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Vol.135 オフグリッド生活を続ける「ソーラー女子」に会ってきました。 

  • 2013年11月21日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 来年1月まで続く全国ツアーもちょうど折り返し点を過ぎたところですが、その合間をぬって素晴らしい取り組みを続けている人に会ってきました。

 その人は、東京・国立市にお住まいの藤井智佳子さんです。藤井さんは、昨年9月に電力会社との契約を解除し、それから1年あまり、いわゆるオフグリッド生活をずっと続けています。と書くと、読者のなかにはハードコアな活動家然とした人を思い浮かべる方がいるかもしれませんが、実際の藤井さんはそういうイメージとはむしろ真逆の、穏やかでとてもナチュラルな印象を与える女性です。そして、「ソーラー女子」と題した藤井さんのブログ(http://ouen.org/solargirl/)からもその人となりの一端はうかがい知ることができるでしょう。

 藤井さんが、オフグリッド生活に入ったそもそものきっかけは、やはり東日本大震災とそれに続く原発事故だったそうです。

 「首都圏で湯水のように電気を使っていて、でもそのリスクは地方の人に全部押し付けているというのもなんかおかしいし。それにこのあたりは計画停電もあったので、電力会社の都合で電気を切られちゃうんだということも思い知ったし。だから、自分でできることからなんとかしたいなと思って。原発反対のデモも、わたし自身参加したことがあるし、ああいうこともありだと思うんですけど、その一方で自分の暮らしから変えていくということもやったほうがいいと思うので」

 というわけで、まずはこまめに節電することから始めて、そうすると当然のことながら月々の電気代は減っていき、それでさらに工夫していくうちに節電そのものが面白くなってきたそうです。おかげで、ライフ・スタイルとして電気をあまり使わない生活に変わっていき、ベランダに付けた太陽光パネルの発電分などでまかなえる目処が立ったので、ついには電力会社との契約を解除ということに至ったということです。藤井さんのお宅は普通の賃貸アパートで、そういう生活のための特別な設備があらかじめ用意されていたわけではありません。それでも、とても素朴な“発電自給システム”や暮らしぶりを説明してもらうと、その話しぶりはなんだか楽しそうというか、“面白いので、やってます”感にあふれていて、こちらもなんだか楽しくなりました。

 「人力発電機が来るまでは、洗濯機が途中で止まってしまうことがあって、洗濯物はそのまま一夜漬けになって、次の日に電気がたまるのを待ってまた洗濯し直すということがあったんですけど、これのおかげでもうそういうことはなくなりました。でも、最近はいよいよ電気を使わない生活になってきたので、もしかするともう使わなくなるかもしれません。ウチでいちばん電気を使うのは洗濯機なんですが、これをもっと電気をくわないものにチェンジできればいらなくなるでしょうね」


人力発電機
 洗濯の途中で洗濯機が止まってしまって洗濯物が一晩水につけたままになるなんて話としてはけっこうブルーな内容だと思うんですが、エアロバイクを改造したとおぼしき人力発電機を漕ぎながら藤井さんが話すのを聞いていると、ダイエットに付きもののちょっとした笑い話を聞いているような気分になるから不思議です。

 もっとも、話をさらに聞いていくと、やっぱりそれなりの苦労というか、藤井さんなりのトライ・アンド・エラーはあるようです。電力会社との契約を切った翌日から3日間、雨の日が続いてすごく不安になったそうですし、そもそも藤井さんは、ご本人いわく「電気の機材のことが全然わからない」ので、配線をつないではいけないところにつないでしまったり、つなぐ順番を間違えたりして、ビリビリと軽く感電したり、機材がうまく動かなくて途方に暮れたりということがあるようです。

 「でも、生活がかかってるから、やるしかないんですよね(笑)」

 つまりは、そういう苦労も面白がれるからこそ、オフグリッド生活が続けられているということでしょうか。冒頭に「素晴らしい取り組み」と書いてしまいましたが、“取り組み”なんていう堅苦しい感じがないのがいちばんのポイントでしょうね。

 電気との付き合い方を真剣に見なそうと考えた矢先にこういう出会いがあって、僕としては大いに刺激を受けたし、あらためていろいろなことを考えたんですが、そのあたりはまた次回ということで。どうぞ、お楽しみに。


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