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「今日の夕飯、手抜き?」共働きの妻に、夫からチクリ…。再就職後の、仕事と家事の両立

  • 2023年1月30日
  • レタスクラブニュース


教育資金をはじめ、何かとお金のかかる子育て世代。結婚や出産で退職した方も、家計を助けるために再就職を検討している方も多いのではないでしょうか。しかし、再就職をして経済的なゆとりを得られた一方で、仕事と家事の両立について家族とのトラブルが発生したという声を聞くこともあります。

『母親だから当たり前? フツウの母親ってなんですか』は、再就職を機に「女性の幸せ」とは何かを模索する主人公を描いたコミックエッセイ。「母親の在るべき姿」の価値観が違う義父母との衝突や、仕事と家事の両立に悩みながらも前を向いて道を切り拓いていく姿が、読者の共感を集めています。今回は、再就職後の仕事と家事の両立にまつわるトラブル例をご紹介します。
また、このようなトラブルを回避するためのアドバイスを、しゅふJOB総研 研究顧問/ワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに伺いました。

再就職したばかりの主人公。散らかり放題の家で、義母が驚きの行動に

主人公のあかりは、夫と2歳の娘との3人家族。夫の実家の敷地に新居を建て、義父母との敷地内同居を始めます。妊娠を機に仕事を辞めたあかりですが、子どもを義母に預けて働き始めることに。そんなある日、あかりがパートから帰ると…。


洗い物をする時間がなく、汚れた食器で一杯になっていたはずのシンクが、なぜかピカピカに片付いていることに気が付きます。知らない間に夫がやってくれた?それとも、自分が無意識に片付けていたのか…?と不思議に思うあかり。実は、彼女が会社に行っている間に、驚くべきことが起きていました。






共働きとなった息子一家がちゃんと暮らせているのか気になった義母が、留守宅に勝手に上がりこんでいたのです。そこで、散らかったままの部屋を目の当たりにした義母。「女の仕事は、夫が心地よく暮らせるように家庭をしっかり守ること」という価値観を持つ義母にとって、掃除が行き届いていない家の「惨状」は受け入れ難いものでした。「これじゃあ、息子と孫がかわいそう!」と、勝手に片付け始めてしまいます。

働きに出たことで、以前と同じように家事が出来なくなってしまったあかり。その状況を快く思わない義母。そのちょっとしたトラブルの芽は、いつしか二人の関係に不穏な影を落とすことになるのです。

仕事と家事の両立。家族とのトラブルを回避するには?

再就職した子育て中の女性の多くが「仕事と家事の両立」の大変さを感じているのではないでしょうか?今までより家事に時間を割けなくなり、主人公のあかりのように家族とトラブルになってしまうこともあるかもしれません。そこで、しゅふJOB総研 研究顧問/ワークスタイル研究家の川上敬太郎さんにお話を伺いました。

―再就職後の「仕事と家事の両立」に関するトラブルは多いのでしょうか?

川上さん「私はそのような話をよく耳にします。今回紹介されたのは義母とのエピソードでしたが、夫からチクリと言われることも。夕飯を作る時間がなくてお惣菜を買って帰ったら、夫から『今日の夕飯は手抜き?』『おかず少なくない?』といった言葉をかけられたケースもあります。そもそも、こういったトラブルの根底にあるのは、『家を守るのは、女性の仕事』という価値観。それが当たり前だった親世代や、夫がそのような価値観の家庭で育った場合は、『外で働いていようと、家事は女性が完璧にやるべき』と無意識に思ってしまっている可能性があります。子どもの体調が悪い時、お互いフルタイムで働いていても夫は『妻が仕事を休むのが当然』だと考えていた…という話をされた方もいらっしゃいます。」

―まずは、家族の『外で働いていようと、家事は女性が完璧にやるべき』という価値観を変えることから始めないといけないんですね。

川上さん「そうですね。そのためにはやはり、再就職前に夫婦で家事の分担について話し合い、コンセンサスを取っておくことが肝になると思います。よく『夫を説得するのが面倒くさい』と諦めてしまう方もいるのですが、そこを握っておかないと再就職後にもっと面倒なことになります。得意分野を考慮して家事分担を決めたり、子どもが体調を崩した時に備えてお互いのスケジュールを共有しておいたり…細かなことも話し合い、お互いの認識をすり合わせていくことがすごく大事だと思います。」

―仕事と家庭のバランスをうまくとるためのコツはありますか?

川上さん「家事が回らないそもそもの原因は、オーバーワークにあります。実は、自分自身も『家を守るのは、女性の仕事』という価値観に縛られていて、『外で働いていても、家事を回すのは私!』と一人で頑張ってしまう方が多いんですよね。責任感が強い方ほど、その傾向があるように思います。でも、今まで100パーセント家庭にかけることができた時間が、再就職後に仕事に割かれるようになれば、当然ながら同じレベルの家事をこなすなんて無理。それなのに『私がやらねば』と一人で抱え込んでしまった結果、家事が回らなくなるのです。だから、まずは『女性がやるべき』といった『べき』の呪縛から解放されることが第一だと思います。全て自分でこなそうとするのではなく、妻が仕事で遅くなる日は夫が炊事をする、キッチンや浴室の大掃除は外注する、といった解決方法も検討してみませんか。」

―家事は「女性が」やるものだという、自分の価値観も変える必要があるのですね。

川上さん「あと、仕事と家庭のバランスをうまくとるためには、自分に課している家事が本当に必要か見直すことも大事です。整理のコツは、家事を『Want』と『Must』に仕分けすること。『Want』というのは、『なくてもいいけど、できたらなお良い』という案件。『Must』は『ここだけは絶対に外せない』ことです。『一汁三菜って必要?』『掃除機は毎日かけなきゃダメ?』など、家事で『やらねば』と思っていることが、本当に必要不可欠なことなのか再考してみましょう。実は、我が家は一汁三菜は『Want』であり、忙しい平日は一汁一菜でも問題なかった…など、思い込んでいただけで『Must』ではなかった家事も浮かび上がってくると思います。」

再就職後の「仕事と家事の両立」を実現するためには、まず周囲の「家事は女性がするべき」の価値観を変えることから。そして、夫や家族と役割分担を話し合い、家事を「Want」と「Must」に仕分けして必要不可欠か見直してみる。大変な作業ではありますが、きっと「家族同士の相互理解」や「自分が望む働き方」の実現にも繋がっていくはず。まずは自分の中にある、家事の『私がやるべき』『完璧にやらねば』の思い込みを捨てるところから始めてみませんか?

【取材協力】
しゅふJOB総研 研究顧問/ワークスタイル研究家 川上敬太郎さん


大手人材サービス企業管理職、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼編集委員などを経て、2010年に株式会社ビースタイル(当時)入社。翌年、調査機関『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げ所長就任。現在は独立し、『ワークスタイル』をメインテーマにした研究・執筆・講演・企業の事業支援などに携わる。NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディア出演も多数。自身も4児の父親で兼業主夫。

※この記事は龍 たまこ著の書籍『母親だから当たり前? フツウの母親ってなんですか』から一部抜粋・編集しました。

取材・文=酒詰明子

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