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「ヒートアイランド現象」 詳細解説

読み:
ひーとあいらんどげんしょう
英名:
Heat Island

コンクリートの建築物やアスファルトの道路が多い都市部では、太陽の熱が地面に蓄積されやすい半面、水分蒸発による冷却効果が少ない。また、ビルなどの建物で使用されるエアコンの排気熱や、大量の車の排気ガスなどの「人工廃熱」によっても気温は上昇する。さらに、樹木が少ないため水分蒸発による気温低下がほとんどない。これらの複合的な理由によって、とくに夏期は都市部の気温が周辺地域に比べて高くなる。屋内の熱を冷房で排出することによって外気温が上昇し、それがさらに冷房の使用に結びつくという悪循環を生む。このような現象を総称してヒートアイランド現象と呼ぶ。

ヒートアイランド現象という名前は、都市とその周辺地域の気温をもとに等温線を描くと、都市部が島のように浮かび上がって見えることに由来する。ヒートアイランド現象については、光化学オキシダント生成の助長や局地的な集中豪雨との関連性もみられる。冬季には、都市域の高温化によって発生する上昇気流によって、地上近くでは郊外から都心部へ、上空では逆に都心部から郊外へと流れる循環流が発生する。その空気の流れによって都市の上空を汚染物質がドーム状に覆う「ダスト・ドーム」が形成され、大気汚染を助長することが懸念されている。

ヒートアイランド問題に対応するため、2002年に関係府省連絡会議が設置され、2004年3月にヒートアイランド対策大綱がまとまった。同大綱はヒートアイランド現象への対策を推進する上での基本方針であり、2013年5月に見直されている。人工排熱の低減、地表面被覆の改善、都市形態の改善、ライフスタイルの改善、熱中症など人への影響軽減の5つが柱だ。また、東京では過去100年間に気温が約3℃上昇した。このため都は環境基本計画で、2015年までに熱帯夜の発生を年間約30日から約20日に減少させるという目標を掲げている。

ヒートアイランド現象を緩和するには、空調や照明などのエネルギー使用機器を高効率なものにする省エネや、建物の断熱化、節電、車の交通量低減、物流の効率化などに取り組み排熱を減らすことが有効だ。また、公園や緑地の整備による緑地の確保、屋上や壁面の緑化、風が通る道の整備など、自然の力を取り入れることも重要だ。一方、日本と同じように都市化が進行する新興国も同じ課題を抱えている。わが国がヒートアイランド現象を克服することは、世界の都市づくりにも影響を与えることになる。

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