サイト内
ウェブ

アチコチに小さな本棚があるまち、まさにまちじゅうが図書館!

  • 2023年4月27日
  • コロカル

下田移住7年目スタート!「地域のための役割」はどうしてる?

2017年4月に伊豆下田に移住してきた津留崎家。7年目の暮らしが始まりました。新年度ということで、津留崎鎮生さんの身の回りにもちょっとした変化がありました。

お嬢さんの学校のPTA会長に就任し、なんと下田市のPTAの代表にも。さらに「まちじゅう図書館」の館長として運営していくことになりました。

移住して時間が経つことで増えてきた「地域の役割」について考えます。

下田移住7年目となりました!

4月、新年度ですね。2017年4月に伊豆の下田に移住してきたので、ちょうど丸6年経ったことになります。当時、幼稚園の年長だった娘は今では小学校6年生。子どもはあっという間に育つよ〜と子育ての先輩方からよく聞いてはいたのですが、まさにそれを実感する日々です。

そして新年度ということで、多くの方がそうかもしれませんが、自分の身の回りにもいくつか変化がありました。

まず、最上級生の親で比較的時間に融通がきく仕事をしているということで、PTA会長を頼まれ、お受けしたことがあります。

入学式で祝辞を述べる津留崎鎮生さん

娘が新1年生の手を引いて入場する入学式では祝辞を。緊張した〜!

成り行きから下田市全体のPTAの代表にもなってしまい、県のPTAの集まりなどもあるようです。せっかくなので、自分なりにこの役割でできることを考えながら活動していきたいと思います。

東京ではなかった地域の方との共同作業

そんな春、いよいよ暖かくなってきて、草が元気になってきています。先日は田んぼへ流れる水路の草刈りを地域の方たちとともに行いました。

草刈りを行う水路

こうした地域の草刈りだったり水路の掃除だったりを「人足(にんそく)」といい、年に何度か行います。

このような「地域のための役割」がここでの暮らしでは頻繁に回ってきます。こうした活動は基本的にはボランティアですし、今風にいうと「コスパ」も「タイパ」も悪いのかもしれません。

自分の場合、自宅のある地区、田んぼを借りている地区、運営に携わる多拠点居住・ワーケーション施設〈LivingAnywhere Commons伊豆下田〉(以下、LAC伊豆下田)がある地区、それぞれの役割が回ってくることもあり、とてもすべてはお受けできなく、少なからずお断りすることもあります。

ビーチクリーンで集められたプラスチックゴミ

コロナ禍以前は地域の子どもたちと一緒にビーチクリーンをしていたのですが、残念ながらしばらく行えていません。子どもたちにとってもとてもよい経験になるので、今年は復活したい!(そんな経験しなくていいくらいビーチがきれいになるのが理想ですが……)

そんな「地域のための役割」が、この春、もうひとつ始まりました。下田市が取り組む「まちじゅう図書館」という事業にLAC伊豆下田として参加し、本当に小さな図書館ですが、その館長に任命していただいたことです。

まちじゅう図書館とは?館長に任命!?

〈LivingAnywhere Commons伊豆下田〉に設置された本棚

「まちじゅう図書館」は、公立図書館の蔵書をまちの施設に分散させ地域の人や観光で訪れる人に図書館の本にふれる機会を増やしていこうという、全国数か所かで始まっている取り組みです。

この4月から下田市がその事業を始めるにあたり、光栄なことにLAC伊豆下田にお声をかけていただいたのです。

自分としても本を通じて価値観を広げたり、人生観が変わったりと、本から受けた影響ははかり知れません。そんな「本との出合い」の場に関わることができるのはすばらしいではないか! と、ふたつ返事で引き受けることにしました。

というふたつ返事が良かったのか、LAC伊豆下田が「まちじゅう図書館」の登録第1号ということになり、事業スタートの4月1日の登録証をお渡しいただく際には多くの報道の方もいらっしゃったのです。

〈LivingAnywhere Commons伊豆下田〉での「まちじゅう図書館」のメディア取材の様子

NHK、大手新聞からローカルテレビ局まで……。こんなに報道陣に囲まれたのは人生初。そんなに画期的な取り組みなんだ! と、このときにあらためて感じました。

といっても蔵書は50冊にも満たない小さな「図書館」……というか「本棚」です。この蔵書は、LAC利用者の特性を考慮して図書館司書さんと自分とで選びました。

日中10時から17時はLAC宿泊者以外の一般の方も施設に入って自由に本を手に取り、コミュニティスペースでお読みいただけるという仕組みです。(ただし施設外への貸し出しは不可となっています)

蔵書に関しては1か月単位で見直しをはかる計画で、毎回全部は変えないと思いますが、様子を見ながら一部を更新していきます。

下田を多拠点居住のベースとする方が滞在するLAC伊豆下田では、これまでたくさんの「人と人の出会い」をつくってきました。LACユーザー同士だったり、LACユーザーと地域の人だったり。今後は、LACに滞在する人とまちじゅう図書館に置かれた「本との出合い」の場になるわけです。よき出合いの場となるように「まちじゅう図書館」を運営していきたいと思います。

エントランスに掲げられた「まちじゅう図書館」と書かれた旗

一般の方が入館可能なときはこの旗をエントランスドアに掲げています。旗に描かれたなんともやさしい絵は、下田在住の絵本作家、鈴木まもるさんによるもの。下田に訪れた際には覗いてみてください!

ということで、下田移住7年目スタート! の4月からは「PTA会長」に「まちじゅう図書館運営」にと、新たな「地域の役割」を担うこととなりました。

こうして地域の方にいろいろとお声をかけていただくというのは長く暮らしていた東京ではなかったことです。下田に暮らし始めてそれなりの年月を重ねてきたこともあり、こうした役割を頼まれることも多くなってきました。

もちろん、少なからず負担を感じることもありますが、地域のために活動するというのは自然なこととも思いますし、お声をかけていただけるのは喜ばしいこと、できる範囲でやっていきたいと思っています。

水路掃除の様子

こうした地域の活動に負担を感じて地方移住を諦めるという方がいるとも聞きますが、しっかりと管理費を払う別荘地やマンションでは負担はかなり少ないようです。「地方」といっても地域や立地によって状況は全然違うので、一概に今回紹介したような活動をしなければいけないという訳ではないです!

こうした活動をしていると、「すっかり下田に馴染んでるね〜」といわれることもあります。もちろん、移住当初に比べると馴染んできているとは思います。ただ「馴染んでいる」とはいっても、やっぱり「移住者」は「ヨソモノ」であることには変わりません。

地元の方たちがこれまでに築き上げてきた歴史があるからこそ、この地での暮らしが成り立っている。そんなこともここで暮らす年月を重ねるほどに感じるようにもなってきました。ということで、地元の方へのリスペクトは持ちつつ、「ヨソモノならでは視点」を持ちつつ、自分なりにできることをやっていこう!そう感じています。

文 津留崎鎮生

text & photograph

Shizuo Tsurusaki

津留崎鎮生

つるさき・しずお●1974年東京生まれ東京育ち。大学で建築を学ぶ。その後、建築家の弟子、自営業でのカフェバー経営、リノベーション業界で数社と職を転々としながらも、地方に住む人々の暮らしに触れるにつれ「移住しなければ!」と思うように。移住先探しの旅を経て2017年4月に伊豆下田に移住。この地で見つけたいくつかの仕事をしつつ、家や庭をいじりながら暮らしてます。Facebook Instagram

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright © Magazine House, Ltd. All Rights Reserved.