【料理家ヤミー】40代で手に入れた"大体いつもご機嫌メンタル”の作り方「理想の自分と戦わないで」

  • 2023年4月7日
  • 暮らしニスタ

20代後半に開設したブログが1年後に書籍化。発売から3ヶ月で10万部を超えるベストセラーとなり、料理本の出版やテレビ出演などで多忙な日々を過ごしてきた料理家のヤミーさん。ガムシャラに働いていた20代~30代前半、そしてステージが変わった40代の現在まで。ヤミーさんの大切にしている「暮らし」と「暮らしの基盤」を聞きました。

料理は好きだったけれど、上手かはわからなかった

—ヤミーさんの料理との出会いはいつですか?昔からお得意だったのでしょうか

「得意だったか不得意だったか、実際はわからないのですが…。料理に対してはずっと苦手意識がありました。

うちの実家は農家で、春から秋は特に忙しく、繁忙期は一家総出で農作業をしていたんですね。私は農作業を手伝うのが好きではなかったので(笑)、その代わりに家族の食事作りを買って出たんです。

小学生だったので、ごはんとお味噌汁くらいしか作れませんでしたが、料理自体は楽しかった!

ただ、ふだんの食卓は、もっぱら家で採れた野菜の煮物や炒め物、漬物ばかり。今思えば、新鮮な野菜を使い放題でずいぶん贅沢だな~と思いますが、当時の私は、グラタンとかハヤシライスとか、異国っぽい料理への憧れがすごくあって(笑)。

そんな私に、『そんなに食べたいなら、自分で作りなさい』と、親が子ども向けの料理本を買い与えてくれたんです。

以来、あれこれ洋食を作っては、「わーおいしい!」と(笑)。ただ家族、特に父は、食べ慣れないものが食卓に載ることに抵抗があったのか、あまり褒めてはくれませんでした。

今思えば、いつも残さず食べてくれていたので、美味しくなかったわけではないと思うのですが、その当時の記憶から、『自分は料理が上手じゃない』という意識がずっとありました」

—美大を卒業後、デザイン会社に就職して激務の日々を過ごされていたそうですね

「デザイン会社時代は、毎日のように終電まで働く日々でした。唯一の楽しみが、週末に学生時代から大好きだったKALDIに行き、買い物をすることでした。

レンチンするだけで食べられるパスタなど、お気に入りの商品は会社のデスクの引き出しにも常にストックしておき、帰れない日の晩ごはんや夜食にしていました。

3年ほど働きましたが、あまりに忙しい日々に一旦ストップをかけ、大好きだったKALDIでアルバイトを始めたのが最初の転機です。

— KALDIでのアルバイト生活を経て、料理研究家になるまでの経緯は?

「KALDIで働いていたときに、お店で売っている食材やキットを使って料理をしては、同僚や先輩に味見をしてもらったり、報告をしていたんです。

そのうちみんなから、『今日は何を作るの?』を聞かれるようになり。だったら、当時流行っていたブログで紹介してみようと考えたわけです。

実はそれまでも、日々の暮らしに関するブログを書いてはいたんですが、更新する意欲もネタも薄くて(笑)。でも、料理のブログにしたら楽しくて、どんなに忙しくても更新が苦じゃない。しかもありがたいことに、あっという間にたくさんの方々に見てもらえるようになって、ますます楽しくなりました。

二度目の転機は、今でも人気の『薄焼きパン』のレシピが急に跳ねたこと。ブログを始めて3ヶ月目にはアクセス数が当初の何十倍になり、それ以降、テレビ出演や料理本の出版などのお話をたくさんいただくようになり、生活がガラッと変わりました。

理想の自分はさっさと捨てたほうが成長は早い

—ヤミーさんが何事にも積極的に挑戦できる原動力を教えてください

「私は負けず嫌いですし、声をかけてもらったということはきっと自分にできるんだろう!と楽観的なところがあって。だから、基本的に仕事はお声がけをいただいたら、積極的に『はい、やります!』というスタイル。

もちろん、あとから『もっとできたな〜』『ここはこうすれば良かったよね』と思うことはありますが、落ち込むことはなく、次はもっと良い仕事をするぞを思っていました。なので原動力は、この『性格』によるところが大きいかもしれません。

30代半ばくらいまでは、ダッシュしながら、投げられたボールも必死に打ち返すという日々でしたが、常に新しい出来事が起き、新しい人と出会い、とても刺激的で楽しかったです。プライベートはほぼない、という状態でしたけどね(笑)」

—猛烈に駆け抜けた20〜30代を過ぎ、40代になって生きやすくなったのはどうしてですか?

「過去の自分や周りを見ていて思うのは、『自分の能力はこんなものじゃない!』と理想の自分と戦っている人が多いなということ。他にも、『みんなはできるのに、私だけできない…』と劣等感を抱いている人も多いような気がします。

でも、それって実は自分が勝手に作った理想や敵の可能性が高い。私もそうでしたが、理想や思い込みを捨てたら、理想と現実の乖離がなくなっていき、同じことをするにしても成長が早くなった気がします。

もちろん、仕事の経験を積んで自信がついたということもあると思いますが、とにかく、自分を自分で受け入れられると、生きやすくなりますよね。

あとは自分をご機嫌にしてくれるものを知っておくのも大事。人に頼らず、自分で自分を楽しませてあげることができると、そこまで人は孤独を感じないのかもしれないと思います。

今のところの結論は、『理想は捨てる!そして、美味しいものを食べる』。だって、美味しいものを食べながら、イライラや落ち込みは長く続くことはありませんから(笑)」

どんなときも“食べること”が暮らしの中心

—あらためて質問です。今ヤミーさんにとって、一番大切な「暮らしの基盤」は何ですか?

「私はやっぱり“食”が暮らしの中で一番大切。食べることって体はもちろん、心の栄養にもなると思うんです。だから、どんなに忙しくてもちゃんと3食食べます。

合わせて睡眠は7時間を確保。夜遅くまで仕事はせず、食事と睡眠をしっかりとっていると、仕事のパフォーマンスが上がりますから。

私も昔は仕事三昧で無茶苦茶な生活をしていましたが(笑)、40代に突入してからはそんな生活も卒業。昼間に目一杯仕事をし、ちゃんと食べて、ちゃんと寝る。そういう暮らしの重要性を常々感じますし、自分もそう生きていきたいと考えています」 


▲衣装全てe's yarn

ヤミー●料理研究家。料理教室『Yummy’s Cooking Studio』主宰。テレビや雑誌、レシピ開発などで活躍する他、KALDIマニアとしても有名。規格外などで出荷できない農作物を加工・販売する「農家のだいどこ」の活動にも精力的に取り組む。

撮影/中村彰男 スタイリング/江邉良介(e's yarn) ヘアメイク/髭田湊英 取材・文/濱田恵理

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