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Vol.103 東京ガスのコージェネシステム「エネファーム」見学取材 その2

  • 2012年8月9日

  みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 今回は「エネファーム」の見学取材のレポートを紹介するわけですが、まずは見学に立ち会って、いろいろな質問に答えてくださった東京ガスの担当者の方々にお礼を言わなければいけません。興味があることにはすぐに熱くなってしまう僕の性格もあって、気がつくと3時間もいろいろ話していただいていました。本当にありがとうございました。

都市ガス  しかも、その応対にはとても誠意が感じられてうれしかったです。というのは、“多分こういうことは答えにくいだろうな”というようなことも僕は敢えて聞いていったのですが、そういう質問に対しても、あるいは専門的な内容でも、ハッタリを効かせて驚かせるとか変にごまかすようなことをせずに、とてもていねいに答えてくれました。だから、例えば「エネファームはお湯をあまり使わない人には合わないですね」というようなこともさらりと言ってくれます。「エネファーム」は、都市ガスを燃料にして自宅で電気を創り、その過程で生じた熱を使ってお湯を作ります。発電しているときには必ずお湯を作り続けるのですが、お湯が余るとエネルギーロスとなり、もったいないので、必要なお湯が貯まると発電は自動的に停止します。だから、お湯利用が多いとメリットをより多く享受できるというわけです。つまり、どういう条件ならどういうメリットがあるかということがしっかり考えられているシステムということであって、そういう意味でも「エネファーム」の導入を検討すること自体が自分の生活の有り様をみつめ直す、いいきっかけになると思います。さらに言えば、「エネファーム」の仕組みでも明らかな通り、電気を作るということはどこかを温めないといけないということであるわけで、毎日電気を使っているその向こうでは、関東地区なら東北の海や中越の海を、関西地区なら北陸の海を温めているということに思いがおよぶべきなんだろうと思います。
「エネファーム」に話を戻すと、このシステムがどういう生活をしている人に向いているかと言うと、ある程度以上の人数で、毎日だいたい同じ時間帯にお風呂に入ったりするというような規則正しい生活をしているような人たちです。だから、独身で、生活時間が不規則で、旅に出ることも多い、僕のような人間には、残念ながらあまり向いていないと言わざるを得ないでしょう。

 それから、実物を見て強く印象に残ったのは“デカイなあ”ということです(笑)。本体は高さが190センチ近くあるので、それを設置できるという以上の空間的な余裕がないと、かなり威圧感があるかもしれません。東京ガスでもそのあたりは承知していて、例えばマンションのバルコニーにでも置けるようなモデルの開発も進めているそうです。

 もうひとつはっきりお伝えしておかなくてはいけないのは、「エネファーム」のシステムを動かすには電気が必要なので、僕が最初に考えていた電力供給についての“独立”ということは現状ではかないませんし、万が一停電という状態に陥った場合にはこのシステムは動きません。ただ、3.11以降、そうした状況への対応のニーズが高まり、現在では停電に対応できるシステムがオプションとして販売されていますが、これも価格は160万円を超える高価なものです。

 というわけで、率直に言って、経済的なメリットを求めてこのシステムを導入するということは考えないほうがいいと思います。しかし、電気がどこから来て、どういうふうに消費されるのかということについて意識的に暮らしたいという人にとっては十分に魅力的なシステムだと思います。特に、マンション向けのものが発売されることになったらぜひ見てみたいなと強く思います。それに、電力が逼迫するという状況は決して今年だけで終わりません。5年、10年という単位でこういう状況は続くと考えるべきで、とすれば経済的な面でもライフスタイルを考えるうえでも長期的な展望に立って、こういうシステムを暮らしのなかに持ち込むことを考えることはとても大切なことだと思います。ちなみに、「エネファーム」は2009年の発売から累積販売数が1万台を超えたそうです。

 最後に、個人的な感想として、東京ガスさんがエネルギー産業としてこれからどういうふうに展開していくのかということに対する展望をしっかり持っていることをはっきり感じられて心強く思いました。ガスだけでなく、様々なライフラインのベストミックスを考えて最適供給を実現していく“Smart Energy Network(エネルギーの面的利用)”という構想の研究も進められているそうで、この研究のためのモデルタウンもあるということですから、次の機会にぜひそこも見学したいと思っています。


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