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Vol.7 南三陸町とミシンの音 その1

  • 2012年4月5日

 3月のはじめ、宮城県の南三陸町に行ってきました。「Vol.4 ミシンでお仕事プロジェクト」でも紹介しましたが、僕のツアーグッズを作ってくれた南三陸町のお母さんたちに実際に会いに行きたいと思い、プロジェクトのスタッフさんたちの協力のもと、実現しました。

南三陸町とミシンの音

 マネージャーと共に深夜の雪の中到着し、仮眠をとって、翌日の朝「ミシンでお仕事プロジェクト」のリーダー熊谷さんと久々に再会。まずは水戸辺仮設住宅の集会所へ案内していただきました。そこでさっそく、写真でしか見ていなかったお母さんたちに会えて嬉しかったです。ここには生地や商品がたくさん積み重なっていて、すっかり作業所になっているということでした。

一番左がプロジェクトリーダー熊谷さん
一番左がプロジェクトリーダー熊谷さん

 そのあと志津川地区を抜け、歌津地区にある石泉(いずみ)活性化センターというところへ。実はこの南三陸町の歌津は、僕が去年の8月にボランティアに来た、まさしくその場所だったのです。集会場に移動する途中、当時作業した海岸沿いの森や、有名な「ウタちゃん橋」という小さな橋も再び見ることができました(かつてここに訪れた子供のアザラシに、歌津から取った「ウタちゃん」という愛称が付いたことから、橋の名前にもなったそうです)。

 その会場では朝から講習会が行われるということでしたが、東京から来るミシンの先生が雪で遅れているのと、体験は2回目以降の方が多く、皆さんはとりあえず作業。その様子を見学させてもらいます。おもむろに僕はポータブルレコーダーを取り出して、ミシンの音を録り始めました。思い出を写真に収めるよりも、音に収めるのが好きな、ちょっとした変わり者なのです。

 お母さんたちが作って持ち寄ってくれたおにぎりやおかずをいただきながらのお昼休憩では、あの日、津波から逃れたときの話、丘から見下ろしたときのことなどを、何人かの方が語ってくれました。ご家族を亡くされた方がいたり、家も何もかも流されてしまった方がたくさんいるのですが、辛い顔を見せず、ここでは皆さん本当に元気よく作業に取り組んでいました。

南三陸町とミシンの音

 そこへ遅れて到着した方がいました。高橋真理江さんというお母さんで、僕が去年なにげなく購入して、このプロジェクトとの出会いにもなったエコバックを作った方です。僕はそのことを熊谷さんに聞かせてもらっていたのですが、高橋さんもそのことを聞いていたそうで、お互いこうして会えて良かった、とその場で盛り上がりました。すると高橋さんが到着するなり、もともと和気あいあいだった会場ではさらに笑い声が多くなり、テンションがぐっとアップ。とてもひょうきんで皆をいつも笑わせる明るい人だったのです。

 その高橋さんから直々に、ミシン講習を受けました(首に巻いているのは、僕のために作ってくださったマフラーです)。この日の課題はティッシュカバー。スピードを速くしたり遅くしたりしながら、まっすぐに、、、のつもりがやっぱりよれてしまいます。正直に言うと、小学生の頃、家庭科の授業がいちばん苦手でした。針に糸が通せないまま授業が終わってしまったことがあるくらい不器用。まっすぐ、まっすぐと思えば思うほど曲がってしまうのです。でも高橋さんの楽しくて面白い講習のかいあって、なんとか完成〜。

南三陸町とミシンの音

 実はこのとき、こうして熱心に教えてくれていたにも関わらず、僕はまたミシンの音を録音していました。真剣じゃなかったわけじゃありません、それには目的があったのです、、、。この続きは次回にまわすことにします。


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