家で過ごす時間が長くなり、
〝食べること〞がより身近で大切に思えてきた…という人が増えています。
そんな今こそ、キッチン道具を見直すチャンスなのかもしれません。
料理のプロが愛用する品々と、そこにまつわる思いを参考に、料理が楽しくなる道具を見つけてみませんか?
今回教えてくれたのは▷ツレヅレハナコさん
食と酒と旅と台所道具をこよなく愛する編集者。
雑誌やSNSで発信するレシピは、簡潔でありながら繰り返し作りたくなるおいしさで、料理初心者から上級者まで幅広い層に支持されている。
近著に、本誌の人気連載をまとめた『ツレヅレハナコの2素材で私つまみ』(KADOKAWA)。
Instagram @turehana1
道具の数だけ、食べたい料理があるんです
キッチン道具を眺めながらちょっと一杯……。
そんなひとときがこのうえなく幸せだというツレヅレハナコさんですが、台所にある道具の量は少々、いやかなり多め。
その理由は、ハナコさんのこんな性質(?)にあるようです。
「どうやら私は、1つのことしかできない道具が好きみたいで。
わさび専用のおろし板や鬼おろし器など、その不器用さがいとおしいなと思うんです。
そういう道具って、実はほかのものでは替えが利かないものでもあって。
私は欲張りで、本当はこういうものが食べたいのにその味に到達できない、というのが悔しくてしかたがないタイプ。
食べることを諦めたくないから、食べたい料理の数だけ道具が増えていくんでしょうね(笑)」
そんな料理作りの頼もしい相棒たちは、気持ちも豊かにしてくれる、とハナコさん。
「グリルパンがなくても何とかなるけど(笑)、肉に焼き目がつくと気持ちが上がりませんか!?
味も気持ちも豊かにしてくれる。
私にとって、そういうものがいい道具なのかなと思います」
焼き目をつけるなら鉄に勝るものなし!
■OIGEN グリルパン21cm
「南部鉄器のグリルパンはじんわりと食材に熱が通るので、何を焼いてもすごくおいしくなるんです。
食欲をそそる焼き目も美しくて、テンションが上がります」。
▷幅34.8(柄も含む)×奥行き21.2(底径18.5)×高さ5.7cm ¥5,500/及源鋳造
使いみちは超限定的。だけど香りも味も別次元
■(右)鮫皮おろし 長次郎 大/(左)マイクロプレイン クラシックシリーズ グレーター ハンドルなし
「右はわさび、左は果物の皮などを削るものですが、適当なおろし金でするものとは大違い。
味も香りも繊細で別次元」。
▷(右)大(おろし部分)幅8.2×長さ8.2cm ¥5,060、小 幅5.1×長さ5.3cm ¥1,815/ワールドヴィジョン
▷(左)長さ31.5cm ¥2,530/池商
使調理の“地味に面倒”を楽しく解決
■ぶんぶんチョッパー super-5
「フードプロセッサーを出すまでもない少量のみじん切り。
地味に面倒だったこの作業を、ぶんぶんチョッパーが解決してくれました。
ひもをぶんぶん引っ張るのも、すごく楽しい(笑)」。
▷容量900ml ¥2,178(編集部調べ)/ケイ・アンド・エー
存在自体がいとしくて。終わりなき木べら収集
■(左)返しターナー(サクラ)
「私のへら愛、すごいですよ(笑)。
存在自体が好きなので、台所にあるだけで幸せです。
好みのタイプは、この左側のターナーのように面が平らで先端が斜めになっているもの。
見かけたらつい買っちゃいますね」。
▷(左)¥1,320/宮島工芸製作所
<レタスクラブ’21年4月号より>
撮影/安井真喜子 スタイリング/河野亜紀 取材・文/恩田貴子