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「グリーン経済」 詳細解説

読み:
ぐりーんけいざい
英名:
Green Economy

環境問題が地球規模で進行する一方、世界は同時不況に突入し、国内外の経済や雇用をめぐる状況は厳しい局面が続いている。こうした現状を打破するための手段として期待されているのが、環境に優しい経済であるグリーン経済を目指すというものだ。グリーン経済は、緑の経済やグリーンエコノミーとも呼ばれる。環境・経済・社会という3つの基本分野における政策や技術革新を連携して進め、資源を効率的に用いることで、社会を持続可能で低炭素なものにすると同時に生物多様性を保全し、経済成長と持続可能性の両立を図る。

グリーン経済は、国連環境計画(UNEP)が強く推し進めているテーマの一つだ。UNEPが2011年に発行した報告書「グリーン経済をめざして」によると、世界がグリーンな経済に移行することで、自然資本の増益と価値の増大につながり、貧困緩和や雇用拡大などの効果もある。こうしたグリーンな経済への移行には、世界全体のGDPのうち年間約2%にあたる約1.3兆ドルを、2050年までの間にかけて投資すればよい。投資先は、農林水産業や建設、エネルギー、製造、観光、運輸、水と廃棄物管理など主要な10の産業分野だ。

2012年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催されたリオ+20では、持続可能な開発と貧困撲滅の有効なツールとしてグリーンな経済が注目された。事前会合などでは、グリーン経済の位置づけや途上国で実現するための支援、国際的な知識共有を図るプラットフォームの構築、各国におけるグリーンな経済戦略の策定などが議題となった。最終的に採択された成果文書「私たちが望む未来」には、期待されたほどの内容は盛り込まれなかったものの、持続可能な開発を実現するためにグリーン経済が有効なツールであり、各国が共通して取り組んでいくことなどが確認された。

また、リオ+20で日本が表明した「緑の未来」イニシアティブは、世界経済を環境に優しいものへと変えていくための取り組みを示したものだ。具体的には、途上国などによるグリーンな経済への移行を支援するために、日本が今後3年間で約2400億円を出資することや、1万人に及ぶ「緑の協力隊」を編成して派遣すること、環境未来都市に関する知見とノウハウを共有することなどを柱としている。

グリーン経済への移行に関する進捗状況については、欧州環境局(EEA)が年次報告書を公表している。それによると、EUでは資源の効率的な利用が進みつつあるが、生態系の保全にまでは至っていないという。自然資本の回復はエネルギーや資源の安定供給はもちろん、新たなビジネスチャンスにつながる生態系サービスの発展に欠かせないだけに、国内外の経済をグリーン化していく上で生物多様性の保全を視野に入れた政策の立案が求められる。

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