お盆が過ぎてもまだまだ暑い8月。中高年や高齢者は熱中症にかかりやすいと言われていますが、実際に中高年や高齢者は救急搬送されたり、最悪、死亡したりする事例が多いです。今回は、中高年が熱中症になりやすい理由や、熱中症の予防法について解説します。
まずは、中高年が熱中症になりやすい理由を見ていきましょう。
通常、人間は「暑い」と判断すると反射的に血流量や汗の量を増やして、体内の熱を外に逃がそうとします。しかし、年齢を重ねると、皮膚の熱を感じ取る機能が弱まるため、暑さに対して鈍感になる傾向があります。
そのため、実際の気温が思った以上に高くても、その状態に気づけずに熱中症につながる場合があるのです。
人間のからだには、体温が高いときには汗の気化熱で熱を外に逃がす仕組みがあります。しかし、高齢になると脂肪がつきやすくなる分、体内の水分の割合が減って汗をかきにくくなります。その結果、からだに熱がこもりやすくなり、熱中症になりやすくなります。
熱中症は重症化すると死に至る可能性がある危険な状態ですが、普段から対策を心がけることで防ぐことが可能です。ここでは、熱中症の予防法を3つ紹介します。
高齢になるとトイレが近くなるため、水分補給を控えている方もいるかもしれませんが、のどが渇いていなくても計画的に水分を摂ることが大切です。
日中は1時間おきに、コップ1杯程度の水をこまめに飲みましょう。キュウリやスイカなど、水分を多く含む食材や、スープやお味噌汁など、水分の多いメニューを積極的に取り入れるのもいいですね。
熱中症は外の炎天下で起こるイメージをもつ方も多いかもしれませんが、中高年や高齢者では自宅をはじめとする室内で多く発生しています。「家にいるから大丈夫」と思うのではなく、室内でも室温を28℃以下に保って対策しましょう。
からだの冷えや電気代を気にしてエアコンの使用をためらっている方もいるかもしれませんが、熱中症を予防するにはエアコンを適切に使うことが大切です。
なお、28℃というのはエアコンの設定温度ではなく実際の室温なので、室温計で定期的に部屋の温度をチェックすることをおすすめします。
熱中症の予防で最も重要なことは、暑さを避けることです。天気がよい日の不要不急の外出はなるべく避けましょう。暑い日に予定があって外出する場合は、通気性や吸湿性の高い素材の服を選び、日傘や帽子で直射日光を避けることが大切です。
熱中症の予防には、次のような作用をもつ漢方薬を選びます。
・からだの熱を冷ましてのどの渇きやほてりを鎮める
・からだの水分の循環をよくする
・胃腸の機能を高めてからだを元気にする
根本的な体質改善を目指せる漢方薬なら、毎日飲むだけで熱中症になりにくいからだを目指せるでしょう。
・清暑益気湯(せいしょえっきとう):暑さで弱った胃腸の働きを高め、からだを元気にします。食欲が湧かずに元気がなく、だるさを感じている場合におすすめです。
・五苓散(ごれいさん):体内の水分バランスを改善し、水分代謝を促すことで水の偏りや滞りを整え、暑気あたりを改善します。
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*漢方薬は比較的安全だといわれていますが、症状や体質に合ったものでないと十分な効果を得られないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。どの漢方薬が適切か見極めるには、専門家のアドバイスに従いましょう。
文・監修/稲嶺千春(いなみね・ちはる)●薬剤師。製薬企業や調剤薬局に勤務する中で、根本治療の大切さを広めたいと考え、精度の高い漢方の情報発信を行う。