新型コロナウィルスをはじめ、目まぐるしく変わる世界の状況。価値観も国や人それぞれで、教科書やマニュアル、「今まで通り」が通用しないことも多い、今の時代。
子どもたちが悩みを抱えたときには、状況に応じて、自分自身で深く考えて答えを導くことが大切になってきます。そんな「考える力」を身につけるのに最適なのが、“哲学”です!
「深く考える力」は大人になってからでは、なかなか身につきません。子どもの頃から習慣化することが重要です。先ごろ出版された『子どもテツガク』の著者・哲学者の小川仁志さんは、まず「疑問」を持つことが大切だと語ります。
「また、『こうじゃないかな?』『やっぱりあっちかな?』など、さまざまな視点で見てまとめていくことが『深く考えること』です 。
逆に、浅くしか考えられない人は、インターネットやSNSで発信される情報を鵜呑みにしてしまう。人の言ったことをそのまま受け止め、そこから問いを深めようとしないんです。深く考える力を持っている人は、人生を主体的に生きられるようになりますよ」
ここでは、『子どもテツガク』より、子どもから発せられる素朴な質問と、それに対する小川さんのアドバイスをご紹介しましょう。
「『そんなの当たり前』という言葉は、哲学の一番の敵ですね。大人は常識や世間のしがらみなので仕方ないこともあります。
だけど、子どもの世界では『当たり前』という言葉を消したいです。いろんな世界や経験から、どうしたらいいのかを自分から考えていけばいいのであって、考える前から『当たり前』を決めつけるのはよくないですよね。
今ある概念が『当たり前』じゃないと気付いたとき、人は世界の見方が変わります。人生の考え方も変わりますよ!」
「幸せとは、自分が心地いいと思う状態が実現すること。ある人にとっては、それはラーメンを食べたときかもしれないし、別の人にとってはテストでいい点を取ったときなのかもしれない。人によって状況は異なっても、心地いいっていう状態は同じ感覚だと思います。
心が袋だとしたら、その袋がいっぱいに満たされたときに、そう感じます。満足って満たされた状態ですよね?そして、その心地いいというのは、自分が納得しているっていうのも必要なのです」
『子どもテツガク』の中に書かれているのは、「答え」ではなく、86の「問い」。書かれている小川先生の意見をもとに、「自分なら……」と考えられる一冊です。
いろんな視点で捉えることは、哲学の大事なプロセス。ほかにも、学校では教えてくれない「なぜ」が、可愛いイラストとともにたくさん掲載されています。
たくさんの「なぜ」は大人も考えさせられるものばかり。この本をきっかけに、親子で一緒に会話をしながら、考えてみませんか?
イラスト/林ユミ
文/暮らしニスタ編集部