A: 高層湿原は「標高の高い場所にある湿原」という意味ではない。湿原には、水面より低い場所に生成した低層湿原、水面より高い場所に生成された高層湿原、その中間にある中間湿原とがある。湿原は植物が枯れても腐植土とならずに堆積した泥炭が積み重なってできたものだが、高層湿原はその泥炭が大量に積み重なって周囲より高くなったもので、湿原の中では最終段階のものである。
A: 標高1969mにあり、360度の大パノラマが広がるアヤメ平は、かつて「天上の楽園」とまで讃えられた美しい湿原だった。しかし、昭和30年代に尾瀬ブームが到来、大勢のハイカーがおしかけ、湿原植物が踏み荒らされ、湿原を形成する泥炭層がむき出しになり、約1haの湿原が裸地化してしまった。このため、1966年から群馬県教育委員会、1969年から尾瀬の多くの土地を所有している東京電力がアヤメ平の植生復元作業を開始した。群馬県、東京電力、尾瀬林業、山小屋組合などの協力によって、多くの部分が修復されてきた。