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第37回エコ×エネ・カフェ「地方移住は令和の時代を生き抜くチカラを育む!!~地方創生から見るこれからの暮らしや働き方~」

  • 2021年10月27日
  • 緑のgoo編集部

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2021年9月29日(水)、第37回エコ×エネ・カフェ「地方移住は令和の時代を生き抜くチカラを育む!!~地方創生から見るこれからの暮らしや働き方~」をオンラインで開催しました。

第37回目の開催となる今回は、「地域おこし協力隊」制度を使って都市部から宮城県栗原市移住したおふたり、再生可能エネルギーの普及や観光振興の復活など7つの事業を展開している株式会社花山サンゼットの阿部幹司さんと、民泊「古民家櫻ノ庭」を経営している櫻庭伸也さんをゲストに迎え、司会進行のBe-Nature School代表森雅浩さんと共に、これからの時代を生き抜くチカラを育める地方移住の可能性について考えていきました。

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(左上)
森 雅浩(もり まさひろ)氏
有限会社ビーネイチャー 代表取締役
Be-Nature School 代表

(右上)
櫻庭 伸也(さくらば しんや)氏
古民家櫻ノ庭 オーナー

(下中央)
阿部 幹司(あべ みきちか)氏
株式会社花山サンゼット 代表

【目次】
 ①:エコロジーとエネルギーの両立する社会を目指して
 ②:「地域の中間管理職」になる
 ③:ぺちゃくちゃタイム
 ④:クロージング

エコロジーとエネルギーの両立する社会を目指して

開催にあたり、まずはJ-POWER(電源開発株式会社)の小林庸一さんよりご挨拶をいただきました。

小林さん(以下、小林):
J-POWER(電源開発株式会社)は、戦後復興と経済成長で急速に増えた電力需要に応えるために、国策企業として1952年に設立、2004年に民営化しました。全国に約100の発電所を持ち、日本で消費される電力の約6%を発電している他、海外でも発電事業を展開しています。1998年に策定した企業理念のひとつである「エネルギーと環境の共生」の実現を目指して、2007年から「エコ×エネ体験プロジェクト」を社会貢献活動として展開しています。
「エコ×エネ・カフェ」は私たちの暮らしに欠かすことのできないエコとエネ、双方のバランスがとれた社会について社会人と学生がフラットに話し合う「身近なつながりの場」です。私たちが大切にしていることは、体験・協働・学び合い、そして何より楽しむこと。ぜひ肩の力を抜いて、「エコとエネのバランスした社会」についてみんなで一緒に考えることを楽しんでいただきたいと思います。

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J-POWER(電源開発株式会社)広報部
小林 庸一(こばやし よういち)氏


きっかけは東日本大震災

森さん(以下、森):
今回のテーマは「地方移住」。おふたりは「地域おこし協力隊」の制度を利用して移住されましたが、「地域おこし協力隊」とはどのようなものでしょうか?

櫻庭さん(以下、櫻庭):
総務省が行っている地域活性の取り組みで、年間最大470万円の活動資金を与えられ、最大3年間地域活性の活動に取り組みます。隊員は年々増えていて、今では5,000人以上となり、令和6年度には隊員8,000人を目指しています。隊員本人、受け入れた地域、地方公共団体が「三方よし」の取り組みですが、任期終了後には収入ゼロになるので、その地域で暮らし続けられる土台を活動しながら3年間でつくり上げなければいけない現実があります。なお任期終了後も約6割の協力隊員がその地域に定住しています。

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森:
3年間で稼げるようになるにはなかなか大変そうですが、櫻庭さんはどんな経緯で移住を決めたんですか?

櫻庭: きっかけは東日本大震災です。震災後、東京から瓦礫拾いなどのボランティアに行ったんですけど、結局現地の被災者の方に送迎や食事の用意をしていただいたりと逆にお手間をとらせてしまい「本当に役に立っているのかな…」と無力感を感じました。元々、会社や社会に頼った生き方に不安を感じていました。お給料で生活する働き方は、会社で働き続けないと生活が持続しないですよね。将来のことを考えると怖くて、現実を見ないようにしていたのですが、やっぱり、後悔しない人生を歩みたい、どこでも生きていくチカラが欲しい、自分の人生に責任を持ちたいと考えました。震災で移住の決心がつきましたが、実際にどこに行けばいいのか、仕事はどうするのか、今の仲間と離れたいのか…とても悩みました。

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櫻庭:
実際に移住したのは2016年です。まず岩手県花巻市に移住し3年間過ごした後、宮城県栗原市に移住し2年暮らしています。移住して5年経っても夢に向かってあがく日々で、「地方移住者」というよりも「地方移住の挑戦者」という肩書きがしっくりきます。

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森:
実は櫻庭さんは、元々エコ×エネ・カフェの運営スタッフだったんですよね。立ち上げからずっと一緒に仕事をしてきて移住の相談も受けていたけれど、悩んでいる時間が長くもう行かないのかと思っていたら…本当に行っちゃいました。

櫻庭:
移住経験者に話を聞いたり現地に赴いたりして散々悩みましたが、最終的には「ここならやっていけそう」という直感で決めました。
今は築60年の古民家を借りて修繕しながら暮らしています。循環型の暮らしを目指し、耕作放棄地を整えたり地域の方と一緒に薪ストーブをDIYしたり、自然に癒されながら暮らしています。

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今までの常識が通じない世界

櫻庭:
栗原市では民泊を経営しています。「農泊(農山漁村滞在型旅行)」[https://nohaku.net]という形で、藍こぎ(切り取った藍の葉を乾燥させる)体験など、人手が足りない作業をお客さんに体験していただいたりしながら地域とWin-Winの関係を築いています。今後は農産物で今の地域で産業にしていきたいので、国からの交付金を活用させていただきながら70歳以上の方々と活動したり、情報発信や旅行商品の開発もしています。

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森:
生活の方はどんな感じですか?

櫻庭:
とにかく冬が寒いですね。家の中がマイナス15度になって、蛇口は破裂するし雪で屋根が潰れるし…都市部ではあり得なかったことが普通に起こります。
あとは、地域のみなさまに怒られてばっかりですね。月に1回はお酒を持って真剣に謝りに行っています(笑)。朝の6時にアポ無しで来られて叩き起こされた上に怒られたこともあって、「この時期は朝4時に起きるもんだろう!」と。
移住してきた時も「歓迎会をしてやる」と言われて喜んでいたら、会場は私の家だし、「酒が足りない」「薪がなくなった」「迎えに行ってこい」とこきつかわれて…主役なのにほとんど飲めませんでした(笑)。
でもみんな「楽しかったなあ、若い人が来てくれてよかった!」とご満悦で帰っていく。とにかく今までの常識とはまったく違う世界なので納得のいかないこともありますが、受け入れてもらっている側ですから感謝しています。

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櫻庭:
今後はお金に縛られない無理のない自給自足の暮らしを目指しています。ネット環境があれば仕事ができるので、複業しながら自分の食べる野菜を育てたり、小水力発電に取り組んだりして、エコとエネのバランスが取れた暮らしを模索しています。
仲間づくりも重要ですね。ここでは「隣組」という近所付き合いの制度が盛んで「遠くの親戚より近くの隣組」という言葉もありますが、隣組に加えてネット上で同じ志を持つ仲間を集ったり、若い人に空き家や耕作放棄地を紹介して夢を叶えるサポートもしたいと思っています。

地方移住は正直すごく大変ですが、本当におすすめです。都市部では食べ物を自分でつくるのは難しいですが、ここでは売り物の野菜を育てるのは難しくても、自分が食べる野菜なら種をまくだけで簡単にできます。そして何より、家も畑も全部自分でやらなければならないので、生き抜くチカラがつきますよ。

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