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vol.15 青森で後輩たちと議論しながら考えたこと

  • 2009年2月5日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 もう2月になってしまいましたが、今回は正月に帰省した際に高校の後輩たちと会ったときに考えたことを紹介します。
会ったのはテニス部の後輩たちだったんですが、面白い職種に就いてる人がけっこういて、いろんな話で盛り上がりました。で、途中からは環境問題の話になっていったんです。そこで、市役所に勤めていて、以前はゴミ処理の問題を担当していたという人間と、議論を戦わせることになりました(笑)。

 「おっしゃることはもっともです」と、彼は言うんです。「北山さんの言う通りなんですが、それがそのまま真っすぐ通るような世の中ではないこともわかってもらえますよね」って。

 別の後輩に、小学校の先生の知り合いがいて、その先生の学校では子どもが一生懸命分別している、と。その分別したゴミがどうなるのか、ゴミ処理場に行って見てみよう!ということになって、実際に行ってみたら一生懸命分別したゴミが全部一緒くたになって焼却炉に入れられていたそうなんですよ。それを見て、子どもに「あんなに一生懸命分別したのに、どうして炉には一緒に入れられてしまってるの?」と聞かれて、先生は「質問してみようね」としか言えなかったっていう話もそのときに出たんですが、その話を受けて市役所に勤めてる後輩は、「他の問題は全部トップダウンで中央が決めるのに、ゴミ処理の問題だけは市町村でやってくださいということになっているところに歪みがあるんです」と。大したガイドラインも示していないのに、でも問題があると減点になるというような状況もあって、いわば両手両足を縛られた状態でサッカーのピッチに放り込まれて「好きにやっていいよ」と言われているような感じだと言うわけです。ただ、それと同時に、その縛られた状態からなんとか縄抜けしようとがんばっている人たちがいるのも事実だということも言ってました。だって目の前に、たとえばゴミ問題というボールはあるわけですから。

 この話をしている最中に、僕は“これはひとつのチャンスだな”と思ったんです。この連載のVol.4でも書いた通り、僕は常々この国の社会の解像度をもっと高くするために1万人くらいを単位にしたコミュニティのルール作りがボトムアップの形でできるような場があればいいなと思ってるんです。でも、日本の現状は、全体のルールを作って、それを一つ一つ個別に適合させていくというやり方がほとんどですよね。そのなかで、少なくとも建前のうえでは自治体それぞれの裁量に任されているゴミ行政というのはボトムアップが推奨されている状況にある、と解釈できなくもない。そのゴミ問題の現場で「縛られた状態からなんとか縄抜けしようとがんばっている人たち」をつなげられれば、僕が思い描いている形がひとつ実現されるかもしれない。だから、これはチャンスだなと思ったわけです。

 そして、そこからさらにいろいろ考えてみたんですが、その続きは次回に紹介するとして、後半は時節柄バレンタインに関わる話をしましょう。

 ご存知の方も多いと思いますが、乳製品が食事制限項目に含まれているので、食事制限を始めてからはチョコレートを諦めてました。ところが、マクロビオティックでは動物性の材料を使わずにスイーツも作っていて、全部が全部おいしいわけじゃないですが(笑)、本当においしいものもあるんですよね。で、そのなかにはチョコレートも入っててびっくりしたんですけど、よく考えてみればチョコレート自体は乳製品じゃないですからね。というわけで、これまでは「食べられないので、チョコレートは贈らないでください」という言い方をしてましたが、もし贈ってくれる気持ちのある方がいらっしゃったら、そういうものを探して贈っていただいても大丈夫です。ただ、以前にも「そのチョコを買うお金を募金するとか、何か社会のためになることに使ってください、あるいはゴスペラーズのCDを買ってください(笑)」みたいな話をしたことがありますが、少しばかり想像の幅を広げてみてほしいなと思うんです。というのは、すごく単純に言うと、仮に100人がチョコを贈ったら消費期限内に食べることはできなくなるということはすぐわかると思うんです。ここではその贈り先が自分のことなので、ちょっと書き方がむずかしいですが、「食べ物を贈るのはむずかしいなという感覚になってほしいな」というのがいいでしょうか。これが手紙やメールなら、腐ることはないし、色あせないし、読んだら全部僕のなかに入ってくる。実際、これまでに送ってもらった14年分の手紙の内容と一緒に僕は成長して生きてるんです。それは間違いないことなんだけど、でも食べ物というのは意図してなくても相手の体調を狂わせたりすることもあるわけだし、本当にむずかしいんですよ。それを踏まえたうえで、すごくおいしいからどうしても北山にミルク入りのチョコレートを贈りたいという方がいたら、それは受け止めます(笑)。


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