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計画性がなさ過ぎる!宿題は終わらず、テスト勉強も間に合わない中1娘【小川先生の子育てよろず相談室】

  • 2022年11月29日
  • レタスクラブニュース


「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第123 回のお悩みはこちら。

【お悩み】

地元の公立中学に通う中1の娘についての相談です。高校受験をする予定なので、学校での内申点が重視される状況にあります。学校は二学期制で、一学期の中間は平均80点くらいとそんなに悪くはありませんでした。ところが、夏休み明けにあった期末は、平均70点いかないくらいとかなり下降。理由としては、シンプルに準備期間が全然足りていなかったためだと思われます。というのも、期末は9月の第2週から始まるため、夏休み中からテスト勉強を始める必要があったのですが、そもそも宿題を終わらせることすらできていなかったからです。

夏休みの宿題は、各教科のレポートや自由研究など結構なボリュームだったため、計画的に進めないとダメだということは休み前から説明していました。「試験勉強に充てる時間も考慮して、夏休みが終わる1週間前には宿題が終わるようなスケジュールを一緒に立てよう」と、ノートを広げたり、カレンダーをプリントアウトしたりと、いろいろお膳立てしてあげたのですが、反抗期でうるさそうに生返事をするばかり。結局スケジュールを立てずじまいでした。

夏休み中は週5で午前中だけ夏期講習に通っていましたが、午後は部屋にこもって好きな漫画やYouTubeを見たり、絵を描いたりして、ひたすらオタク活動にいそしんでいた感じです。私も仕事があるため、そんなにべったり構っていられないし、少なくとも午前中の3時間は勉強していると思って見守っていたのですが、結局宿題は終わらないし、試験勉強もできないまま夏休みが終わってしまいました。中学生の夏休みの宿題や勉強に対して、親がどこまで口を出すべきなのか、どのように声をかけたらいいのかアドバイスいただきたいです(Mさん・43歳)

【小川先生の回答】

■計画を立てるには行動と時間を結びつける思考が不可欠

計画を立てる際に重要なのは、最終目標だけでなく、中間目標も設定することです。例えば夏休みの宿題であれば、1週間で何がどれだけ終わっているといいかなど、本人がイメージできる単位まで分割して中間目標を設定し、それに必要な行動を具体化していきます。そのため計画を立てる前段階として、何にどれくらい時間がかかりそうかを把握しておく必要があるのですが、おそらく娘さんは、この行動と時間を結び付けて考えることができていないように思われます。というのも、本人が好んで行っている「オタク活動」と称することは全て、達成度とは無縁の世界。ただ浸っていることが嬉しい世界なため、本人は目標設定という視点でものごとを捉えていないのです。そのため「スケジュールを立てよう」と言われても、どうやって立てれば実行につながるのかわからないのだと思います。

■学習記録帳で自分の学習に関する情報を整理・把握する

まずは一日の行動記録をつけるところから始めましょう。日常の宿題に取り組んで、例えば「数学の問題集2ページは30分でやれた」というように、自分の行動経験を一個一個、時間という単位と結びつけて記録に残していきます。科目、使用したテキスト、ページ数や量、所要時間などを記録した学習記録帳のようなものを作るといいですね。そしてその学習記録帳を時折親子で振り返り点検します。「英語は結構進みやすいけど、理科は苦労するね」「1時間でできることって科目によっても随分違うね」など、振り返りながら本人に自分の学習についての情報を把握させていくことが大切です。

お母さんは、期末の成績が落ちた原因は、夏休みの宿題が終わらなかったことによる準備不足と捉えているようですが、おそらく根本原因は、自分の学習についての情報不足だと思います。そもそも中間テストは科目数も少なく学習対象量も限られているため、本人もそれなりにこなせていたのでしょう。ところが期末は対象科目も量も一気に増えます。そのため本人がこなせるキャパを超えてしまい、全てが止まったと理解したほうがいいでしょう。その意味でも、学習記録帳をつけて、自分の学習についての情報を的確に把握できるよう助けてあげる必要があります。

■日常生活でも見込みを立てる練習を

記録に残すことがある程度習慣化してきたら、次のステップは見込みを立てること。「どれくらいの時間で宿題終わりそう?」など、本人に見込みを立てる機会を作ってあげましょう。これは宿題に限らず何でも良くて、例えば、何かの用事で出かける時に、「何時くらいに帰って来られそうかな?」と聞くのもいいですね。そうやって、普段の生活から全て、見込みを立てて行動するという習慣づけをしてあげることが大切です。

■最初から全任せにせず、段階的に受け渡す

何にどれくらい時間を使っているかを振り返り、見込みを立てる練習を積んで初めて、計画を立てるという行動も動き出します。とはいえ、計画を立てるのも初めての経験なので、いきなり「何からやる?」と聞いてしまうと、本人は戸惑ってしまうでしょう。なので、「苦労しそうな科目は早めに始めたほうがいいから、初日からやろう」など、入口のところはお母さんのほうで勝手に決めてしまったほうがスムーズです。そのうえで、「10ページやるのにどのくらい時間かかりそう?」など、具体的な予測時間を本人なりに考えさせ、それをスケジュールに反映させていきましょう。予測を立てるのに慣れてきたら、次は「どの科目をやるか」、「いつからやるか」なども、徐々に本人に考えさせていきます。そうやって、段階的に受け渡していくのがいいと思います。

■中間チェックで軌道修正を手伝う

計画を立てる際に忘れてはならないのは、必ず中間チェックポイントを入れること。いきなり計画通りに全てが進むなんてことはあまりないので、途中で進度をチェックして、計画とズレがあったら、軌道修正していく必要があるからです。とはいえ、突然途中から口を出されたら、中学生なら当然嫌がることでしょう。なので、前もっていつチェックポイントを入れるかを約束しておくことが大切です。「予定変更を手伝えるように、途中で様子をみる機会を設けたいんだけど、どのあたりで確認したらいい?」と本人と話し合って決めておきましょう。そして例えば、「3日に一度」と決めたとして、実際確認してみたら2日目から状況にズレが生じているようであれば、「あなたは3日って言ってたけど、まだ2日が限界みたいだから2日毎に確認したほうがいいね」と、本人の状況に合わせたチェックポイントに変えていきます。そうやって、自分のできること、できる範囲など、学習情報についての本人理解を深めていくことが、計画的に学習に取り組むための土台になります。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『中間テストの成功経験から導き出せば計画も立てやすいでしょう』
科目数も少なく、範囲も狭かった中間テストでは、十分に準備できて結果も出せていたわけだから、まずはそこを振り返ってみましょう。どのくらいの量をどのくらいの時間でできたのかを振り返ると、自分がコントロールできる情報量も見えてきます。そこを手掛かりに計画を立てていくと、スムーズにいくと思いますよ。

回答者Profile


小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル、公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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