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「予防原則」 Q&A解説

読み:
よぼうげんそく
英名:
Precautionary Principle
  • Q: 日本に予防原則を採用した法律はある?
    日本には予防原則を採り入れた法律はないのだろうか?

    A: 日本で「予防」という言葉が用いられている法規制は多いが、そのほとんどは被害の未然防止という意味で使われてきた。環境保全などに関する政策において具体的な被害が発生しておらず、また、科学的な不確実性があっても予防的な措置を取って影響や被害の発生を未然に防ぐ予防原則そのものを明確に導入した法規制として、2008年に制定された生物多様性基本法がある。同胞は基本原則の中で、生物多様性を保全するための予防的な取り組みが重要であるとしている。また、環境基本法が第4条で未然防止について定めている。さらに、PRTR法は、個々の化学物質を規制するのではなく、化学物質がもつ環境リスクを全体として低減させていくことを目的としており、科学的な不確実性を前提としつつ、予防的な考え方を踏まえて規制を行う法律といえよう。

  • Q: 予防原則は貿易障壁になる?
    環境への影響を未然に防ぐため規制を行う予防原則の考え方は、貿易障壁になるのではないか?

    A: 予防原則は、環境や人の健康に具体的な被害や影響がなく、また、被害と原因と思われるものとの間に科学的な因果関係が立証されていなくても、より広範な影響や被害を防止するために規制を行う考え方である。環境保全や化学物質規制の観点からは歓迎されているが、産業界には規制が拡大するとして懸念する声が強く、とくに貿易に関しては国際的に議論されてきた。2000年1月に採択された「バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書」は、遺伝子組み換えにより改変された生物が国境を越えて移動する前に、輸入国が輸入の可否を決定する手続きを定めているが、その採択の過程で、予防原則の導入は貿易障壁になるとして反対する意見があった。また、自由貿易の拡大を目的とするWTO(世界貿易機関)の交渉の場では、予防原則の取り扱いに関して新たな貿易障壁として利用されるのではないかと警戒する参加国もあった。経済協力開発機構(OECD)は、2002年に予防原則の貿易と環境への影響に関する報告書を取りまとめ、開発途上国からの貿易への影響に対する懸念を指摘している。

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