが鳴り、オープンの掛け声とともに絵看板の除幕が行われ、市村さん、鳳さんが同絵看板に描かれた自身の名前の一部に、直接最後の筆入れを行うことで完成した。
中村さんは「いつかは博多座に、自分の描いた絵が飾られたらいいなと思っていたが、まさかこういう形で実現するとは思わなかったのでうれしい。表情や色使い、小さな文字など、時間をかけて描いた」と制作への思いを話した。市村さんは「舞台の役者として、絵看板になることは非常に誇り。身が引き締まる思い。この絵看板に恥じないような芝居をしないといけない」と意気込む。鳳さんは「まさか自分にこんな日が来るとは、夢にも思っていなかった。観劇に来た方には、入り口で絵看板を見て、芝居を見て、二重で感動してもらえたら」と呼びかけた。
絵看板の掲出は5月18日まで。