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Vol.120 AWSの気仙沼での取り組みを紹介します。 

  • 2013年4月18日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 今回は、AWSの取り組みについて紹介します。AWSのスタッフは、WAVOC(平山郁夫記念ボランティアセンター)の協力のもと、去年の11月から月1回のペースで宮城県気仙沼市に出かけていって、現地の歌好きなおじいさんやおばあさん、あるいは子どもたちといっしょに歌を歌う取り組みを始めました。月1回ですから3月までで5回やったことになりますが、だいぶ目処が立ってきたというか、見えてきたところがあります。正直に言って、最初の頃はAWSのスタッフが出かけていっても、現地の人たちの間には“何なんだ? コイツらは?”という空気がありました。でも、回を重ねるなかで現地の人たちの雰囲気はだいぶ違ってきてるんです。また、いっしょに行く学生ボランティアを集める際にも、「子どもたちとこういうことをやって、こういう反応があって、楽しいよ」という具体的な実績を踏まえて声をかけるので、参加する学生の数も着実に増えてきています。主要スタッフも大学生なので、年度が変わったこのタイミングで11月から積み上げてきた形についてそろそろ引き継ぎを考えなければいけなくて、だから5月、6月に新1年生を新たに巻き込むということも重要な仕事のひとつになってきています。始めた頃はそんなことまで気が回らなくて、とにかく気仙沼に向いてないとやっていけない、というような感じだったから、それから考えればずいぶん前に進んできたなと思います。

 活動の細かい内容を見ていくと、もちろんまだいろいろと問題はあるでしょうが、僕としては、まずは月に1回出かけていってるという事実が大事なんだと考えています。クオリティー云々を問題にしている段階じゃないと思ってるので。もっとも、学生ボランティアの8割くらいはリピーターで、「来月もまた俺もわたしも行きたいから、行けるところでスケジュールを組もう」っていうふうになってきて、3月は春休みということもあったんでしょうが、20人くらい集まったので、2チームに分けてやりました。仮設住宅のおじいさん、おばあさんにもすごく好評で、いっしょに歌ったり、その後にお茶会を開いていろいろ話し込んだ入りしています。じつは、明日も会う人には言えないけど、月に一度しか来ないから逆に言えることがあるんですよね。で、いっしょに歌を歌って、なんとなく触れ合えたら、やっぱり気持ちが伝わるんです。学生の側も、“被災地の人がかわいそうだから”とか、“ボランティアはいいことだから”みたいな感覚で、それをやっている自分に酔ってるような人もいないし、単純にその場を歌で楽しくしようっていう気持ちでやってますから、かなり仲良くなってしまうんですよ。こちらから出かけていく学生たちの大まかなスケジュールとしては、朝7時半に品川に集合してバスで向かいます。片道7時間強ですが、その道中はバスの中で練習したりしてます。で、仮設住宅で現地の人たちといろいろ交流させてもらって、あとは食事して風呂に入って就寝。2日目は事の性質上、朝早くからできることではないので、昼頃からワークショップをやって、その後別の場所で交流させてもらって、それでバスで帰ってくるという1泊2日の行程になります。

 気仙沼で集まってくれる人たちはとにかく歌が好きな人たちだから、アカペラでカラオケを作って、それに乗って歌ってもらったり、さらにはパート分けしていっしょにハーモニーを作ったりしています。僕の目論見としては、最初の何年かはアカペラの面白さをまずは草の根的に口コミで広げることが大事と思っていて、今は仮設住宅をまわってるわけですが、これから学校などにも行く予定です。また、それと並行して、人が集まっても集まらなくても、とにかく決めた時間のなかでワークショップもやるということも続けています。最初は理解を示してくれる仮設住宅も少なかったから、そこに出かけていって、それが続いているわけですが、いまでは「なんでウチにも来てくれないんだ」という声が出るようになってきたほどです。

 僕としては、予想していた以上にうまく進んでいるなというのが正直な感想です。そうした良い手応えとともに、あらためて感じることがあるんですが、それについはまた次回ということで。


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